中空粒子を用いたウイルス性肝炎の新しい検査・予防法の開発

文献情報

文献番号
200829029A
報告書区分
総括
研究課題名
中空粒子を用いたウイルス性肝炎の新しい検査・予防法の開発
課題番号
H19-新興・一般-014
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
武田 直和(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 智之(堺市衛生研究所)
  • 恒光 裕(動物衛生研究所)
  • 勝二 郁夫(神戸大学大学院医学研究科)
  • 李 天成(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 石井 孝司(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 鈴木 哲朗(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
37,825,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
E型肝炎ウイルス(HEV)ウイルス様粒子(HEV-LP)を抗原とする迅速、高感度抗体検出系、および特異抗体を用いた抗原検出系を確立する。HEV-LPを経粘膜接種し、その免疫原性ならびにE型肝炎粘膜ワクチンとしての有効性を評価する。各遺伝子型B型肝炎ウイルス(HBV)由来の中空粒子を利用して遺伝子型特異的なHBV抗原診断法の開発を目指す。C型肝炎ウイルス(HCV)構造蛋白遺伝子の強制発現細胞系で中空粒子を産生させ、精製法を確立する。得られた中空粒子を用いて新たなHCV診断法の開発を目指す。


研究方法
血清、便、肝臓等を用いて、E型肝炎検査マニュアルにしたがって、抗体、抗原、HEV遺伝子を検出した。ノトバイオート豚でHEV感染実験を行なった。種々の遺伝子型のB型肝炎ウイルス(HBV)クローンを用いてHBs抗原分泌機構を解析した。HCV J6/JFH1株の継代培養を行なった。HCVのsubgenomic repliconを用いた一過性の発現を行なった。

結果と考察
HEV VLPをノトバイオート豚に1週間隔で3回投与した時のVLPの最小感染阻止量は、経口ならびに経鼻投与いずれにおいても0.5 mg/doseであった。ヒト肝ガン由来PLC/PRF/5 細胞によるHEV培養系を確立した。ヨーロッパ型のgenotype A HBVは本邦に多いgenotype C HBVより複製効率は低いものの、上清中への分泌効率が高かった。HCV J6/JFH1株の継代培養により10-100倍感染価の高いウイルス産生系の樹立に成功し、適応増殖変異を規定するアミノ酸座位を同定した。HCVのsubgenomic repliconを保持する細胞にJFH-1株の構造蛋白をtransに供給し、一過性の感染はおこるが増殖はしないHCVのvirus-like particlesを作製した。
結論
・HEV感染阻止を誘導するVLP量を決定した。
・HCVの適応増殖変異を規定するアミノ酸座位を同定した。
・HEV培養系を確立した。
・感染性を有するHCV subgenomic repliconを作製した。
・HBV AおよびB型は遺伝子型Cより上清中への分泌効率が高かった。

公開日・更新日

公開日
2010-01-12
更新日
-