遺伝子増幅RPA法に基づいた媒介蚊における迅速簡便病原体検出法の開発

文献情報

文献番号
200829026A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子増幅RPA法に基づいた媒介蚊における迅速簡便病原体検出法の開発
課題番号
H19-新興・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
嘉糠 洋陸(国立大学法人帯広畜産大学 原虫病研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 福本 晋也(国立大学法人帯広畜産大学 原虫病研究センター)
  • 下島 昌幸(国立大学法人東京大学医科学研究所)
  • 平田 晴之(国立大学法人東京大学大学院医学系研究科付属疾患生命工学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
22,780,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
マラリア、西ナイル熱、デング熱等の蚊媒介性の再興感染症は世界的に大きな脅威となっている。本研究では、これらの感染症の本邦への侵入防除に寄与するため、等温遺伝子増幅法による迅速・簡便病原体検出法の確立を目的として以下の項目に分け遂行した。
研究方法
異なる病原体株を媒介蚊に混合感染させ、この蚊より抽出した核酸を用いて等温遺伝子増幅法(LAMP法)をおこない、反応条件の至適化について検討を実施した。これらの各種病原体に対するプライマーには、Cy5もしくはFITC等の蛍光物質による異なる標識を施し、それらの混合プライマーを用いたマルチプレックス等温遺伝子増幅法の確立を試みた。また、簡便な検査結果判定法を確立するため、等温遺伝子増幅法による増幅産物をイムノクロマト法により検出する手法の開発を実施した。上記方法によって選定されたプライマーに蛍光標識を施し、等温遺伝子増幅法に供した。これらの標識物に対する抗体を用いたイムノクロマトストリップを作製し、簡便に遺伝子増幅産物を検出可能な系の構築をおこなった。
結果と考察
(1)原虫感染モデルとしてハマダラカ-齧歯類マラリア原虫感染モデル、ウイルス感染モデルとしてヤブカ-フロックハウスウイルス感染モデル、蠕虫感染モデルとしてヤブカ-犬糸状虫感染モデルを用いた、LAMP法に代表される等温遺伝子増幅法による病原体検出評価および準備基盤の確立に成功した。(2)簡便な検査結果判定法を確立するため、異なる病原体株を媒介蚊に混合感染させたモデルを用いて、等温遺伝子増幅法による増幅産物をイムノクロマト法により検出する手法の開発に成功した。(3)プライマーに蛍光標識を施し、これらの標識物に対する抗体を用いたイムノクロマトストリップを作製し、簡便に遺伝子増幅産物を検出可能な系を構築することに成功した。(4)熱帯熱マラリア流行地域である西アフリカ・ブルキナファソ国における蚊生息フィールドでの蚊サンプル採集を実施し、DNAテンプレート・ライブラリーのさらなる充実に成功した。
結論
以上の研究により、病原体媒介蚊における病原体検出に対する総合的な厚生労働行政施策を策定するための科学的基盤を進展させた。本研究により等温遺伝子増幅法の応用が順調に進展し、結果極めて高感度で迅速かつ簡便な病原体検出法を提供することにより、日本を含めた国際保健医療に多大な貢献をするものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2010-01-12
更新日
-