動物由来感染症の生態学的アプローチによるリスク評価等に関する研究

文献情報

文献番号
200829024A
報告書区分
総括
研究課題名
動物由来感染症の生態学的アプローチによるリスク評価等に関する研究
課題番号
H19-新興・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山田 章雄(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岸本 壽男(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 川端 寛樹(国立感染症研究所 細菌第1部)
  • 高橋 元秀(国立感染症研究所 細菌第2部)
  • 柳井 徳磨(岐阜大学 農学部)
  • 今岡 浩一(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 井上 智(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 棚林 清(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 木村 昌伸(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 鈴木 道雄(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
24,030,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内に存在するが、その存在様式等に不明な点が多い動物由来感染症病原体の国内生態系における存在様式を明らかにし、そのリスク評価を改めて行う。一方、狂犬病診断のための教材試作を行う。具体的にはブルセラ症、野兎病、Q熱、Corynebacterium ulceransの生態系での存在の実態を明らかにするとともに、ボレリアをモデルとし、ダニの棲息域拡大における野生鳥類の役割を明らかにする。その他野生動物の感染症についても実態を明らかにする。
研究方法
病原体分離、病原体遺伝子検出、抗体検出により、国内各地で捕獲した哺乳類、鳥類、及びダニを中心に病原体の生息地域、生息環境を明らかにする
結果と考察
Q熱病原体に対する抗体保有率はイヌ2.1%ネコ6.2%でありイヌから病原体遺伝子は検出されなかった。このことは健康なイヌ・ネコからヒトがQ熱に感染するリスクはさほど高くはないことを示唆している。捕獲鳥類からのライム病ボレリアDNAの検出を行い、野生鳥類の移動に付随して、拡散しやすいマダニ種とこれを媒介種とするボレリア種が存在することを初めて明らにした。大阪府の動物愛護センターの外見上健康なイヌの約10%にジフテリア毒素産生性コリネバクテリウムの感染が確認された。野生動物、産業動物ではこれまでのところ菌の存在は確認されていない。国内で捕獲したイノシシ、シカからスムーズ型ブルセラ属菌は検出されなかったが、イヌブルセラ菌に対する抗体陽性個体が見いだされた。野兎病で斃死したノウサギが発見された場所周辺で採取した土壌検体および湖沼水の検体から野兎病菌DNAが検出された。ペンギン目の感染症として、トリマラリアおよびアスペルギルス症が多く認められることが分かった。AIDS患者で問題とされる鳥抗酸菌症について,その病態と感染経路を検討した。一方、海外からの侵入が危惧される狂犬病の診断体制構築役立てる教材として、イヌの頭部解剖モデルの作成を昨年度に引き続き継続した。
結論
国内での存在は明らかにされているがその存在様式が不明な動物由来感染症について実態調査を昨年度に引き続き実施した。

公開日・更新日

公開日
2010-01-12
更新日
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