効果的な感染症サーベイランスの評価並びに改良に関する研究

文献情報

文献番号
200829014A
報告書区分
総括
研究課題名
効果的な感染症サーベイランスの評価並びに改良に関する研究
課題番号
H18-新興・一般-015
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 清州(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 正規(埼玉医科大学)
  • 鈴木 宏(新潟大学教育研究院医歯学系)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 神谷 信行(東京都健康安全研究センター疫学情報室)
  • 山本 英二(岡山理科大学総合情報学部生物統計学)
  • 中野 貴司(国立病院機構三重病院臨床研究部国際保健医療研究室)
  • 西藤 成雄(西藤小児科こどもの呼吸器・アレルギークリニック)
  • 倉田 毅(富山県衛生研究所)
  • 池松 秀之(福岡原土井病院臨床研究部)
  • 藤本 嗣人(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 小野塚 大介(福岡県保健環境研究所)
  • 島田 智恵(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 多田 有希(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 安井 良則(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 堀野 敦子(国立感染症研究所 細菌第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
36,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成18年度に全面改定された発生動向調査システムを、感染症対策への効果、あるいは感染症疫学研究への貢献等の面から評価すること、そしてそれらのデータ解析により全体の感染症サーベイランス体制を評価して、サーベイランス全体の改善のための提言を行うこと
研究方法
現状のシステムを保健所、地方・中央感染症情報センター、地方衛生研究所の視点から評価するとともに、実際のサーベイランスのデータ解析、病原体の検討、一般的な感染症とその性格を異にする性感染症など、一つ一つの課題の追求を行い、それらを実証するために医療現場や施設において重点的なサーベイランスや調査を行った。感染症サーベイランスを包括的に検討するために、臨床医、公衆衛生従事者、ウイルス学者、統計学者などサーベイランスに関わるすべてのプレイヤーを研究班に包含したため、研究班を実際の感染症法に基づくサーベイランスシステムの評価グループ、個別研究テーマグループ、病院・施設グループの三つのグループとして組織し、最終的にそれぞれの結果から、本邦におけるサーベイランスの改良について議論を行った。
結果と考察
平成18年度に改善された法に基づく発生動向調査システムは、いろいろと改善すべき点が残されているものの、我が国の感染症対策の向上に一定の成果をあげたことが示された。しかしながら、研究班の成果を通して、我が国の感染症サーベイランスには、全体の傾向を十分に把握できていない部分があること、対策のために本当に必要な情報が網羅されていないこと、またそれらがそれらのデータを必要とする部署にきちんと共有されていないことなど、多くの問題点が指摘された。これは、疾患個々の特性を認めずに全体でサーベイランスが議論されていること、病原体に関するサーベイランスの位置づけがはっきりしていないことに起因すると考えられ、個々の疾患の対策戦略に基づいたサーベイランス全体の見直しが必要であることが明確になった。
結論
 我が国の感染症サーベイランスを、感染症対策全体としてみると、まだまだ不備な部分も多く、画一的なサーベイランスではなく、一つ一つの疾患に対して、まず、それぞれの対策戦略を樹立し、それらを達成するために必要なサーベイランスを設計していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-01-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200829014B
報告書区分
総合
研究課題名
効果的な感染症サーベイランスの評価並びに改良に関する研究
課題番号
H18-新興・一般-015
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 清州(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 正規(埼玉医科大学公衆衛生学)
  • 鈴木 宏(新潟大学教育研究院医歯学系)
  • 中瀬 克己(岡山市保健所)
  • 神谷 信行(東京都健康安全研究センター疫学情報室)
  • 山本 英二(岡山理科大学総合情報学部生物統計学)
  • 多田 有希(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 安井 良則(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 池松 秀之(福岡原土井病院臨床研究部)
  • 中野 貴司(国立病院機構三重病院臨床研究部国際保健医療研究室)
  • 西藤 成雄(西藤小児科こどもの呼吸器・アレルギークリニック)
  • 倉田 毅(富山県衛生研究所)
  • 大前 利市(京都市右京区保健部)
  • 藤本 嗣人(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 小野塚 大介(福岡県保健環境研究所)
  • 島田 智恵(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 堀野 敦子(国立感染症研究所 細菌第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国における感染症サーベイランスにおいて、平成18年度に新たに設置された電子報告システムを含め、サーベイランス全体の評価を行い、今後の感染症サーベイランスの改善にむけて提言を行う
研究方法
 我が国における感染症サーベイランスについて、感染症法に基づく発生動向調査システム、特定の疾患や病原体からの視点、あるいはデータの統計学的な解析、そして医療機関からの視点や他のサーベイランスシステムとの比較において、評価を行い、その改良について議論を行った。
結果と考察
 平成18年度に改正された法に基づく発生動向調査システムは、いろいろと改善すべき点が残されているものの、我が国の感染症サーベイランスの向上に一定の成果をあげた。しかしながら、研究班の成果を通して、把握状況の代表性、対策に必要な項目が報告から欠如していること、病原体サーベイランスのサーベイランス全体における位置づけの不備、報告データらの解析体制と、共有メカニズムなど、我が国の感染症サーベイランスには依然として多くの問題点が残されていることが指摘された。研究の実施にあたり、種々のシステムを試作してその効果を検討し、問題点の改善に対しての提言も行われた。我が国における感染症サーベイランスは、感染症法に基づいており、多くの異なった性格をもつ感染症に対して、画一的な方法でサーベイランスが行われている。これは法律に基づいている以上は避けられないことであるが、それぞれの疾患で対策のゴールは異なるものであり、それに至る戦略も当然異なっており、それを達成するために、どのようなサーベイランス戦略を立てるかと言うことを議論しなければならないことが明確になった。
結論
 平成18年度に改善された法に基づく発生動向調査システムは我が国の感染症対策の向上に一定の成果をあげたが、一つ一つの疾患のサーベイランスとしてみると、まだまだ多くの問題点が指摘された。サーベイランスには多くの目的があり、単一のサーベイランスですべての目的を達成することは不可能である。我が国の感染症サーベイランスは、もともと全体の発生動向を俯瞰する目的で設計されており、これをより効果的なものとするためには、疾患毎の戦略をたてて、必要な場合には複数のサーベイランスを並立させて、疾患毎のゴールとその戦略を見据えたサーベイランスデザインを行うべきである。

公開日・更新日

公開日
2010-01-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200829014C