文献情報
文献番号
200829008A
報告書区分
総括
研究課題名
節足動物媒介感染症の効果的な防除等の対策研究
課題番号
H18-新興・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小林 睦生(国立感染症研究所 昆虫医科学部)
研究分担者(所属機関)
- 狩野 繁之(国立国際医療センター研究所)
- 高崎 智彦(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
- 倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
- 江下 優樹(大分大学 医学部)
- 當間 孝子(琉球大学 医学部)
- 冨田 隆史(国立感染症研究所 昆虫医科学部)
- 小西 英二(神戸大学大学院 保健学研究科)
- 松本 芳嗣(東京大学大学院 農学生命科学研究か)
- 沢辺 京子(国立感染症研究所 昆虫医科学部)
- 名和 優(埼玉医科大学 医学部)
- 高木 正洋(長崎大学 熱帯医学研究所)
- 小林 潤(国立国際医療センター研究所 国際医療協力局)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
48,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
蚊媒介性感染症に関して、アカイエカ、コガタアカイエカ、ヒトスジシマカ等媒介蚊の生態、ウイルスの検出および分離、流行状況等を国内および東南アジアで調査し、診断技術および有効なワクチンの開発の基礎的な研究行い、我が国の予防対策に貢献する。また、日本脳炎ウイルス(JEV)の病原性に関する遺伝子変異について検討する。また、東南アジアを中心にマラリアの予防、疫学的解析を行う。
研究方法
都市部を中心とした野外の媒介蚊の発生状況調査、捕集蚊から細胞培養系を用いてJEV)の検出し、多数の分離株を得た。デング熱患者の診断における遺伝子およびIgA抗体の検出、日本脳炎(JE)の病原性に関する遺伝子解析をリバースジェネティクス法で行った。DNAワクチンの開発のためのマウスおよびミニブタの利用、マラリア予防のためのガイドラインの作成、東南アジアでの流行疫学の解析等を多角的に行った。
結果と考察
我が国の豚およびコガタアカイエカから多数のJEVの分離を行い、分離株の遺伝子解析を行い、東南アジア株との比較をした。イエカ類から新規昆虫フラビウイルスの遺伝子解析を行い、ヤブカからも別の新規昆虫フラビウイルスを分離した。媒介蚊の発生状況調査を兵庫県で行い、道路、公園等の雨水枡がアカイエカおよびヒトスジシマカ幼虫の発生源であることが明らかとなった。ウエストナイルおよびデング熱DNAワクチンの開発を行い、蛋白ワクチンとの混合投与が中和抗体を誘導すること、デング熱患者の唾液および尿からウイルス遺伝子およびIgA抗体を検出することに成功した。JEVの病原性に係わるアミノ酸変異がGenotype 1とGenotype3で異なっていることを示した。脳性マラリアの発症機序の解明および重症化の指標となるバイオマーカーの検索を行った。アタマジラミのピレスロイド系薬剤抵抗性の発達状況を調査し、抵抗性コロニーが11%に認められた。
結論
我が国の媒介蚊の発生状況、飛翔範囲等に新たな発見があり、流行発生時には相当広範な防除対象地域の設定が必要である。JEVが西日本地域を中心に媒介蚊から高率に分離され、活発なJEVの活動が確認された。デング熱の新しい診断法およびDNAワクチン開発の可能性が明らかとなった。マラリア関して、旅行者への啓発と将来的には、治療の徹底などの再発予防が必要である。
公開日・更新日
公開日
2010-01-12
更新日
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