サブタイプ分類に基づく小児難聴診断、療育システムの構築

文献情報

文献番号
200828020A
報告書区分
総括
研究課題名
サブタイプ分類に基づく小児難聴診断、療育システムの構築
課題番号
H20-感覚器・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
宇佐美 真一(国立大学法人信州大学 医学部耳鼻咽喉科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 工 穣(国立大学法人信州大学 医学部耳鼻咽喉科学講座)
  • 橋本 繁成(国立大学法人信州大学 医学部附属病院先端予防医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天性難聴は出生児1000人に1人の割合で認められる頻度の高い先天性障害のひとつである。従来、難聴の多くは原因不明であったが、解析手法の進歩により難聴の原因遺伝子変異が多数見出され、その原因遺伝子変異の種類と難聴の程度、聴力像、めまい等の随伴症状の有無などの臨床型の間に相関があることが明らかとなってきた。従来の聴力検査に遺伝子診断を組み合わせることで、より正確に、より早期に聴力の程度を予測することを目的とする。また、遺伝子診断により難聴をサブタイプに分類することで、サブタイプごとに適切なフォローアップや適切な介入法などのオーダーメイド医療の実現につなげることを目的とする。
研究方法
平成20年度は、今までに集められた約4000人(1500家系)の難聴患者とその家族に関して、遺伝子型と臨床像のとりまとめを行い、サブタイプ分類に必要な基盤情報の整備を行なった。また、新規遺伝子変異としてCDH23遺伝子変異の頻度調査を実施した。また、乾燥臍帯を用いた先天サイトメガロウイルス感染の検出技術の確立を行ない20例の難聴患者の乾燥臍帯を用いて先天性サイトメガロウイルス感染の検討を行なった。また、全国の33施設との多施設共同研究にて、難聴患者とその家族416名を対象に遺伝子検査を行い、陽性的中率および臨床型との相関に関する検討、臨床的有用性に関する検討、倫理的法的社会的問題に関するアンケート調査を実施し結果を検討した。
結果と考察
難聴遺伝子データベースのデータを解析し、6歳以前発症群ではGJB2遺伝子変異の割合が高く6歳以降発症群ではミトコンドリアA1555G変異が多いことなどを明らかにした。また、新規難聴原因遺伝子候補としてCDH23遺伝子の解析を行い、おおよそ5%の難聴患者に遺伝子変異が認められることを明らかにした。また、全国33施設との多施設協同研究により難聴遺伝子スクリーニング検査を実施し、難聴患者の35%の原因を特定可能であることを明らかにした。これらの遺伝子に関しては臨床上有益であることが確認できたため、先進医療として申請し、承認を受け臨床応用を開始した。
結論
難聴の遺伝子スクリーニング検査により原因が特定されることで、臨床上有用な情報が得られることが明らかとなった。この結果を踏まえ、難聴の遺伝子検査を先進医療として申請し、承認を受け臨床応用を開始することができた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
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