文献情報
文献番号
200828018A
報告書区分
総括
研究課題名
人工内耳を装用した先天性高度感音難聴小児例の聴覚・言語能力の発達に関するエビデンスの確立
課題番号
H20-感覚器・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山岨 達也(東京大学 医学部外科学専攻感覚・運動機能医学講座耳鼻咽喉科)
研究分担者(所属機関)
- 土井 勝美(大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学耳鼻咽喉科)
- 熊川 孝三(虎の門病院耳鼻咽喉科・聴覚センター)
- 坂田 英明(目白大学保健医療学部・目白大学クリニック耳鼻咽喉科・リハビリテーション科)
- 伊藤 健(帝京大学医学部耳鼻咽喉科)
- 安達 のどか(埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
先天性高度感音難聴に対して人工内耳を施行した小児例の聴覚・言語能力の発達に影響する要因に関して本邦では未だ不明な点が多く、エビデンスの確立には至っていない。本研究では小児の人工内耳手術を多数行っている複数施設が参加して症例を多数集積し、本邦でのエビデンスの確立を目指す。
研究方法
東京大学、大阪大学、虎の門病院において人工内耳手術を施行された症例のデータベースを作成し、下記6項目について統計処理を加えて検討する。1)人工内耳を装用した高度難聴小児の就学までに獲得する言語能力およびそれに影響を与える要因、2)人工内耳症例と補聴器装用(重度・中等度難聴児)の就学児およびその後の言語能力の比較、3)自閉傾向・学習障害等を合併する人工内耳装用児の言語性IQでみた療育効果、4)内耳奇形症例に対する人工内耳の装用効果、5)対側補聴器装用例の人工内耳装用の効果、6)両側人工内耳装用の効果
結果と考察
今年度は共通して用いるデータベースファイルの作成を行った。項目は、基本情報(年齢、性、難聴の原因、手術年齢など)、人工内耳デバイス(音声処理法、NRT結果など)、言語発達(ITPA、PVT、MAIS、MUSSなど)、聴取能(CI2004、67Sなど)である。これに従って現在入力を行っている。また各施設において上記課題について検討したところ、内耳奇形のうちモンディニ奇形や前庭水管拡大症では概ね聴取および言語発達は良好であり、蝸牛回転不全分離もほぼ良好であるが、common cavityは聴取能に限界があり、内耳道狭窄では不良という傾向が得られた。療育についてはoral communicationが視覚入力を重視した教育に優る傾向があるが、2歳前後以下に人工内耳手術を受けた場合は療育方法に関係なく聴取・言語発達が良好との傾向があり、重複障害例については、言語発達は厳しい状況との認識を得ている。
結論
先天性高度感音難聴で人工内耳を施行した小児例に対し、共通のデータベースを作成して聴覚・言語能力の発達に影響する要因に関して評価を行った。集計の途中であるが、手術年齢、療育方法、内耳奇形や重複障害の有無に関する結果が得られてきている。
公開日・更新日
公開日
2009-04-05
更新日
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