文献情報
文献番号
200828016A
報告書区分
総括
研究課題名
正常眼圧緑内障の病態解明と治療薬の開発
課題番号
H20-感覚器・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
田中 光一(東京医科歯科大学大学院疾患生命科学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 原田 高幸(東京都神経科学総合研究所)
- 布施 昇男(東北大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我々は、グルタミン酸トランスポーター GLAST, EAAC1欠損マウスが、ヒト正常眼圧緑内障のモデル動物であることを報告した。本研究では、正常眼圧緑内障患者のGLAST, EAAC1遺伝子の詳細な解析を行い新しい診断法を確立するとともに、モデル動物を用いて正常眼圧緑内障の病態解明と新規治療薬の開発を行なう。
研究方法
1.正常眼圧緑内障患者の遺伝子解析: GLASTの10個のエクソン、EAAC1の12個のエクソンに対しプライマーを設計し、全てのエクソンをPCRで増幅し、塩基配列を決定し、患者特異的遺伝子変異の有無を検討した。
2.モデル動物における網膜神経節細胞の変性機序の解明:GLAST欠損マウスの網膜の変性に、ASK1遺伝子が関与しているか調べるため、両遺伝子の欠損マウスを交配し、形態学的観察を行った。
3.神経保護薬の薬効評価:ABS75とlipoproteinの神経保護効果を、モデル動物を用い検討した。
4.GLASTの活性促進化合物の検索:培養ミューラー細胞におけるグルタミン酸取り込み能の定量的解析を行った。ヒトGLASTを安定に発現した細胞株を作成した。
2.モデル動物における網膜神経節細胞の変性機序の解明:GLAST欠損マウスの網膜の変性に、ASK1遺伝子が関与しているか調べるため、両遺伝子の欠損マウスを交配し、形態学的観察を行った。
3.神経保護薬の薬効評価:ABS75とlipoproteinの神経保護効果を、モデル動物を用い検討した。
4.GLASTの活性促進化合物の検索:培養ミューラー細胞におけるグルタミン酸取り込み能の定量的解析を行った。ヒトGLASTを安定に発現した細胞株を作成した。
結果と考察
1.GLASTのエクソン1に1つ、エクソン7に3つ、新規のSNPを発見した。エクソン7のSNPsは、現在までのところ、緑内障患者群にしか見つかっておらず、遺伝型、アリル頻度に正常対照群と有意差があるか検討中である。GLASTのexon10の一塩基多型は、アリル頻度において正常対照との間に有意な差を認めた。
2.GLAST欠損マウスにおける神経細胞の変性にASK1遺伝子が関与していることを明らかにした。
3.ABS75およびlipoproteinの神経保護効果は、解析中である。
4.IL-1 がGLASTによるグルタミン酸の取り込み量を増大させ得ることを見出した。ヒトGLASTを安定に発現した細胞株を樹立した。
2.GLAST欠損マウスにおける神経細胞の変性にASK1遺伝子が関与していることを明らかにした。
3.ABS75およびlipoproteinの神経保護効果は、解析中である。
4.IL-1 がGLASTによるグルタミン酸の取り込み量を増大させ得ることを見出した。ヒトGLASTを安定に発現した細胞株を樹立した。
結論
GLAST遺伝子のSNPはヒト正常眼圧緑内障の発症に関与しており、SNPを解析することにより、正常眼圧緑内障の早期診断の可能性が示唆された。また、酸化ストレスによって神経細胞死を誘導するASK1遺伝子がGLAST欠損マウスにおける網膜神経節細胞の変性に関与することがわかった。さらに、グルタミン酸輸送体機能の賦活化が緑内障治療に有効である可能性がin vivoでも確認された。
公開日・更新日
公開日
2009-04-07
更新日
-