ナノテクノロジー、再生医学を融合した人工内耳・人工蝸牛の開発

文献情報

文献番号
200828010A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノテクノロジー、再生医学を融合した人工内耳・人工蝸牛の開発
課題番号
H19-感覚器・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 壽一(京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
研究分担者(所属機関)
  • 中川 隆之(京都大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 平海 晴一(京都大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 坂本 達則(京都大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
  • 川野 聡恭(大阪大学大学院基礎工学研究科 分子流体力学)
  • 田畑 泰彦(京都大学再生医科学研究所 生体組織工学研究部門 生体組織工学、生体材料学)
  • 和田 仁(東北大学大学院 工学研究科 機械工学 )
  • 熊川 孝三(虎の門病院 耳鼻咽喉科 耳鼻咽喉科学)
  • 内藤  泰(神戸市立医療センター中央市民病院 耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
23,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ナノテクノロジー、蝸牛バイオメカニクス、内耳生物学および再生医学、組織工学、耳科学の各分野の知見を統合し、医工連携による「内耳再生」を目指し、スタンドアロンな蝸牛埋め込みデバイスを開発し、細胞移植によるラセン神経節再生と融合し、蝸牛機能を再生する技術を開発することを目的とする。
研究方法
平成20年度には、圧電素子を応用した人工感覚上皮デバイスの液体中での動作特性評価を行い、蝸牛埋め込み後の起電力特性を調べた。また、蝸牛基底板振動の数値解析モデルを用いて、蝸牛基底部で基底板に人工感覚上皮デバイスを接着した場合の振動特性を解析し、人工感覚上皮デバイスに求められる物的条件を解析した。また、この数値モデル解析結果の条件を満たすデバイスを作製し、振動特性、起電力に関する解析を施行した。また、デバイス接着方法の開発として、デバイス表面のアルカンチオール加工による親 水化、コラーゲンコーティングを試みた。さらに、デバイスのモルモットおよびヒト蝸牛への埋め込み技術開発を行った。同時に、骨髄および脂肪組織由来間葉系細胞をソースとした細胞移植によるラセン神経節細胞再生に関する移植細胞開発、移植実験を施行した。
結果と考察
開発した人工感覚上皮デバイスは液体中でも適切な周波数特性を示したが、起電力に問題を呈した。蝸牛基底部での基底板振動特性の数値解析により、デバイスの厚さをナノスケールに落とす必要性が示唆された。この結果に基づき、厚さがナノスケールのデバイスを開発したところ、良好な振動特性と十分な起電力を持つ、デバイスが作製できた。このデバイスをモルモット蝸牛基底部に埋め込むためのデザイン、埋め込み手術手技を開発することができた。また、細胞移植実験では、それぞれの細胞ソースからneurosphereを作製することに成功し、モルモット蝸牛移植後に神経分化することを確認した。
結論
シュミレーション上蝸牛基底部の基底板に接着することにより、同部位のラセン神経節細胞を刺激できる圧電素子デバイスを作製し、その埋め込み法を開発した。また、自己由来細胞を用いたラセン神経節細胞再生の基盤技術を開発することができた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-28
更新日
-