ワンセグ放送を用いた聴覚障害者に対する講義場面での情報保障に関する研究

文献情報

文献番号
200827032A
報告書区分
総括
研究課題名
ワンセグ放送を用いた聴覚障害者に対する講義場面での情報保障に関する研究
課題番号
H20-障害・若手-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
塩野目 剛亮(国立大学法人 筑波技術大学 産業技術学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では,聴覚障害者の高等教育を充実させるためのワンセグ放送を用いた情報保障について検討している.聴覚に障害がある人たちは,音声情報の取得にバリアがあるといわれており,大学の講義を受ける際には情報保障が必要となる.このような情報保障にかかわる取り組みは各自治体でも手話通訳者派遣,要約筆記ボランティアなどによって行われているが,人的,機器的な福祉コストは無視できる大きさではない.また,学生に情報提供する手段によって,機器の設置,調整のコストも変動する.本研究ではワンセグ放送を用いた柔軟,かつ簡便な情報保障のシステムの構築を目的とし,情報提示手法,および情報保障画面の構成について実験的に検討している.
研究方法
はじめに,市販されているワンセグ放送受信機の特性を調査・分析した.ワンセグ放送受信機は様々な利用形態,画面の大きさ,画面のレイアウト,字幕の表示設定,データ放送受信の可否などの情報受容に影響する要因を持っている.
次にワンセグ放送送信機(DBS5000デモ機,ヒロテック株式会社)を用いた情報保障画面の送信実験を行なった.情報保障画面は手話通訳に,スライド,キーワードを付加したものである.送信機はコンポジット入力映像をH.264形式でエンコードし,多重化,ODFM変調,RF出力を行なうものである.
結果と考察
ワンセグ放送受信機の調査・検討の結果から,多様な画面大きさでも視認性が確保できるような情報保障画面の提示が必要であることがわかった.また,データ放送の受信ができない機器も存在することから,映像と字幕による情報保障画面の提供が有効であることがわかった.さらに,ワンセグ放送送信実験の結果からは,現状の情報保障画面の提示方法では,手話の読み取りや合成したスライドの読み取りが困難であることがわかった.
これらの検討の結果から,(1)情報保障画面の最適化,(2)要約筆記字幕のリアルタイム挿入,(3)実際的なワンセグ放送を用いた情報保障の運用,といった課題群が明らかになった.
結論
以上のような課題が存在する中でワンセグ放送を実際の講義場面で情報保障の手段として利用することは,時期尚早であると言わざるを得ない.情報保障画面の適切な構成とともに,ワンセグ放送受信機も情報保障に適したものを選択した上で,実際の講義での情報保障に使用する必要がある.

公開日・更新日

公開日
2009-04-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
-