小児行動の二次元尺度化に基づく発達支援策の有効性定量評価に関する研究

文献情報

文献番号
200827029A
報告書区分
総括
研究課題名
小児行動の二次元尺度化に基づく発達支援策の有効性定量評価に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
稲垣 真澄(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 軍司 敦子(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
  • 小池 敏英(東京学芸大学 教育学部)
  • 加我 牧子(国立精神・神経センター 精神保健研究所)
  • 杉江 秀夫(自治医科大学 小児科)
  • 林  隆(山口県立大学 看護栄養学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
14,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害に対する療育法はこれまで多くの提案がなされているが,その有効性については評価尺度が一定でないため,明らかでなかった.本研究では小児行動を二次元平面で座標の時間的移動としてとらえる二次元評価尺度を導入して,発達支援策の有効性の定量評価をめざすことを目的とした.
研究方法
小児行動の二次元尺度化のための基礎的研究を進め,発達障害児におけるソーシャルスキルトレーニングの有効性評価と社会性行動評価の基準項目の提案を目指した.また,集団随伴性による高機能自閉症児のソーシャルスキル指導による効果を客観的に明らかにすることを目指した.そして,知的障害児,広汎性発達障害,ADHDの行動支援法開発とその療育法の有効性評価を行った.
結果と考察
初年度は,二次元評価法を確立することと,尺度として基準項目の提案を行った.本方法では,児童二人や複数の子ども同士が向き合っている時間,視野内の時間を算出することが可能であった.そして発達障害児におけるソーシャルスキルトレーニングの有効性を測る際には,コミュニケーション行動の増減だけでなく,対面行動などの運動解析と併せた解釈が求められていると考えられた.また,ペア活動での対人間距離の検討や顔認知の評価も重要であることが示唆された.このシステムは高機能広汎性発達障害児の行動評価に有用性があると想定されたが,重度精神遅滞をもつ自閉症の行動評価にも役立つ可能性が示された.一方,ADHD児の評価には静的課題と動的課題を組み合わせる必要性も示された.
結論
小児行動の客観的評価のために二次元平面で座標の時間的移動という二次元評価尺度を導入した.個人の行動変化並びに対人間の距離,あるいは向き合いの時間などを把握することができて,ソーシャルスキルトレーニングや応用行動分析の前後での行動評価を行えることが判明した.高機能広汎性発達障害,知的障害,ADHD児の療育指導の効果をみるための指標として二次元評価尺度が有用である可能性が示された.

公開日・更新日

公開日
2009-04-07
更新日
-