精神障害者の退院促進と地域生活支援のための多職種によるサービス提供のあり方とその効果に関する研究

文献情報

文献番号
200827024A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の退院促進と地域生活支援のための多職種によるサービス提供のあり方とその効果に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 順一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所 社会復帰相談部)
研究分担者(所属機関)
  • 萱間 真美(聖路加看護大学 )
  • 大嶋 巌(日本社会事業大学 )
  • 西尾 雅明(東北福祉大学 )
  • 瀬戸屋 雄太郎(国立精神・神経センター精神保健研究所 社会復帰相談部)
  • 瀬戸屋 希(聖路加看護大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重度精神障害者の退院を促進し地域生活を支援する多職種サービスに着目し、ACT、精神科訪問看護、精神科デイケアの、対象・業務内容の相違、効果、支援内容の相違等について調査。またACT立ち上げ時の支援のありかたについて調査。    

研究方法
1.ACT、訪問看護等のサービス内容分析:ACT、訪問看護、精神科デイケア各10カ所で支援実態の把握と個別支援内容と効果の追跡調査。
2.精神科訪問看護のケア内容と効果の研究:新規に訪問看護を開始した統合失調症の患者を対象に、2年間の追跡調査。退院後、通院のみを利用している患者が対照群。容態急変時訪問の実態についてヒアリング調査。
3.ACT等多職種サービスの立ち上げ支援研究:ACTを立ち上げた、または準備中の事業体を対象に、プログラムの位置づけ、チームビルディングの状況などについて課題整理とモニタリング。
結果と考察
1.ACT群:重症患者に多職種で訪問サービス提供。ケースロードが低く、中頻度・比較的長めのコンタクト時間。地域も含めた訪問支援の展開。具体的支援の実施率が高い。訪問看護群:安定した社会機能を示す患者層が対象。低頻度・短いコンタクト時間。観察・アセスメントの実施率が高い。地域の他のサービスを多く活用、不足の場合は訪問看護が補足。デイケア群:通所が可能な患者に、多職種の支援。様々な診断の患者。長めのコンタクト時間。個別的関与は少なく、コンタクトはほぼデイケア本部で実施。
2.訪問看護群124名(ステーション46名、病院78名)、外来群9名の計133名から調査。ステーションで女性の比率、合併症率が高く、GAF得点が低い。ステーションでは比較的、訪問頻度が多く、1回あたりの滞在時間が長い。同行訪問者は病院群で多く60.5%。ステーションでは具体的援助の実施率が、病院では観察・アセスメントの実施率が高い。容態急変時訪問に必要なサポートは、主治医との連携、危機介入に対する評価の充実。
3.東北福祉大学せんだんホスピタルのACTチーム立ち上げを対象に、「組織」、「連携」、「研修」「支援内容」の4項目を軸に、スタッフに対するグループ面接、ミーティング記録や業務日誌から、重要事項、課題を明確化。
結論
追跡調査による縦断的なアウトカム検討が必要。サービスと対象者層とのマッチングの検討、地域社会のなかでのシステム・モデルの提示も必要。暫定版ACT事業化ツールキットを作成も課題。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-