経済学的手法による補装具の価格構成に関する研究

文献情報

文献番号
200827023A
報告書区分
総括
研究課題名
経済学的手法による補装具の価格構成に関する研究
課題番号
H20-障害・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 福祉機器開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 伸也 (国立障害者リハビリテーションセンター研究所 補装具製作部)
  • 我澤 賢之(国立障害者リハビリテーションセンター研究所 障害福祉研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
義肢・装具・座位保持装置(以下「義肢等」)を中心に補装具価格の構成を調査により明らかにするとともに経済学的観点から分析を行い補装具費支給水準(「補装具の種目、購入又は修理に要する費用額の算定に関する基準」)の基礎となる新しい価格算定式を提示し政策立案に資する基礎情報を提供する。
研究方法
本年度はつぎのような基礎的な調査を実施した。
【国内の状況】
1)義肢等製造事業者を対象に製造に要する費用・採算状況について調査を実施した(対象聞き取り19社、アンケート予備調査30社、アンケート本調査約600社)。
2)また義肢等の製作で持ちいる完成用部品の供給事業者を対象に供給・採算状況について調査を実施した(対象聞き取り1社、アンケート39社)。
3)義肢等以外の種目の補装具の費用・採算状況について簡単なアンケート調査を実施した。
これらの調査の結果について、聞き取り調査の結果概要をまとめるとともに、アンケート調査については現行制度の交付基準額と実際に要する費用との比較等分析を行った。
【外国の状況】
4)今後の国内制度のあり方の参考とするためカナダ・欧州の訪問調査を行った。
この調査について聞き取り調査結果をまとめた。

次年度追加調査と分析を行う。
結果と考察
【国内調査】
・義肢等事業所有効回答の3割で営業赤字があることが示された。
・義肢等製造に要する実費用が現行制度での想定と比べ高い可能性が示された。特に平均人件費単価(時給)については制度での想定水準に比べ統計的に有意に高く、かつ製造業の平均より低いことが示された。
・義肢等完成用部品については想定されている義肢等製作事業者への販売価格(完成用部品登録・変更申請時の申請価格)より高い価格で販売されているケースが相当数あることが明らかになった。この背景として、完成用部品供給原価の上昇の可能性が示唆された。
・義肢等以外の種目の補装具の一部について、現行制度での採算が厳しいものがあることが示された。

【外国調査】
・北欧型の一括購入により、強い市場の形成と競争原理の効果的な導入が行われていることが明らかになった。
・また、適合が必要な用具についての問題点も抽出され、日本型のシステム構築の必要性が示唆された。
結論
 現行制度のもとで義肢等製造事業の採算が厳しいことが示された。また、基本工作法の現況についてさらに調査する必要性が示された。
 政策への貢献という点では本研究の結果を参考に平成21年度に向けた義肢等基準価格の改定の際想定人件費単価が引き上げられた。また、完成用部品供給事業者から義肢等製作事業者への想定販売価格を公表することになった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-