優良補助犬の効率的育成と普及に関する生殖工学的研究

文献情報

文献番号
200827017A
報告書区分
総括
研究課題名
優良補助犬の効率的育成と普及に関する生殖工学的研究
課題番号
H19-障害・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 宏志(国立大学法人 帯広畜産大学 原虫病研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
16,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害者の社会参加の促進に資するために、補助犬の人工繁殖技術の開発と実用化および補助犬適性の遺伝子レベルでの診断系の開発を果たし、優秀な補助犬の効率的育成とその啓蒙・普及を達成すること
研究方法
(I)イヌ精子の超急速凍結保存法の開発、(II)盲導犬の人工授精法の普及に関する検討、(III)盲導犬の卵巣移植法の開発、(IV)イヌ胚の凍結保存技術・胚移植技術の開発、および(V)遺伝子多型の解析による盲導犬適性検査法の開発を行った。
結果と考察
(I)スキムミルクと糖を基礎とする新規凍結保存液組成の改良を加えた結果、イヌ精子の凍結保存にはトレハロースが最も適していることを明らかにした。(II) 人工授精の実用化を果たした。(III)卵巣の異種移植については、マウスの皮下および腎皮膜下が移植部位として優れていること、卵子の成熟誘起については、培養時の酸素分圧を低く保つことが効果的であることを明らかにした。(IV)世界で初めて、イヌ凍結融解胚由来の産仔を、しかも非外科的移植によって得ることに成功した。(V)9種の性格関連遺伝子の合計19多型について、盲導犬適性との間の関連性の有無を検討した結果、合計3種類の一塩基多型について、盲導犬群と非盲導犬群の遺伝子頻度に統計学的に有意な差認められた。
結論
研究計画に沿った活動によって、新規のイヌ凍結精子保存液の開発を果たすとともに、人工授精の実用化、普及を進展させた。また、ブルセラ症、進行性網膜委縮症の診断・検査系を確立し、診断サービスを継続的に提供した。加えて、世界で初めて、凍結胚由来の産仔を、しかも非外科的移植によって得たことは、特筆すべき成果であると考える。次年度以降の本研究の遂行によって、一層の優良補助犬の効率的育成と普及に寄与する成果が得られるものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
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