障害者の健康状態・栄養状態の把握と効果的な支援に関する研究

文献情報

文献番号
200827007A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者の健康状態・栄養状態の把握と効果的な支援に関する研究
課題番号
H18-障害・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 昌彦(椙山女学園大学 生活科学部 臨床栄養学分野)
  • 杉山 みち子(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部栄養学科 栄養管理・栄養教育分野)
  • 大和田 浩子(茨城キリスト教大学 生活科学部 公衆栄養学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害者自立支援法の施行により、ケアマネジメントが導入され各種サービス体系の見直しが行われるなか、適切なサービスを提供するためには、障害者の健康・栄養状態に関する課題を明確にし、個別に対応した健康管理や栄養ケアの提供が必要である。本研究は障害者に対する栄養ケアのあり方及びサービス提供体制や質の向上に寄与する根拠を提示することを目的としている。3年計画の最終年にあたる今年度は、障害者の栄養ケア・マネジメントの手順の標準化及び事例の検討に重点を置いて研究を実施した。
研究方法
これまでの一連の研究成果を踏まえ、障害児及び障害者施設における栄養ケア・マネジメントの手順の検討を行った。また、57研究協力施設において、栄養ケア・マネジメントの導入及び個別症例の検討を行った
結果と考察
結果:「障害児・障害者施設における栄養ケア・マネジメント実務の手引き(案)」を作成した。この「手引き(案)」を用いて、57研究協力施設において、栄養ケア・マネジメントの導入又は個別症例の検討を行ったところ、本「手引き(案)」を用いることで、障害者施設における栄養ケア・マネジメントの体制整備及び業務推進が円滑に実施されることが示唆された。

考察:「障害児・障害者施設における栄養ケア・マネジメント実務の手引き(案)」は、障害者施設における栄養ケア・マネジメントの体制整備及び円滑な業務推進に有効であることが明らかになった。障害者の栄養状態のリスクの判定の一部は、本研究班の障害者データに準拠しており、これまで健常者のものを参考にしてきた障害者栄養の領域が一歩前進したものと考えられる。
結論
結論:今回作成した「障害児・障害者施設における栄養ケア・マネジメント実務の手引き(案)」は、暫定的なものである。障害児・障害者のQOL向上を目指した栄養ケア・マネジメントを確立するためには、障害児・障害者を対象とした疫学的な横断研究及び縦断研究等を進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-07-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200827007B
報告書区分
総合
研究課題名
障害者の健康状態・栄養状態の把握と効果的な支援に関する研究
課題番号
H18-障害・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学大学院 医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 昌彦(椙山女学園大学 生活科学部 臨床栄養学分野)
  • 杉山 みち子(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科 栄養管理・栄養教育分野)
  • 大和田 浩子(茨城キリスト教大学 生活科学部 公衆栄養学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害者自立支援法の施行により、障害者への適切なサービスを提供するためには、障害者の健康・栄養状態に関する課題を明確にし、個別に対応した健康管理や栄養ケアが必要である。そこで本研究では、障害者に対する栄養ケアのあり方及びサービス提供体制や質の向上に寄与する根拠を提示することを目的とした。
研究方法
(1)障害者の栄養ケア・マネジメントに関する系統的な文献レビューの実施、(2)障害者の健康・栄養状態の実態把握(全国質問紙票調査、横断的な多施設共同研究)、(3)障害者の栄養スクリーニング、アセスメント指標に関する検討、(4)米国栄養士会による障害者栄養ケア・マネジメントに関する手順の翻訳、(5)障害者栄養ケア・マネジメント手順の標準化及び事例検討を行った。
結果と考察
低栄養状態の指標として、BMI低値(18.5未満)、アルブミン低値(基準値未満)の出現状況をみると、BMIが低値であった者は、知的障害者: 10.1%(男性);6.6%(女性)、身体障害者:37.6%(男性);38.5%(女性)、Albが低値であった者は、知的障害者:10.6%(男性);16.1%(女性)、身体障害者:52.1%(男性);61.9%(女性)であった。過栄養状態の指標としてBMI高値(25.0以上)の出現状況をみると、知的障害者:15.2%(男性);27.0%(女性)、身体障害者:12.1%(男性);15.4%(女性)であった。以上より、障害者の栄養状態は、低栄養状態と過栄養状態の両極にある点に特徴があると言える。「障害児・障害者施設における栄養ケア・マネジメント実務の手引き(案)」を作成し、57施設で事例検討を行った結果、この「手引き(案)」を使用することで、栄養ケア・マネジメントの体制整備及び円滑な業務推進に繋がることが明らかになった。今回、障害者の栄養状態のリスクの判定の一部は、本研究班で提示した障害者データに準拠しており、これまで健常者のものを参考にしてきた障害者栄養の領域が一歩前進したものと考えられる。
結論
「障害児・障害者施設における栄養ケア・マネジメント実務の手引き(案)」は、まだ暫定的なものである。障害(児)者のQOL向上を目指した栄養ケア・マネジメントを確立するためには、障害(児)者を対象とした疫学的な横断研究及び縦断研究等を進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-04-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200827007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
「障害児・障害者施設における栄養ケア・マネジメント実務の手引き(案)」の作成及び事例検討を行い、本「手引き(案)」を用いることで、障害児・障害者施設における栄養ケア・マネジメントの体制整備及び業務推進が円滑に行われることを示した。また、障害者の栄養状態のリスクの判定の一部は、本研究班で提示した障害者データに準拠しており、これまで健常者のものを参考にしてきた障害者栄養の領域が一歩前進したものと考えられる。
臨床的観点からの成果
障害者入所施設における入所者には、低栄養・過栄養状態の者が高い割合でみられた。障害者の栄養状態は、低栄養状態のみならず過栄養状態も認められた点、すなわち、低栄養状態と過栄養状態の両極にある点に特徴があると言える。また、身体障害者のアルブミン低値者の出現状況は、一般の同年齢と比較して明らかに高いことが示唆された。さらに、炎症反応(CRP)やIgG高値を示す者も多く、炎症の存在が疑われることも明らかになった。
ガイドライン等の開発
「障害児・障害者施設における栄養ケア・マネジメント実務の手引き(案)」を作成した。
その他行政的観点からの成果
2009年4月、障害福祉サービス等報酬改正で入所児・入所者の栄養改善や食生活の質の向上をさらに推進する観点から、施設に配置された管理栄養士または栄養士による栄養管理の評価対象に小規模施設を加えるとともに、管理栄養士を中心に行う利用者一人ひとりに応じた栄養管理、経管栄養から経口栄養への移行、誤嚥が認められる者の経口維持、療養食の提供について、報酬上の評価が行われることになった。本研究班では、報酬評価に関わる根拠の一部を提示した。
その他のインパクト
平成20年度全国福祉栄養士協議会研修会において、「障害者施設における栄養ケア・マネジメント」について特別講演を行った。平成21年度障害児・者施設における栄養マネジメント研修会(主催:(社)日本栄養士会全国福祉栄養士協議会)において、「障害児・障害者施設における栄養ケア・マネジメント」について講演・演習を行った。

発表件数

原著論文(和文)
1件
多田由紀,西村秋生,加藤昌彦,大和田浩子,中山健夫,杉山みち子.障害者の栄養ケア・マネジメントのあり方に関する文献的検討.日本健康・栄養システム学会誌(印刷中)
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
大和田浩子.知的障害者の栄養状態と栄養管理.日本栄養学会誌.2009:67;
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
茨城県栄養・健康学会(2008,2009),日本健康・栄養システム学会シンポジウム(2008)
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
2009年4月、障害福祉サービス等報酬改正
その他成果(普及・啓発活動)
4件
知的・身体障害者の栄養ケア・マネジメントマニュアル(書籍刊行)建帛社.2009,平成21年度障害児・者施設における栄養マネジメント研修会(主催:(社)日本栄養士会全国福祉栄養士協議会)で講演・演習。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
多田由紀,西村秋生,加藤昌彦 他
障害者の栄養ケア・マネジメントのあり方に関する文献的検討
日本健康・栄養システム学会誌(印刷中)  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-