高次脳機能障害者に対する医療・福祉・就労支援における人材育成に関する研究

文献情報

文献番号
200827002A
報告書区分
総括
研究課題名
高次脳機能障害者に対する医療・福祉・就労支援における人材育成に関する研究
課題番号
H18-障害・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
江藤 文夫(国立障害者リハビリテーションセンター 更生訓練所)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
  • 寺島 彰(浦和大学総合福祉学部)
  • 藤井 俊勝(東北大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高次脳機能障害者の地域における自立生活・就労を支援する体制を整備するための人材育成を目的として、医療関連職、支援コーディネーター等専門職のための研修会を実施するとともに、教材を開発し、それらの効果を検証した。
研究方法
①前年度に引き続き、全国の地域ブロック、都道府県、および市町村における医療・福祉専門職・行政職等を対象とした高次脳機能障害者支援研修会・講習会等の開催に応じ、教材を作成し、配布した。また、障害者自立支援法の概要と施行後の変更点、および高次脳機能障害者支援の位置づけについて質問の多い点を整理し教材を改訂した。
②英米の高次脳機能障害支援システムについて情報収集を行い、それらの成果をまとめた。
③高次脳機能障害者支援コーディネーターを対象に、相談頻度の高い生活・就労支援の事例について検討会を催し、検討内容、形式、要望についてアンケート調査を行った。また、結果を次回の企画に反映させた。
結果と考察
①教材について
初年度に作成した教材である高次脳機能障害者支援の手引きを改訂し、障害者ソーシャルワークにおけるケアマネジメントの位置づけ、障害者ケアマネジメント、障害者自立支援法におけるケアマネジメントのプロセス、地域生活支援事業、市町村・都道府県の役割について、地域生活支援事業における相談支援事業、自立支援法施行後の支援等を網羅した。研修会・講習会総数は66件、合計7,979部を配布した。
②英米のシステムについて
英国の支援システムでは、既存の職種によるチームをコーディネートし、個別ニーズに対応したケースマネジメントを行う人材が必要とされるが、未だ専門職としての体系的養成システムは発展段階にあり、教材とワークショップ形式の研修会を通じての養成活動が有効と考えた。
③研修会について
1)平成20年7月5日に第1回高次脳機能障害者支援コーディネーターのためのワークショップを開催した。参加者は102名であった。また、第1回ワークショップ終了後のアンケートで得られた意見を次回の企画に反映させた。
2)平成21年2月21日に第2回高次脳機能障害者支援コーディネーターのためのワークショップを開催した。参加者は68名であった。
結論
本研究で行った研修会の受講者が各自治体や関係機関において教材を用いながら自ら高次脳機能障害の研修会を開くという流れが広がった。高次脳機能障害支援拠点機関は、支援普及事業開始前の13都道府県から41都道府県54ヶ所に増加した。こうした人材の体系的養成システムは国際的にも未成熟であり例がない。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200827002B
報告書区分
総合
研究課題名
高次脳機能障害者に対する医療・福祉・就労支援における人材育成に関する研究
課題番号
H18-障害・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
江藤 文夫(国立障害者リハビリテーションセンター 更生訓練所)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
  • 寺島 彰(浦和大学 総合福祉学部)
  • 藤井 俊勝(東北大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高次脳機能障害者の地域における自立生活・就労を支援する体制を整備するための人材育成を目的として、医療関連職、支援コーディネーター等専門職のための研修会を実施するとともに、教材を開発し、それらの効果を検証した。
研究方法
①全国高次脳機能障害者支援研修会・講習会等の開催に応じ、教材を作成・改訂し、配布した。
②英米の高次脳機能障害支援システムについて情報収集を行い、それらの成果をまとめた。
③高次脳機能障害者支援に携わる専門職および支援コーディネーターを対象に、同障害の主症状である「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」「社会的行動障害」の基礎講義および相談頻度の高い生活・就労支援の事例について検討会を催し、検討内容、形式、要望についてアンケート調査を行った。また、結果を次回の企画に反映させた。
④高次脳機能障害者支援に関する情報を掲載するウエブサイトを設置し、運営を開始した。
結果と考察
①教材について
外部研修会実施件数180件、手引き配布数20,988部であった。
②英米のシステムについて
英国の支援システムでは、既存の職種によるチームをコーディネートし、個別ニーズに対応したケースマネジメントを行う人材が必要とされるが、未だ専門職としての体系的養成システムは発展段階にあり、教材とワークショップ形式の研修会を通じての養成活動が有効と考えた。
③研修会について
ワークショップ6回、参加のべ人数は、630名であった。
④情報提供について
ウエブサイトを開設した。内容は高次脳機能障害診断基準、高次脳機能障害者支援の手引き、全国連絡協議会・ワークショップのお知らせ、高次脳機能障害者支援拠点機関一覧。アクセス数は32,495件であった(平成21年3月現在)。
結論
本研究では、英米の地域ケアシステムを参考にしながら、専門職向けの教材開発および研修会を試行し、高次脳機能障害に関する専門知識と技能をもつ人材を育成した。受講者が各自治体や関係機関において教材を用いながら高次脳機能障害の研修会を開くという流れが広がり、支援体制の普及整備に寄与したと考えられる。高次脳機能障害支援拠点機関は、支援普及事業開始前の13都道府県から41都道府県54ヶ所に増加した。こうした人材の体系的養成システムは国際的にも未成熟であり例がない。

公開日・更新日

公開日
2017-05-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200827002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では、英米の地域ケアシステムを参考にしながら、専門職向けの教材開発および研修会を試行し、高次脳機能障害に関する専門知識と技能をもつ人材を育成した。専門職研修会を6回開催し、のべ630名が参加した。開発した教材を全国で開催された180研修会で20,988部配布した。受講者が各自治体や関係機関において教材を用いながら自ら高次脳機能障害の研修会を開くという流れが広がった。こうした人材の体系的養成システムは国際的にも未成熟であり、例がない。
臨床的観点からの成果
ワークショップでの個別支援介入事例の討議を通じて、手法の構造的分析に接近し、エビデンス構築の基礎が形成されうる。
ガイドライン等の開発
平成18年度に作成した教材である高次脳機能障害者支援の手引きを平成20年度に改訂した。改訂版では障害者ソーシャルワークにおけるケアマネジメントの位置づけ、障害者ケアマネジメント、障害者自立支援法におけるケアマネジメントのプロセス、地域生活支援事業、市町村・都道府県の役割について、地域生活支援事業における相談支援事業、自立支援法施行後の支援等を網羅した。
その他行政的観点からの成果
高次脳機能障害支援拠点機関が、支援普及事業開始前の13都道府県から41都道府県54ヶ所に増加した。
その他のインパクト
平成18年度に高次脳機能障害支援普及事業に関する情報を掲載するウエブサイトを開設した。内容を下記に示す。
1.高次脳機能障害診断基準
2.高次脳機能障害者支援の手引き
3.全国連絡協議会のお知らせ
4.高次脳機能障害者支援のためのワークショップ
5.高次脳機能障害者支援拠点機関一覧さらに、平成18年末にアクセスカウンターを追加設置した。アクセス数は32,495件であった(平成21年3月現在)。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
6件
その他論文(和文)
15件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
その他成果(普及・啓発活動)
35件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Abe N, Suzuki M, Mori E,et al.
Deceiving others: distinct neural responses of the prefrontal cortex and amygdala in simple fabrication and deception with social interactions
Journal of Cognitive Neuroscience  (2007)
原著論文2
Okuda J, Fujii T, Ohtake H,et al.
Differential involvement of regions of rostral prefrontal cortex (Brodmann area 10) in time- and event-based prospective memory. International
Journal of Psychophysiology  (2007)
原著論文3
Sekiguchi H,Takeuchi S, Kadota H,et al.
Evoked brain potentials were changed by coil orientation of transcranial magnetic stimulation
Clinical Neurophysiology  (2008)
原著論文4
Abe N, Okuda J, Suzuki M,et al.
Neural correlates of true memory, false memory, and deception
Cerebral Cortex  (2008)
原著論文5
Kikuchi H, Fujii T, Abe N,et al.
Memory repression: brain mechanisms underlying dissociative amnesia.
Journal of Cognitive Neuroscience  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-