糖尿病多発神経障害の臨床病期分類の確立と病期に基づいた治療ガイドラインの作成

文献情報

文献番号
200826007A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病多発神経障害の臨床病期分類の確立と病期に基づいた治療ガイドラインの作成
課題番号
H20-糖尿病等・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
八木橋 操六(弘前大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 安田 斎(滋賀医科大学看護学科)
  • 佐々木 秀行(和歌山県立医科大学医学研究科)
  • 佐藤 譲(岩手医科大学医学部)
  • 出口 尚寿(鹿児島大学附属病院)
  • 杉本 一博(弘前大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 糖尿病戦略等研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病患者の増加が著しく、合併症によるQOL低下、早期死が重大な問題となっている。合併症の中で最も頻度の高い末梢神経障害(以下DN)については、国際的に標準化された診断基準や病期分類は未だなく、適切な治療、管理のための指標が確立されていない。今回の研究計画では、一定の神経学的評価基準を用いDN患者の病態を詳細に検討し、神経生理学的、病理学的評価を加え、DNの進展をベースとした臨床病期分類を確立し、それに添った治療ガイドラインの策定を目標とする。
研究方法
全国の多施設において、糖尿病患者のDNについての標準化された診察を行い、DNの診断および病期についての判定を行う。これらの症例を登録し、経時的に3-5年にわたって経過観察し、DNがどのように進展するかをみる。同時に神経伝導速度、少数例では皮膚生検実施による病理学的評価を加え神経障害との関連を検討する。DNの前向き調査としてプロトコールを予め作成し、暫定的に作成している臨床病期分類にあてはめ、横断面調査、および経時的調査を行う。背景には、血糖コントロール状態、高血圧、肥満、脂質異常など、服薬状況の影響も検討し、進展に与える危険因子、あるいは進展抑制因子も検討する。データは研究代表者施設で集積し、管理、解析する。
結果と考察
研究計画初年度では、臨床病期分類の暫定的作成と、それに添った症例登録のためのプロトコールを作成した。また、本研究調査、皮膚生検例のための倫理委員会申請を行い、研究承諾を得た。患者登録については、初年度でもあり分担研究者施設を中心に5施設約200例の登録に留まった。しかしながら、研究協力施設を求め、登録を今後500-800例まで増加させる予定である。一方、皮膚生検の評価については、ヒト正常例での検討、糖尿病動物での基礎的実験による解析を行い、その再現性のある方法論を確立できている。現在、初年度登録例での横断面調査を検討し、病期分類のI、Ⅱ、Ⅲ期例が80%を占め、Ⅳ、Ⅴ期は僅かであり、今後どのように進展するか関心がもたれる。
結論
糖尿病多発神経障害の臨床病期分類を暫定的に作成し、全国多施設にて糖尿病患者の神経障害がどのように進展するかの検討を開始した。この前向き調査によって、糖尿病患者にみられる神経障害の進展阻止のための指標が得られることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-