健診受診者のコホート化と運動、栄養介入による生活習慣病予防

文献情報

文献番号
200826002A
報告書区分
総括
研究課題名
健診受診者のコホート化と運動、栄養介入による生活習慣病予防
課題番号
H18-糖尿病等・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 昌(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 糖尿病戦略等研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内臓肥満につづく生活習慣病の増加にともない、将来の合併症治療まで含めると膨大な医療費増が見込まれる。肥満克服がどれだけ効果的か、本研究により食事と運動による介入おこない、認知行動変容療法を取り入れた介入により肥満克服の実践効果を研究する。
研究方法
佐久総合病院検診ドックセンターの受診者のうちから約400人を抽出、同意をえて行動変容理論による食事と運動の継続介入行った。毎月の体重変化・行動日記、加速度計による運動量の自己評価などと3ケ月ごとの健診をおこなった。血液検査等にくわえ腹部CT、遺伝子多型分析(SNP)も行い、背景要因も多面的に解析する。
結果と考察
一年間の介入プログラムを完遂したものは男性103名、女性は107名の計210名である。体重は男性が86.4±11.8kgから79.9±10.1kgに6kgの減、女性が75.2±9.5kgから71.0±10.3kgと4kgの減であった。腹囲は男性が約5cmの減、女性は約4cmの減少であった。
 食事のコントロールと運動習慣によって得られた肥満解消者は血圧低下も見られ、男性では132.3mmHgから127.3mmHgへ、女性は134.0mmHgから127.2mmHgに低下した。また体重減は空腹時インスリン値、空腹時血糖値、HbAicなどと有意な負の相関を示した。また、肥満解消とともに白血球数の減少もみられたが、白血球数は高感度CRP、空腹時インスリン、HbA1cと正相関し、肥満が炎症の誘因となっている可能性を示した。
結論
肥満を解消することで自覚症状や薬剤効果も改善を示すものが多かった。この結果は平成20年度から始まった特別健診における個別指導によってMSを解消すれば成果は大きいことを示唆する。体重減の得られない要因を分析し、どのように指導すれば目標に近づけるのか明らかにすることでさらに効果的にMSおよびそれにつづく生活習慣病の一次予防の方法が提唱できる。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200826002B
報告書区分
総合
研究課題名
健診受診者のコホート化と運動、栄養介入による生活習慣病予防
課題番号
H18-糖尿病等・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 昌(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 森岡正博(佐久総合病院)
  • 野田光彦(国立国際医療センター)
  • 佐々木敏(東京大学大学院)
  • 宮地元彦(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 糖尿病戦略等研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肥満解消によるメタボリックシンドロームの予防効果、生活習慣病の軽減効果を検証する。介入方法は本人の自覚と計画立案、実行を重視する認知行動変容療法の手法を取り入れた。
研究方法
糖負荷試験をうけたドック受診者4万人強の集団からBMI30以上の肥満者を250名選出し、インフォームドコンセントをとって管理栄養士による栄養教育と運動指導士による行動変容理論に基づいた介入研究を継続しておこった。毎月の体重、生活記録、3か月毎の健診によるコンサルテーションをおこない、行動変化や心理、血液検査、腹部CT、SNPsなど多面的なアプローチを採用した。

結果と考察
ランダム化後の介入により、12ヶ月後に平均5kgの体重減をえて、自覚症状や薬剤効果も改善を示すものが多かった。血圧降下、耐糖能改善、脂質異常症も改善した。この結果は平成20年度から始まった特別健診における個別指導によってMSを解消できれば生活習慣病の軽減に効果があることを示唆する。体重減の得られない要因を分析し、どのように指導すれば目標に近づけるのか明らかにすることでさらに効果的にMSおよびそれにつづく生活習慣病の一次予防の方法が提唱できる。
結論
本研究は疫学デザインを検討し、母集団の特性をはっきりさせたコホートから対象者をえらび管理栄養士と運動指導士をふくめた専門家グループにより食事と運動による介入を徹底しておこない、MSあるいは高血糖症、高血圧症等の改善効果を数量的に示せた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200826002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
認知行動変容療法をとりいれた自己変革を中心にした肥満克服プログラムでどの程度肥満解消ができるのか、またリバウンドの程度はどうか、ということを明らかにできた。
臨床的観点からの成果
食事と運動による肥満解消のみで多くのメタぼリックシンドロームや高血圧、耐糖能異常、脂質異常症が改善できることを示せた。
ガイドライン等の開発
栄養教育や運動ガイドラインに反映させている。
その他行政的観点からの成果
積極的介入により肥満解消がどの程度達成できるか、またそれによって生活習慣病のリスク軽減や検査値の改善がどの適度期待できるかを明らかにした。
その他のインパクト
NHKのモーニングホットニュース、日経のメタボ撲滅委員会、日米医学協力事業、日米シンポジム、
日本ラテンアメリカ老人病シンポジウム、ベトナムハノイとホーチミン市における肥満対策シンポジウムにて発表

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
9件
AntiAging Medなど
その他論文(和文)
4件
読売新聞、産経新聞など
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
5件
日本疫学会、日本病態栄養学会、抗加齢医学会など
学会発表(国際学会等)
8件
国際栄養士会、日米医学会、日本ラテンアメリカ老人病シンポジウムなど
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
運動ガイドライン、食事摂取基準2010など
その他成果(普及・啓発活動)
12件
メタボ撲滅委員会、糖尿病市民セミナー、栄養士会等

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Watanabe S, Morita A, Aiba N, et al.
Study design of the Saku Control Obesity Program (SCOP).
Anti-Aging Medicine , 4 (2) , 70-73  (2007)
原著論文2
Morita A, Ohmori Y, Suzuki N, et al.
Anthropometric and Clinical findings in obese Japanese: The Saku Control Obesity Program (SCOP)
Anti-Aging Medicine , 5 (1) , 13-16  (2008)
原著論文3
Takahashi Y, Murakami K, Morita A,et al.
Baseline dietary intake in the Saku Control Obesity Program (SCOP)
Anti-Aging Medicine , 5 (1) , 6-12  (2008)
原著論文4
Aiba N, Watanabe S, Morita A, et al.
Nutritional education and exercise treatment based on cognitive behavioral treatment in the Saku Control Obesity Program (SCOP)
Anti-Aging Medicine , 5 (2) , 39-45  (2008)
原著論文5
Miyoshi M, Hayashi F, Arai Y, et al.
Regional characteristics of secular changes in obese-related lifestyle behavior in Japan.
Anti-Aging Medicine , 5 (2) , 30-38  (2008)
原著論文6
Miyachi M, Ohmori Y, Yamamoto K, et al.
The use of a uniaxial accelerometer to assess physical-activity-related energy expenditure in obese men and women: Saku Control Obesity Program (SCOP)
Anti-Aging Medicine , 5 (1) , 1-5  (2008)
原著論文7
Tanaka S, Ohkawara K, Isikawa-Takata K, et al.
Accuracy of predictive equations for basal metabolic rate and contribution of abdominal fat distribution to basal metabolic rate in obese Japanese people.
Anti-Aging Medicine , 5 (1) , 17-21  (2008)
原著論文8
Yamada K, Takezawa J, Morita A, et al.
DNA polymorphism of obese people in Saku Control Obesity Program (SCOP).
Anti-Aging Medicine , 4 (2) , 63-69  (2007)
原著論文9
Ohmori Y, Suzuki N, Morita A, et al.
Association of personality(NEO-five factor inventory) with eating behaviors and physical activity levels in obese subjects in the Saku Control Obesity Program (SCOP)
Anti-Aging Medicine , 4 (2) , 43-50  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-