女性外来と千葉県大規模コホート調査を基盤とした性差を考慮した生活習慣病対策の研究

文献情報

文献番号
200825070A
報告書区分
総括
研究課題名
女性外来と千葉県大規模コホート調査を基盤とした性差を考慮した生活習慣病対策の研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-024
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
天野 恵子(千葉県衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 上野 光一(千葉大学・大学院薬学研究院)
  • 嘉川亜希子(鹿児島大学・大学院医歯学総合研究科・医学部)
  • 柳堀 朗子(千葉県衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病の発症、進展には性差が大きく関与する。しかし、日本では、日本人でのデータ作成が遅れているばかりでなく、性差の視点は0に等しい。また、既に欧米の研究から明らかにされている情報についても、医療従事者に周知徹底されていない。本研究は、性差の視点を導入した生活習慣病予防の指導・対策マニュアルの作成を目指している。
研究方法
今年度は国内外の既知のエビデンスを集約データベース化するとともに、千葉県で展開されている「女性健康疫学調査」「健康コーデイネート事業」「大規模コホート調査」におけるデータならびにITを活用した女性外来データファイリングのデータを性差を考慮した生活習慣病予防の視点で二次解析するため、各事業の詳細についての情報を収集し、データの収集方法が明確になるように整理した。また、医療機関から処方される医薬品の男女別使用実態を調査し、麻酔手術時に使用される医薬品の薬物動態に関する性差発現について文献検索を行った。臨床研究としては、閉経後女性における血流依存性血管拡張反応と冠血管危険因子との関連性について検討した。
結果と考察
本邦のコホート研究からは908件を登録対象文献とし、これらの文献の書誌情報、報告内容を記述した文献データベースを作成した。平成21年度には、国外の文献のデータベース化と並行して、本邦の文献に関しては有用性の検証作業をはじめる。千葉県のデータは、一部は既に本年度解析を進めており、全ての健康診断項目で、明らかな年齢差・性差が認められている。其のことからも、保健指導を実効性のあるものとするためには、年齢差・性差を考慮した説明・指導が欠かせない。医薬品の使用実態からは、65歳以上の高齢者が全処方数の約半数を占めること、年齢区分によって処方の多い性別が異なることが明らかとなった。しかし、直近2年間に承認された135剤のうち、69剤が新有効成分の区分で承認されていたが、それらの治験において女性を被験者として組み込み、性差の検討をしている承認医薬品は非常に少なかった。正常ないし軽微な冠動脈病変を持つ閉経後の女性における臨床研究では、HDL-Cは冠動脈血管内皮機能の重要な予測因子であった。
結論
本邦でも性差を考慮した疫学調査研究はみられるようになったが、臨床研究ではいまだ男女混合データで解析されている。今後も性差を考慮した健康・疾患に関するエビデンスの構築が重要である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-