糖尿病患者における2Dスペックル・トラッキング運動負荷心エコー法と冠動脈CTを組み合わせた冠動脈疾患の非侵襲的早期診断法の確立と実態把握および治療介入効果の多施設共同前向き研究

文献情報

文献番号
200825067A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病患者における2Dスペックル・トラッキング運動負荷心エコー法と冠動脈CTを組み合わせた冠動脈疾患の非侵襲的早期診断法の確立と実態把握および治療介入効果の多施設共同前向き研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-021
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 純一(大阪えき済会病院 病院長)
  • 越山 裕行(田附興風会医学研究所北野病院 糖尿病内分泌内科)
  • 黒瀬 健(関西電力病院 糖尿病栄養内科)
  • 赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 伊藤 浩(桜橋渡辺病院 心臓センター)
  • 平野 豊(近畿大学 医学部)
  • 渡辺 弘之(榊原記念病院 循環器内科)
  • 大門 雅夫(順天堂大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病患者の合併症として大血管障害の合併は高率であり、さらに糖代謝異常を合併する冠動脈疾患の特徴として無もしくは軽微症候性心筋虚血の存在がある。本研究では新しい負荷心エコー法と冠動脈CTを用いた多施設共同試験により、本邦における糖尿病患者についての心血管合併症の早期診断の確立とその実態調査を行う。

研究方法
本研究では、申請者が新たに開発しすでに実用化し臨床的に評価が定まっている2Dスペックル・トラッキング法を用いた負荷心エコー法により糖尿病患者の心筋虚血を診断し、冠動脈CTによる冠動脈病変診断とマッチングさせた多施設共同試験により、本邦における糖尿病患者についての心血管合併症の早期診断の確立とその実態調査を行う。多施設には8つの基幹病院および大学病院を選別している。

結果と考察
研究結果:156例の糖尿病患者を対象に、罹病年数、HbA1c、合併症の有無を評価し、胸痛、心電図ST-T変化、または冠動脈リスクを3個以上(糖尿病のほか、高血圧、喫煙、高脂血症、家族歴)を有する患者で本研究を行った。平均年齢は62.9±1.2才、糖尿病罹患期間7.1±0.4年、また平均HbA1c = 8.5±0.1%。冠動脈リスクでは高血圧を有する患者125例、喫煙者72例、高脂血症114例、冠動脈の家族歴を有する患者62例。67例で冠動脈CTにて50%以上の冠動脈狭窄を有した。うち48例が無症候性心筋虚血。67例の冠動脈狭窄症例のうち9例は3枝病変で22例は2枝病変、36名に1枝病変を認めた。
考察:糖尿病患者の合併症として大血管障害は高率であり、わが国でも死亡率の50%超となり予後不良である。糖尿病患者における冠動脈病変は重症かつ多枝病変で、冠動脈形成術や冠動脈バイパス術を施行しても再発するケースが多く、医療経済的にも大きな問題。また糖代謝異常に起因する無症候性心筋虚血の存在からその早期診断は困難。今回の2Dスペックル・トラッキング負荷心エコー法と冠動脈CTの組み合わせた検討では、糖尿病患者において高血糖のみでは冠動脈病変の危険因子ではないことが判明し、糖尿病に高血圧、喫煙、高脂血症、家族歴などを合併する群において効率に冠動脈病変を有することが判明。また156症例中、48例が無症候性心筋虚血であり、今回の方法を用い糖尿病に合併する無症候性心筋虚血を効率よく検出することが可能であり、より早期に診断可能であることが示唆された。
結論
2Dスペックル・トラッキング負荷心エコー法と冠動脈CTの組み合わせることにより、糖尿病患者における冠動脈疾患の非侵襲的早期診断が可能である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
-