MRIを用いた脳卒中発症・再発予防のためのより有効な降圧治療のエビデンスの創出

文献情報

文献番号
200825064A
報告書区分
総括
研究課題名
MRIを用いた脳卒中発症・再発予防のためのより有効な降圧治療のエビデンスの創出
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-018
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 能彦(奈良県立医科大学 第1内科)
研究分担者(所属機関)
  • 上野 聡(奈良県立医科大学 神経内科)
  • 吉川 公彦(奈良県立医科大学 放射線科学)
  • 伊藤 裕(慶応義塾大学 内科学)
  • 杉山 正悟(熊本大学大学院 循環器病態学)
  • 森本 剛(京都大学大学院 医学研究科附属医学教育推進センター)
  • 今村 知明(奈良県立医科大学 健康政策医学)
  • 山野 繁(奈良県総合リハビリセンター)
  • 堀井 学(奈良県立医科大学 第1内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳卒中発症進展には血圧の深い関与が明らかとなり、降圧療法の重要性が注目されている。最近の大規模臨床試験の結果、レニン・アンジオテンシン系(RAS)抑制薬であるアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)とアンジオテンシン受容体ブロッカー(ARB)が脳卒中の発症を抑制することが明らかとなり、脳卒中合併高血圧症例の治療にはRASブロッカーが積極的適応と推奨されている。しかし、これまで脳血管障害合併高血圧症例ACEIとARBの効果を直接比較した臨床試験はなく、この有意性は不明である。本研究ではMRIにて虚血性の変化あるいは脳梗塞が認められた高血圧症例を対象に、ARBとACEIのいずれが脳梗塞の発症,再発抑効果が勝るかを検討する。
研究方法
症候性脳卒中既往歴の有無を問わず、65歳以上の高齢者高血圧症例(心房細動症例を除く)、脳血管障害を疑われる症例にMRIを実施し、症候性脳卒中既往例、無症候性脳梗塞例、または大脳白質病変のいずれかの診断が確定した症例、1000例を対象に、中央管理方式でARB群とACEI群に割り付け2年間フォローし、新たな症候性脳卒中の発症・再発、MRIで診断した脳血管障害の悪化を複合一次エンドポイントとして、クラス効果としてのARBの方がACEIより優れていること実証する、多施設前向き無作為オープン結果遮蔽試験である。
結果と考察
症例登録を担当する施設にあっては、初年度計277例(症候性22例、無症候性115例、大脳白質病変140例)の登録をすることができた。また本研究遂行にあたり、40歳以下の実地医家120名を対象にアンケート調査を実施、脳卒中合併高血圧症例の治療に関してACE阻害薬よりARBを第一選択薬として使用している医師がはるかに多い事を明らかにした。65歳以上の高血圧症例で症候性脳梗塞の有無に関わらずMRIを施行し、症候・無症候性脳梗塞、大脳白質病変のいずれかを有する症例をエントリーし、ARB・ACEI群にランダム化割り付けした。現在、277例を登録、比較的順調に登録作業が進んでいると考える。来年1年で目標の1000例に到達するよう努力を続ける。
結論
65歳以上の高血圧症例で症候性脳梗塞の有無にかかわらずMRIを施行し、症候性・無症候性脳梗塞、大脳白質病変のいずれかを有する症例をエントリーし、ARB群とACEI群にランダム化割り付けし277例を登録した。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-