わが国の今後の喫煙対策と受動喫煙対策の方向性とその推進に関する研究

文献情報

文献番号
200825049A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の今後の喫煙対策と受動喫煙対策の方向性とその推進に関する研究
課題番号
H20-循環器等(生習)・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大和 浩(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 飯田 真美(岐阜大学大学院医学研究科再生医科学循環病態学呼吸病態学)
  • 江口 泰正(産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室)
  • 寶珠山 務(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約」の第8条「たばこの煙にさらされることからの保護」に沿って、わが国でもすべての建物内を禁煙とする受動喫煙防止法・条例を制定するための根拠を政策決定者、施設管理者、マスコミ、および、一般市民に提供することを目的とする。
研究方法
屋内で喫煙された場合の微細粒子(PM2.5)の濃度に関する調査、海外における受動喫煙防止法・条例で心筋梗塞が減少することについての論文レビュー、わが国の事業場で建物内禁煙を実施することが禁煙企図者を増やすことの効果についての調査、および、先行研究より引き継いでいる公共交通機関、医・歯学部、地方自治体、国際会議場における受動喫煙対策のサーベイランスを実施した。
結果と考察
建物内で喫煙がおこなわれている施設では、心筋梗塞や肺がんによる死亡率を高めることが知られている微細粒子(PM2.5)の濃度がWHOのガイドライン値の数十倍に達することが認められた。一方、海外の多くの国・地域では建物内を全て禁煙とする受動喫煙防止法・条例が施行されており、建物内における高濃度の微細粒子(PM2.5)への曝露が解消されている。そのような国・地域では、法律・条例の施行直後から心筋梗塞や不安定狭心症の入院患者数が約2割減少することが観察されており、その効果についてすでに12の論文で報告されている。
以上の調査研究により、建物内を禁煙とする法律・条例は微細粒子(PM2.5)への曝露を解消し、その結果、心筋梗塞などの喫煙関連疾患が直ちに減少すると考えられた。また、建物内禁煙とすることは禁煙を企図する喫煙者を増やす効果があることも認められた。
結論
非喫煙者を高濃度の受動喫煙から保護すること、および、禁煙を希望する喫煙者を増やすことを目的として、わが国においても全ての建物内を禁煙とする受動喫煙防止法・条例を早期に施行することが必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
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