保健指導への活用を前提としたメタボリックシンドロームの診断・管理のエビデンス創出のための横断・縦断研究

文献情報

文献番号
200825038A
報告書区分
総括
研究課題名
保健指導への活用を前提としたメタボリックシンドロームの診断・管理のエビデンス創出のための横断・縦断研究
課題番号
H19-循環器等(生習)・一般-021
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
門脇 孝(東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 島本 和明(札幌医科大学附属病院内科学)
  • 清原 裕(九州大学大学院医学研究院環境医学分野)
  • 大門 真(山形大学医学部第三内科()
  • 中尾 一和(京都大学大学院医学系研究科臨床病態医科学)
  • 伊藤 千賀子(グランドタワーメディカルコートライフケアクリニック)
  • 磯  博康(大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学講座)
  • 伊藤 貞嘉(東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座)
  • 山田 信博(筑波大学大学院人間総合科学研究科内分泌代謝・糖尿病内科()
  • 齋藤 康(千葉大学大学院医学研究院細胞治療学)
  • 野田 光彦(国立国際医療センター臨床検査部)
  • 山内 敏正(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
  • 原 一雄(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
  • 岡村 智教(国立循環器病センター予防検診部()
  • 北村 明彦(大阪府立健康科学センター)
  • 島袋 充生(琉球大学医学部附属病院第二内科)
  • 中川 秀昭(金沢医科大学健康増進予防医学)
  • 斉藤 功(愛媛大学大学院医学系研究科医療環境情報解析学講座公衆衛生・健康医学分野)
  • 山田 美智子(放射線影響研究所・臨床研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成17年にメタボリックシンドロームに関する我が国の診断基準が策定され、平成20年度よりメタボリックシンドロームの概念に着目した特定健診・特定保健指導が開始された。メタボリックシンドロームは心筋梗塞・脳梗塞などの心血管疾患を惹起しやすく、日本人の健康寿命の延伸を妨げる大きな原因となっている。本研究は、心血管疾患の高リスク者のスクリーニングという観点から日本人における最適なメタボリックシンドロームの診断基準の根拠となるエビデンスを創出することを目的とする。
研究方法
我が国でフォローアップ開始時にウエスト周囲径を測定してあり、その後の心血管疾患イベントを把握しているコホート研究チームとして北海道端野・壮瞥町、山形県舟形町、福岡県久山町(第3集団)、MONKS、広島健診受診者集団、茨城県筑西市協和地区、大阪府八尾市南高安地区、大阪府吹田市、沖縄県豊見城市検診集団、富山職域、愛媛県南西部地区、広島県地域コホートの計12コホートが参加し、総勢3万3000人を対象とする全国規模の調査・解析を行った。
結果と考察
<横断研究の中間解析結果>
12コホートのデータを統合して解析した結果、アウトカムをウエスト周囲径高値以外のリスクファクター2つ以上の集積とした場合、ウエスト周囲径の最適のカットオフ値は、男性84cm、女性81cm前後と算出された。
<後向き縦断研究の中間解析結果>
7コホートのデータを統合して解析した結果、アウトカムを虚血性心疾患の発症(初発の急性心筋梗塞+急性死)とした場合、最適のカットオフ値は男性83cm、女性80cm前後と算出された。但し、ROCカーブのふくらみは少なく、特に女性ではウエスト周囲径のみによる虚血性心疾患発症リスクの予測は男性に比べて困難と考えられた。また、脳卒中の発症に関しても解析を行ったが、ROCカーブはぼぼ直線状で、カットオフ値の算出は困難であった。脳卒中のなかで、メタボリックシンドロームとの関連性が高いと考えられる脳梗塞の発症を抽出して解析することが必要と考えられた。
結論
オールジャパンの地域コホートや健診受診集団を対象とした本研究の成果により、一層効果的な特定健診・特定保健指導が可能となり、心血管疾患発症率の抑制を通じて国民全体の健康増進に資することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
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