健康づくりのための運動基準・エクササイズガイド改定に関する研究

文献情報

文献番号
200825019A
報告書区分
総括
研究課題名
健康づくりのための運動基準・エクササイズガイド改定に関する研究
課題番号
H19-循環器等(生習)・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
田畑 泉(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口満(早稲田大学スポーツ科学学術院)
  • 津下一代(あいち健康の森健康科学総合センター)
  • 竹中晃二(早稲田大学人間科学学術院)
  • 福永哲夫(鹿屋体育大学)
  • 宮武伸行(岡山県南部健康づくりセンター)
  • 呉泰雄(松本大学人間健康学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康づくりのための運動基準2006と健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド2006)のバリデーションを行うこと及び、エクササイズガイド2006の普及啓発の方法論の研究を行うことと、さらに新しい運動基準とエクササイズガイドの策定のためのエビデンスの獲得であった。
 
研究方法
最大酸素摂取量は5施設で自転車エルゴメータを用いて、歩数及び強度の異なる身体活動量は加速度計により、測定した。さらに10秒間の椅子の座り立ち試験や、脚伸展パワーを測定した。また、高齢者の自立及び骨粗鬆症の発症をアウトカムとするシステマティックレビューは、PuBMedを対象に行った。都市及び地方在住者を対象に、身体活動・運動の増強を妨げている要因,または促進している要因を集団面接で聞き取り調査を行った。
結果と考察
運動基準2006で示された最大酸素摂取量の基準値に比べて、男性では、それを満たしている割合は20歳代61%,30歳代57%と高いが、40歳代では33%となった。女性においては、すでに30歳において基準値を満たしているのは4割を下回っていた。男性では30歳から、女性では20歳から体力を増加させる取り組みが必要であることが示された。最大酸素摂取量を体組成、日常の歩数さらに高い強度(6メッツ以上)の身体活動の実施時間によりかなり正確に推定できる(r2>0.8)ことが明らかなった。エクササイズガイド2006で筋力の評価法として示された10秒間の椅子の座り立ち試験をより脚伸展力のような客観的指標との関係が深くなるように改良し“椅子の座り立ちパワー指標”を開発した。70歳以上を対象としたガンを含む生活習慣病発症、骨粗鬆症、自立度をアウトカムとしたシステマティックレビューにより、高齢者に必要な身体活動量、運動量、体力を定めることが可能な文献が複数存在することが明らかとなった。都市及び地方在住者を対象とした研究によりエクササイズガイド2006に示された身体活動量・運動量を行うことを可能にするには、対象者の状況、住環境や性別等を考慮する必要があることが示された。
結論
生活習慣病の発症に関係の深い最大酸素摂取量は、性・誠年齢で基準値を満たしている割合に差があった。最大酸素摂取量は、体組成、日常の身体活動の実施時間によりかなり正確に推定できる。新しい“椅子の座り立ちパワー指標”を開発した。骨粗鬆症、自立度をアウトカムとして高齢者に必要な身体活動量、運動量、体力を定めることが可能である。身体活動・運動量を増やすためには、対象者の状況、住環境や性別を考慮する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-