自動体外式除細動器(AED)を用いた心疾患の救命率向上のための体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
200825017A
報告書区分
総括
研究課題名
自動体外式除細動器(AED)を用いた心疾患の救命率向上のための体制の構築に関する研究
課題番号
H18-心筋・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
丸川 征四郎(兵庫医科大学 救急・災害医学 救命救急センター)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷 敦子(長崎大学医学部歯学部附属病院 救急部)
  • 坂本 哲也(帝京大学医学部救命救急センター)
  • 清水 直樹(君津中央病院救急集中治療科)
  • 浅利 靖(弘前大学医学部 救急・災害医学)
  • 畑中 哲生(救急救命九州研修所)
  • 久保山一敏(兵庫医科大学救命救急センター)
  • 太田 祥一(東京医科大学八王子医療センター救命救急センター)
  • 田中 裕(順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院)
  • 長尾 建(駿河台日本大学病院)
  • 横田 裕行(日本医科大学救急医学)
  • 島崎 修次(杏林大学医学部救急医学)
  • 三田村秀雄(東京都済生会中央病院)
  • 近藤 久禎(日本医科大学救急医学)
  • 高木  厚(東京女子医科大学循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
36,180,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、市民がAEDを使用する事で院外心肺停止傷病者の救命率を向上させることを最終目標とし、市民へのAEDを含む心肺蘇生の重要性の情宣、効果的な教育と訓練、直ちに使用できるAED配置と管理策,さらに地域救急医療体制における連携のあり方、AED使用後の内部情報管理など、科学的、多面的な検討によって実効性のある具体的方策を提言し、医療政策を支援することを目的とした。
研究方法
AEDを含む心肺蘇生について、現時点で改善が必要な重要課題と、長期的な展望に立って改善が必要な課題に焦点を当て14テーマを設定し分担研究班を組織した。大別して1)市民への教育法の改善、2)市中設置AEDの管理制度、設置場所の表示、3)市中設置台数と設置場所の登録・公開、4)心肺蘇生に直接関与した市民のaftershock対策、5)市民への情宣、6)心肺停止傷病者の救急搬送とAED内部情報の活用システム構築に分類できる。

結果と考察
主な研究結果は、1)成人市民講習には60分、学校教育には45分の教育プログラムと教材を開発した。2)AED設置場所の表示法の提案、3)AED設置者の点検管理マニュアル整備、実用的登録公開制度の提案、4)市民への「心のケア」相談システムの提案、5)TVによる市民への情宣法の提案、6)救急搬送の改善策、AED内部情報の取出しシステム提案である。いずれも試験運用してその効果を検証した提案であり実用的である。

結論
AEDは迅速、かつ確実に使用されなければ市中設置の意味がない。しかし、使用者講習、設置場所表示・公開、医療機器としての点検管理などは法的・行政的な義務付がなく、緊急事態に現場へ届けられない、バッテリ切れで使用不可などの可能性がある。本来あるべき姿に戻すには、行政と市民が一体となって改善の努力を払わなければならない。本研究成果は、その筋道を具体的に提案しており、直ちに活用できるものである。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
-

文献情報

文献番号
200825017B
報告書区分
総合
研究課題名
自動体外式除細動器(AED)を用いた心疾患の救命率向上のための体制の構築に関する研究
課題番号
H18-心筋・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
丸川 征四郎(兵庫医科大学 救急・災害医学 救命救急センター)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷 敦子(長崎大学医学部歯学部附属病院救急部)
  • 坂本 哲也(帝京大学医学部救命救急センター)
  • 清水 直樹(国立成育医療センター研究所)
  • 浅利 靖(弘前大学医学部救急・災害医学)
  • 畑中 哲生(救急救命九州研修所)
  • 久保山 一敏(兵庫医科大学救命救急センター)
  • 太田 祥一(東京医科大学八王子医療センター)
  • 田中 裕(順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院)
  • 長尾 建(駿河台日本大学病院)
  • 横田 裕行(日本医科大学救急医学)
  • 島崎 修次(杏林大学医学部救急医学)
  • 三田村 秀雄(東京都済生会中央病院)
  • 近藤 久禎(日本医科大学救急医学)
  • 高木 厚(東京女子医科大学循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、市民がAEDを使用する事で院外心肺停止傷病者の救命率を向上させることが最終目標であり、そのための具体的かつ実施可能な方策を科学的な裏付けをもって提言することを目的とした。
研究方法
現時点および長期的な展望で必要な改善策に焦点を当て14の分担研究班を組織した。初年度で目的を達成したものもあるが、1)市民への教育法の改善、2)市中設置AEDの管理制度、設置場所の表示、3)市中設置台数と設置場所の登録・公開、4)心肺蘇生に直接関与した市民のaftershock対策、5)市民への情宣、6)心肺停止傷病者の救急搬送体制とAED内部情報の活用システム構築、について3年間継続して研究を進めた。
結果と考察
政策提言し既に採択された課題は、1) AEDを含む心肺蘇生の救急隊業務を日本版救急蘇生ガイドライン2005に沿って改訂、2)市中設置のAED安全管理の方法と体制である。その他の主な研究結果は, AEDと心肺蘇生につて1)市民講習・学校教育の短時間教育プログラムと教材、2)設置場所の表示法、3)設置登録公開制度、4)応急手当実施市民の「心のケア」相談システム、5)市民へのTV情宣法、などの提案である。
結論
AEDは医療機器でありながら家電製品と同様な感覚で扱われており、保守管理や安全点検が義務付けられていず、使用時の内部心電図情報も治療に役立てられていない。本研究成果は、市民がAEDを用いて傷病者を救命するには、市民がAEDの意義を理解し、AEDの製造販売から使用後まで,切れ目ない提供体制が整備されていなければならない。本研究成果は、この体制の構築に大きく貢献するものである。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200825017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
・AEDを含む心肺蘇生講習時間の短縮化と100人規模でも同時に実施可能な講習法の有用性が実証できたので、新しい講習法として提案した。
・過去5年間の我が国のAEDを含む心肺蘇生関連文献を可及的に収集し、利用しやすいエンドノートとして整理した。
・心肺停止、心肺蘇生による脳と心臓の生理学的変化の解説映像教材を作成した。
臨床的観点からの成果
・市民が使用したAED内部情報を取り出し臨床治療に活用するシステムと、それを全国一カ所で管理するシステムのモデルを試験運用した
・心筋梗塞患者の搬送における遅滞要因を明らかにしたので、改善の方向が明らかとなった。
・心肺停止患者の搬送中の胸骨圧迫は不十分で予後悪化の要因であり、その改善に機械式胸骨圧迫装置(LDB)が有用として提案した。
ガイドライン等の開発
・LDBを用いた病院前救護の手順ガイドラインを提案した。
・市中に設置された日常点検等の管理マニュアルを提案した。
その他行政的観点からの成果
・AED設置台数、設置場所の把握・登録・公開システムについて提言した。
・医系大学生が受ける講義内容には大学間格差の過大な事実が判明した。その改善が必要である。
・心肺蘇生などに参加してaftershockに陥った市民を支援するために、「心のケア」相談システムを構築した。
その他のインパクト
・45分授業の学校教育に適したAEDを含む心肺蘇生教材と教育プログラムが完成した。これについて21年2月11日に学校教員を対象に公開シンポジウムを開催した。
・設置AEDの保守点検についての基本構想はPAMDに提供され、全国20万台すべてに日常点検など管理体制が行政指導されることとなった。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
11件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
45件
学会発表(国際学会等)
13件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
シンポジウム「学校教育におけるAEDを含む心肺蘇生教育の新たな展開」

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kajino K, Iwami T, Tanaka H, et al.
Subsequent ventricular fibrillation and survival in out-of-hospital cardiac arrests presenting with PEA or asystole
Resuscitation , 79 , 34-40  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-