生活習慣病一次予防に必要な身体活動量・体力基準値策定を目的とした大規模介入研究

文献情報

文献番号
200825016A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病一次予防に必要な身体活動量・体力基準値策定を目的とした大規模介入研究
課題番号
H18-循環器等(生習)・若手-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 佳子(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 宮地 元彦(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
  • 田畑 泉(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
  • 佐々木 敏(東京大学大学院・医学研究科)
  • 樋口 満(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
  • 宮武 伸行(岡山県南部健康づくりセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、平成18年に改訂された「エクササイズガイド2006」で示されている、生活習慣病一次予防に必要な身体活動量の基準値の妥当性を検討することを目的とした。
研究方法
研究参加者は、30歳から64歳までの健康な成人男女1200名。参加登録者のうち、平成21年1月末の時点で全てのベースライン測定を終了した者は605名で、1年後測定を終了した者は295名であった。また、3次元加速度計を用いて測定された歩数10,000歩/日および身体活動量3.3EX/日を満たしている場合を活動群(226名)、満たしていない場合を非活動群(256名)とした。また非活動群は、さらに2群に分けられ、1年間の身体活動・運動指導を受ける人(非活動介入群, 127名)、受けない人(非活動対照群, 129名)に群分けされた。測定項目は、身体活動量、食事・栄養摂取量、身体形態・組成、血中プロフィール、循環指標、体力であった。
結果と考察
ベースラインのデータを横断的に分析すると、活動群は非活動群と比較し、身体活動量、全身筋量、HDL-C、最大酸素摂取量、長座位体前屈が有意に高く、腹囲、中性脂肪が有意に低かった。食事・栄養摂取量やその他の測定項目には有意差が見られなかった。1年間の介入期間の変化を縦断的に分析すると、非活動介入群の3メッツ以上の強度の身体活動量、座位体前屈、垂直跳びが、非活動対照群や活動群と比較して有意に大きく増加した。また、非活動対照群では1年間に全身筋量が減少し、体脂肪量が増加したが、活動群や非活動介入群では有意な変化が見られなかった。
結論
エクササイズガイド2006で歩数10,000歩/日および身体活動量23EX/週を満たす身体活動を実施することで、いくつかの生活習慣病のリスクマーカーが改善することが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200825016B
報告書区分
総合
研究課題名
生活習慣病一次予防に必要な身体活動量・体力基準値策定を目的とした大規模介入研究
課題番号
H18-循環器等(生習)・若手-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 佳子(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
研究分担者(所属機関)
  • 宮地 元彦(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
  • 田畑 泉(独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム)
  • 佐々木 敏(東京大学大学院・医学研究科)
  • 樋口 満(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
  • 宮武 伸行(岡山県南部健康づくりセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、平成18年に改訂された「エクササイズガイド2006」に示されている、生活習慣病一次予防に必要な身体活動量の基準値の妥当性を検討することを目的とした。
研究方法
研究参加者は、30歳から64歳までの健康な成人男女1200名。参加登録者のうち、全てのベースライン測定を終了した者は、平成20年1月末の段階で605名で、1年後測定を終了した者は295名であった。3次元加速度計を用いて測定された歩数10,000歩/日および身体活動量3.3EX/日を満たしている場合を活動群(226名)、満たしていない場合を非活動群(256名)とした。また非活動群は、さらに2群に分けられ、1年間の身体活動・運動指導を受ける人(運動介入群, 127名)、受けない人(非活動対照群, 129名)に群分けされた。研究開始時と1年間経過後に、身体活動量、食事・栄養摂取量、身体形態・組成、血中プロフィール、循環指標、体力を測定した。
結果と考察
605名のベースラインのデータを横断的に分析すると、活動群は非活動群と比較し、身体活動量、全身筋量、HDL-C、最大酸素摂取量、長座位体前屈が有意に高く、腹囲、中性脂肪が有意に低かった。食事・栄養摂取量やその他の測定項目には、両群間に有意差が見られなかった。1年間の介入期間の変化を縦断的に分析すると、非活動介入群の3メッツ以上の強度の身体活動量、座位体前屈、垂直跳びの増加量が、非活動対照群や活動群と比較して有意に大きかった。また、非活動対照群では1年間に全身筋量が減少し、体脂肪量が増加したが、活動群や非活動介入群では有意な変化が見られなかった。食事・栄養摂取量は3群で有意な変化は見られなかった。
結論
エクササイズガイド2006で示された「歩数10,000歩/日および身体活動量23EX/週を満たす身体活動」を実施することで、食事の変化を伴わなくても、いくつかの健康指標が改善することが明らかとなった。今後より多くの対象者をより長期にわたり追跡することで、エクササイズガイド改訂のためのエビデンスを集積する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200825016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
エクササイズガイド2006で歩数10,000歩/日および身体活動量23EX/週を満たす身体活動を実施することで、いくつかの健康指標の改善が可能であることが、約600名の被験者を対象とした横断研究と、250名の被験者を対象とした無作為割付介入研究により明らかとなった。また、この研究の途中経過の分析結果から、25本の原著論文を執筆することができた。
臨床的観点からの成果
エクササイズガイド2006で示された歩数10,000歩/日および身体活動量23EX/週の基準を満たす身体活動の実施は、糖尿病、高血圧症、脳卒中、虚血性心疾患の発症や死亡のリスクを30%程度減少させることが、システマティックレビューの結果明らかとなっていることから、エクササイズガイド2006の身体活動基準達成を目指す介入は、生活習慣病対策に有効であると考えられる。
ガイドライン等の開発
最近10年間で、身体活動量の指標である一日あたりの歩数が10-15%程度減少していることが国民健康・栄養調査で明らかとなり、我が国の現状に見合った身体活動量の基準に関する質の高いエビデンスの集積が求められている。本研究の成果は、平成18年にエクササイズガイド2006で策定された身体活動量の基準値の妥当性を検証し、今後のエクササイズガイドの改訂に資することが可能である。
その他行政的観点からの成果
適切な身体活動量を維持することは、生活習慣病の生活習慣病予防や介護予防といった健康づくりの観点から重要である。平成20年度から始まった特定健診・保険指導で活用される、標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)ならびに教材集における運動・身体活動指導のあり方に、本研究成果が反映された。また、2011年に計画されているエクササイズガイドの改訂に資するエビデンスを蓄積することができた。
その他のインパクト
本研究の成果の一部は、2008年11月1日放送の健康スペシャル2008 “脱メタボ!”や2009年3月11日放送のNHKためしてガッテンなどで紹介された他、朝日新聞、読売新聞などで数多く紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
22件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
39件
学会発表(国際学会等)
19件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
特定健診・保健指導で活用される、標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)ならびに教材集における運動・身体活動指導のあり方に、本研究成果が反映された。
その他成果(普及・啓発活動)
5件
新聞、テレビ放映など

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kawano H、Tanaka H、Miyachi M
Resistance Training and Arterial Compliance: Keeping the Benefits While Minimizing the Stiffening.
J Hypertens , 24 (9) , 1753-1759  (2006)
原著論文2
Sanada K et al.
Effects of age on ventilatory threshold and peak oxygen uptake normalised for regional skeletal muscle mass in Japanese men and women aged 20-80 years.
Eur J Appl Physiol , 99 (5) , 475-483  (2007)
原著論文3
Miyatake N et al.
Comparison of muscle strength between Japanese men with and without metabolic syndrome
Acta Med Okayama , 61 (1) , 99-102  (2007)
原著論文4
Miyatake N et al.
Comparison of ventilatory threshold and exercise habits between Japanese men with and without metabolic syndrome
Diabetes Res Clin Pract , 77 (2) , 314-319  (2007)
原著論文5
Sanada K et al.
Nonexercise models for predicting maximal oxygen uptake existing physiological basis
Eur J Appl Physiol , 101 (2) , 265-266  (2007)
原著論文6
Miyatake N
Relationship between changes in body weight and waist circumference in Japanes
Environ Health Prev Med , 12 (5) , 220-223  (2007)
原著論文7
Ohmori Y et al.
Association of Personality (NEO-Five Factor Inventory) with Eating Behaviors and Physical Activity Levels in Obese Subjects in the Saku Control Obesity Program (SCOP)
Anti-Aging Med , 4 (2) , 43-50  (2007)
原著論文8
宮武伸行 他
メタボリックシンドロームと生活習慣との関連
保健の科学 , 49 (5) , 355-359  (2007)
原著論文9
Ohkawara K et al.
A dose–response relation between aerobic exercise and visceral fat reduction: systematic review of clinical trials
Int J Obes , 31 (12) , 1786-1797  (2007)
原著論文10
Usui C et al.
Relationship between blood adipocytokines and resting energy expenditure in young and elderly women
J Nutri Sci Vitaminol , 53 , 529-535  (2007)
原著論文11
Kawano H et al.
Resistance training in men is associated with increased arterial stiffness and blood pressure but does not adversely affect endothelial function as measured by arterial reactivity to the cold pressor test
Exp Physiol , 93 (2) , 296-302  (2008)
原著論文12
Miyachi M et al.
The Use of a Uniaxial Accelerometer to Assess Physical-activity-related Energy Expenditure in Obese Men and Women: Saku Control Obesity Program (SCOP)
Anti-Aging Med , 5 (1) , 1-5  (2008)
原著論文13
Sanada K et al.
Muscle mass and bone mineral indices: does the normalized bone mineral content differ with age?
Eur J Clin Nutr , 63 (4) , 565-572  (2008)
原著論文14
Kawano H et al.
Attenuated increases in blood pressure by dynamic resistance exercise in middle-aged men
Hypertens Res , 31 (5) , 1045-1053  (2008)
原著論文15
Miyatani M et al.
Required Muscle Mass for Preventing Lifestyle-Related Diseases in Japanese Women
BMC Public Health , 18 (8) , 291-  (2008)
原著論文16
Usui C et al.
Resting energy expenditure can be assessed by dual energy X-ray absorptiometry in women regardless of age and fitness
Eur J Clin Nutr , 63 (4) , 529-535  (2008)
原著論文17
山元祥子 他
ボディービルダーの基礎代謝量と身体活動レベルの検討
栄養学雑誌 , 66 (4) , 195-200  (2008)
原著論文18
Tanimoto M et al.
Effects of whole-body low-intensity resistance training with slow movement and tonic force generation on muscular size and strength in young men
J Strength Cond Res , 22 (6) , 1926-1938  (2008)
原著論文19
Tanimoto M et al.
Low-intensity resistance training with slow movement and tonic force generation increases basal limb blood flow
Clin Physiol Funct Imaging , 29 (2) , 128-135  (2009)
原著論文20
Miyatani M et al.
Pulse wave velocity for assessment of arterial stiffness among people with spinal cord injury: a pilot study
J Spinal Cord Med , 32 (1) , 72-78  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-