慢性心不全におけるメタボリック症候群の意義に関する研究

文献情報

文献番号
200825012A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性心不全におけるメタボリック症候群の意義に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)・一般-047
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
下川 宏明(東北大学大学院医学系研究科 循環器病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 福本義弘(東北大学病院 循環器内科)
  • 筒井裕之(北海道大学大学院医学系研究科 循環器病態学)
  • 代田浩之(順天堂大学大学院医学研究科 循環器病態学)
  • 友池仁暢(国立循環器病センター)
  • 松崎益徳(山口大学大学院 器官制御医科学)
  • 岡松秀一(麻生飯塚病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
メタボリックシンドロームの重要性は、虚血性心臓病では広く認識されるようになったが、慢性心不全における意義に関しては、まだ明らかにされていない。そこで、本研究では、全国各地の第一線の施設の協力を得て、日本人の慢性心不全におけるメタボリックシンドロームの意義に関する多施設共同研究を行うことを目的とする。
研究方法
本研究では、以下の3つのアプローチをとる。
1. 慢性心不全におけるメタボリックシンドロームの頻度・臨床的特徴に関する研究
2. メタボリックシンドローム患者における慢性心不全の発症に関する研究
3. メタボリックシンドロームを合併した慢性心不全に対する治療介入の意義に関する研究

結果と考察
現時点では登録終了前であるため、中間解析を行った。
 まず、現在のメタボリックシンドロームの診断基準が、重症の高血圧、高脂血症、糖尿病を含んでしまうため、軽いメタボリックシンドローム(Early MetS)と重症のメタボリックシンドローム(Advanced MetS)に分けて検討を行った。
既に慢性心不全を発症している患者3,440名におけるメタボリックシンドロームの合併率は38%(男性患者47%、女性患者20%)であった。この頻度は、わが国の一般人口におけるメタボリックシンドロームの割合(男性15-26%、女性1-12%)の2倍以上の極めて高頻度であることが初めて判明した。また、慢性心不全の大きな原因となる心筋梗塞の頻度は、メタボリックシンドロームのない慢性心不全患者で39%であったのに対し、メタボリックシンドロームのある慢性心不全患者では56%と高く、男女とも同様の傾向を認めた。
結論
 研究1は現在心不全症状のある患者におけるメタボリックシンドロームの頻度および特徴を検討するもので、平成20年度末まで登録するため、最終結果が得られるのは、平成21年度に入ってからとなる。また研究2・3の最終結果が得られるのは5年間の観察以降の予定であるが、本研究で得られた患者登録データに基づいて、メタボリックシンドロームが心不全増悪因子であることが示されれば、慢性心不全治療におけるメタボリックシンドロームの治療の重要性が明らかになる。また、慢性心不全の重症度や予後が、メタボリックシンドロームの有無で違いがあればその治療目的がより明確になる。その結果、早期より効果的に慢性心不全を予防することが可能になり、臨床応用できる極めて有用なエビデンスが得られることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200825012B
報告書区分
総合
研究課題名
慢性心不全におけるメタボリック症候群の意義に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)・一般-047
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
下川 宏明(東北大学大学院医学系研究科 循環器病態学)
研究分担者(所属機関)
  • 福本義弘(東北大学病院 循環器内科)
  • 筒井裕之(北海道大学大学院医学系研究科 循環器病態学)
  • 代田浩之(順天堂大学大学院医学研究科 循環器病態学)
  • 友池仁暢(国立循環器病センター)
  • 松崎益徳(山口大学大学院 器官制御医科学)
  • 山田明(麻生飯塚病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
メタボリックシンドロームの重要性は、虚血性心臓病では広く認識されるようになったが、慢性心不全における意義に関しては、まだ明らかにされていない。そこで、本研究では、全国各地の第一線の施設の協力を得て、日本人の慢性心不全におけるメタボリックシンドロームの意義に関する多施設共同研究を行うことを目的とする。
研究方法
本研究では、以下の3つのアプローチをとる。
1. 慢性心不全におけるメタボリックシンドロームの頻度・臨床的特徴に関する研究
2. メタボリックシンドローム患者における慢性心不全の発症に関する研究
3. メタボリックシンドロームを合併した慢性心不全に対する治療介入の意義に関する研究

結果と考察
現時点では登録終了前であるため、中間解析を行った。
 まず、現在のメタボリックシンドロームの診断基準が、重症の高血圧、高脂血症、糖尿病を含んでしまうため、軽いメタボリックシンドローム(Early MetS)と重症のメタボリックシンドローム(Advanced MetS)に分けて検討を行った。
既に慢性心不全を発症している患者3,440名におけるメタボリックシンドロームの合併率は38%(男性患者47%、女性患者20%)であった。この頻度は、わが国の一般人口におけるメタボリックシンドロームの割合(男性15-26%、女性1-12%)の2倍以上の極めて高頻度であることが初めて判明した。また、慢性心不全の大きな原因となる心筋梗塞の頻度は、メタボリックシンドロームのない慢性心不全患者で39%であったのに対し、メタボリックシンドロームのある慢性心不全患者では56%と高く、男女とも同様の傾向を認めた。
結論
 研究1は現在心不全症状のある患者におけるメタボリックシンドロームの頻度および特徴を検討するもので、平成20年度末まで登録するため、最終結果が得られるのは、平成21年度に入ってからとなる。また研究2・3の最終結果が得られるのは5年間の観察以降の予定であるが、本研究で得られた患者登録データに基づいて、メタボリックシンドロームが心不全増悪因子であることが示されれば、慢性心不全治療におけるメタボリックシンドロームの治療の重要性が明らかになる。また、慢性心不全の重症度や予後が、メタボリックシンドロームの有無で違いがあればその治療目的がより明確になる。その結果、早期より効果的に慢性心不全を予防することが可能になり、臨床応用できる極めて有用なエビデンスが得られることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200825012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
我々は20歳以上の慢性心不全患者を対象とし、メタボリックシンドロームの合併の有無と、基礎心疾患・症状の重症度・心機能・身体活動能力・心血管イベント・予後などとの相関を比較検討するものである。この研究1の成果として、慢性心不全患者においてメタボリックシンドロームを有するのは38%であり、軽いメタボリックシンドロームは3%、重症メタボリックシンドロームは35%と、慢性心不全患者におけるメタボリックシンドロームは重症化していることが示唆された
臨床的観点からの成果
メタボリックシンドロームを合併した慢性心不全患者に、積極的な食事療法、運動療法を行い、肥満・高血圧・高脂血症・糖尿病の改善を図るとどうなるかを検討している。このメタボリックシンドロームを有する慢性心不全患者における積極的食事療法・運動療法の介入研究に関して、今後5年間経過を追い、結果が得られる予定である。

ガイドライン等の開発
最終結果が得られるのは、5年間の観察以降の予定であるが、本研究で得られた患者登録データに基づいて、メタボリックシンドロームが心不全増悪因子であることが示されれば、慢性心不全治療におけるメタボリックシンドロームの治療の重要性が明らかになる。また、慢性心不全の重症度や予後が、メタボリックシンドロームの有無で違いがあればその治療目的がより明確になる。その結果、早期より効果的に慢性心不全を予防することが可能になり、臨床応用できる極めて有用なエビデンスが得られることが期待される。
その他行政的観点からの成果
本研究により、メタボリックシンドロームが心不全増悪因子であることが示され、その治療の重要性が明らかになれば、現在、我が国で増加している心不全患者に対する効率的治療法が確立され、大幅な医療費抑制効果が期待される
その他のインパクト
平成21年1月30日に東北大学にて、厚生労働省班研究での成果「わが国の慢性心不全患者のメタボの頻度は一般人口の2倍以上!」について記者説明会開催を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-