脳卒中地域医療におけるインディケーターの選定と監査システム開発に関する研究

文献情報

文献番号
200825009A
報告書区分
総括
研究課題名
脳卒中地域医療におけるインディケーターの選定と監査システム開発に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)・一般-044
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
峰松 一夫(国立循環器病センター 内科脳血管部門)
研究分担者(所属機関)
  • 長束 一行(国立循環器病センター 内科脳血管部門)
  • 安井 信之(秋田県立脳血管研究センター 脳神経外科)
  • 長谷川 泰弘(聖マリアンナ医科大学 神経内科)
  • 岡田 靖(国立病院機構九州医療センター 脳血管センター)
  • 上原 敏志(国立循環器病センター 内科脳血管部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
37,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳卒中医療においては、急性期治療、回復期リハビリから在宅介護に至るまで、長いスパンにわたって継ぎ目のない質の高い医療を提供することが重要である。そのためには、脳卒中医療の質を全体的かつ客観的に評価する体制を構築することが必要である。本研究の目的は、脳卒中地域医療の質を向上させるために、全国的に普遍化できるインディケーターによる評価システムを構築することであった。
研究方法
本研究では、4つのモデル地域、すなわち、大阪北部地域、秋田市医療圏、川崎市広域、福岡市並びにその周辺地域における脳卒中地域医療連携、および全国の急性期治療病院から回復期リハビリテーション病棟、維持期施設までの実態調査のデータを活用した。本研究班の本年度研究課題は、(1)インディケーターを用いた脳卒中急性期医療の質の評価システム開発、(2)継ぎ目なき脳卒中地域医療連携への取り組みであった。
結果と考察
わが国独自の急性期インディケーターを決定するとともに各インディケーターの選定根拠、エビデンス、および実際の測定方法をまとめたマニュアルを作成した。そして、9つの脳卒中急性期病院(分担研究者所属施設および関連施設)において実際にインディケーターの前向き測定調査を行い、各施設間のインディケーター施行率のばらつきが極めて大きいという結果を得た。さらに、選定した個々のインディケーターの定義の明確化など改善点も明らかとなり、測定精度を上げるための監査システムの構築が今後の課題であると考えられた。
また、「急性期、回復期、維持期施設を対象とした脳卒中地域医療の現状を把握するための全国実態調査」を実施することにより、脳卒中地域医療連携の現状や問題点を初めて明らかにすることができた。さらに、地域別解析を行うことによって、脳卒中地域医療連携の現状にかなりの地域格差があることも判明した。全国実態調査の解析結果や各モデル地域での活動成果をもとに、地域医療連携体制を構築するうえでの重要なポイントや問題点をまとめ、脳卒中地域医療連携に関するインディケーター案を提言した。しかし、地域医療連携をインディケーターで評価する場合、誰が情報を収集・公表するか等の点が未解決の問題として残った。脳卒中医療・介護の均てん化に向けた取り組みも、今後の重要な課題である。
結論
本研究班の研究成果は、良質な継ぎ目なき脳卒中地域医療の提供に大きく貢献できると考える。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-01-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200825009B
報告書区分
総合
研究課題名
脳卒中地域医療におけるインディケーターの選定と監査システム開発に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)・一般-044
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
峰松 一夫(国立循環器病センター 内科脳血管部門)
研究分担者(所属機関)
  • 長束 一行(国立循環器病センター 内科脳血管部門 )
  • 安井 信之(秋田県立脳血管研究センター 脳神経外科)
  • 長谷川 泰弘(聖マリアンナ医科大学 神経内科)
  • 岡田 靖(国立病院機構九州医療センター 脳血管センター)
  • 上原 敏志(国立循環器病センター 内科脳血管部門 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳卒中医療においては、急性期治療、回復期リハビリから在宅介護に至るまで、長いスパンにわたって継ぎ目のない質の高い医療を提供することが重要である。そのためには、脳卒中医療の質を全体的かつ客観的に評価する体制を構築することが必要である。本研究の目的は、脳卒中地域医療の質を向上させるために、全国的に普遍化できるインディケーターによる評価システムを構築することであった。
研究方法
本研究では、4つのモデル地域、すなわち、大阪北部地域、秋田市医療圏、川崎市広域、福岡市並びにその周辺地域における脳卒中地域医療連携、および全国の急性期治療病院から回復期リハビリテーション病棟、維持期施設までの実態調査のデータを活用した。
結果と考察
本研究班では、Stroke Unit Multicenter Observational(SUMO)研究の最終解析結果や海外のインディケーターを参考にして、わが国独自の急性期インディケーター本研究班案を選定するとともに各インディケーターの選定根拠、エビデンス、および実際の測定方法をまとめたマニュアルを作成した。実際に、分担研究者所属施設および関連施設においてインディケーターの前向き測定調査を行った。また、SUMO研究のサブ解析や急性期病院を対象とした救急医療体制の実態調査を実施することによって、rt-PA静注療法認可後のわが国の救急医療体制の変化、および体制の不備や地域格差などの問題点を明らかにすることができた。さらに、「急性期、回復期、維持期施設を対象とした脳卒中地域医療連携の現状を把握するための全国実態調査」から、脳卒中地域医療連携の現状や問題点を初めて明らかにし、医療連携の現状にはかなりの地域格差があることも示すことができた。最終的に、全国実態調査の解析結果や各モデル地域での活動成果をもとに、地域医療連携体制を構築するうえでの重要なポイントや問題点をまとめ、脳卒中地域医療連携に関するインディケーター案を提言した。しかし、地域医療連携をインディケーターで評価する場合、誰が情報を収集・公表するか等の点が未解決の問題として残った。脳卒中医療・介護の均てん化に向けた取り組みも、今後の重要な課題である。
結論
本研究班の研究成果は、良質な継ぎ目なき脳卒中地域医療の提供に大きく貢献できると考える。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200825009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
全国実態調査の解析結果や各モデル地域(大阪北部地域、秋田医療圏、川崎市広域医療圏、福岡市・周辺地域医療圏)での活動成果をもとに、脳卒中救急医療体制や地域医療連携の現状および問題点を初めて明らかにすることができた。さらに、地域別解析を行うことによって、脳卒中医療の現状にかなりの地域格差があることを示した。
本研究班の研究成果は、国内外の学会で発表され、またStroke誌、日本脳卒中学会誌など国内外の雑誌に多数掲載された。
臨床的観点からの成果
人口密度分布別の脳卒中救急医療体制の現状について検討した結果、人口密度が低い地域ほど脳卒中救急医療体制の整備が遅れていることが示唆され、脳卒中救急医療体制の抜本的再構築を行ううえで極めて重要な情報が得られた。また、地域医療連携体制を構築するうえでの重要なポイントや問題点をまとめ、脳卒中地域医療連携に関するインディケーター案を提言した。
ガイドライン等の開発
すでに欧米では、適切なインディケーターを用いて脳卒中急性期医療の質を評価するシステムが確立されている。わが国においては、脳卒中医療の質を評価するシステムは全く存在しなかったが、本研究班によって初めて、わが国独自の脳卒中急性期インディケーターの選定がなされ、各インディケーターの選定根拠、エビデンス、および実際の測定方法をまとめたマニュアルが作成された。
その他行政的観点からの成果
この度の医療法改正において、脳卒中が4疾病5事業の一つに指定された。脳卒中医療計画の中では、医療機能の分化・連携の推進を通じて継ぎ目のない地域医療の提供を実現することにより、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築し、国民の医療に対する安心・信頼の確保を図ることを目的としている。本研究班の研究成果は、まさしく良質な継ぎ目なき脳卒中地域医療の提供に大きく貢献できると考える。
その他のインパクト
分担研究者の所属施設を中心とした各モデル地域において、脳卒中地域医療連携に関する活動が行われた。その研究成果を発表し、各地域特有の問題を議論する場として、初年度1回、次年度2回、最終年度2回の合計5回、公開シンポジウムを開催した。また、ホームページの作成も行った。

発表件数

原著論文(和文)
16件
原著論文(英文等)
24件
その他論文(和文)
71件
その他論文(英文等)
5件
学会発表(国内学会)
31件
学会発表(国際学会等)
16件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
5件
公開シンポジウム「継ぎ目なき質の高い脳卒中地域医療をめざして」を開催

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
長谷川泰弘、安井信之、畑隆志、他
Stroke Unitの現状と課題:急性期脳卒中診療体制に関する全国アンケート調査から
脳卒中 , 28 (4) , 545-549  (2006)
原著論文2
峰松一夫、上原敏志、安井信之、他
わが国におけるstroke unitの有効性について―「わが国におけるstroke unitの有効性に関する多施設共同前向き研究」(厚生労働科学研究費補助金長寿科学総合研究事業、主任研究者:峰松一夫)の中間解析結果を中心に―
脳卒中 , 29 , 59-64  (2007)
原著論文3
峰松一夫、上原敏志、長谷川泰弘、他
海外視察報告:米国Joint Commission on Accreditation of Healthcare Organizations(JCAHO)による一次脳卒中センター(Primary Stroke Center)の認証システムについて
脳卒中 , 29 , 532-537  (2007)
原著論文4
古賀政利、上原敏志、長束一行、他
脳卒中地域医療の現状を把握するための全国アンケート調査 -一般診療所の現状-
脳卒中 , 30 , 723-734  (2008)
原著論文5
古賀政利、上原敏志、長束一行、他
脳卒中地域医療の現状を把握するための全国アンケート調査 -回復期リハビリテーション病棟の現状-
脳卒中 , 30 , 735-743  (2008)
原著論文6
古賀政利、上原敏志、長束一行、他
脳卒中地域医療の現状を把握するための全国アンケート調査 -維持期入院入所施設の現状-
脳卒中 , 30 , 710-722  (2008)
原著論文7
古賀政利、上原敏志、長束一行、他
脳卒中地域医療の現状を把握するための全国アンケート調査 -通所および訪問施設事業所の現状-
脳卒中 , 30 , 697-709  (2008)
原著論文8
峰松一夫、上原敏志、古賀政利、他
海外視察報告:オーストラリアの脳卒中救急医療体制について -メルボルン市Austin Hospital訪問-
脳卒中 , 31 , 45-48  (2009)
原著論文9
峰松一夫、上原敏志、長谷川泰弘、他
海外視察報告:ドイツの脳卒中医療システムについて
脳卒中 , 31 , 49-53  (2009)
原著論文10
Sato S, Uehara T, Toyoda K, et al.
Impact of the approval of intravenous recombinant tissue plasminogen activator therapy on the processes of acute stroke management in Japan
stroke , 40 , 30-34  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-