民間衛生施設を活用した健康増進のための効果的なシステムの開発及び評価に関する研究

文献情報

文献番号
200825007A
報告書区分
総括
研究課題名
民間衛生施設を活用した健康増進のための効果的なシステムの開発及び評価に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)・一般-042
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大賀 英史((独)国立健康・栄養研究所 理事長付き)
研究分担者(所属機関)
  • 廣田晃一(国立健康・栄養研究所 情報センター)
  • 江指隆年(聖徳大学人文科学部生活文化学科)
  • 樋口満(早稲田大学・スポーツ科学学術院)
  • 近藤高明(名古屋大学医学部保健学科・検査技術科学専攻・環境衛生学)
  • 山下公平(東京都足立区足立保健所健康推進課)
  • 森本兼曩(大阪大学・医学系研究科・社会環境医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活者が食事や休養で利用している施設内で、これまでの習慣とはちがった新鮮かつ健康につながる方法を実践的に学習する環境を作ることで、ライフスタイルの改善が認められるかを評価すること。
研究方法
(研究1) 飲食店、居酒屋、喫茶店(コーヒーショップ)で、食事や栄養に関する知識とノウハウを学習する環境を作る。喫茶店では、学習資料を店内に配置し、来店者に店主が示し、読んでもらう。また、居酒屋では、待ち時間を利用して、メニューの選び方を支援する資料を提示する。
その後、資料の感想と自己の行動変容について、アンケート調査を実施する。飲食店は、和風旅館が持つ配膳機能と広間を活用し、栄養学の学びと過食にならない食事の食べ方(マインドフル食事法)3回の講習し、アドバイザーを養成し、知識及び改善行動をアンケートで評価した。
(研究2) 昨年度まで蓄積してきた食事、運動に、休養・ストレスの対策を加えた、総合的な学習と実践のシステムを作る。研究1で用いた和風旅館に宿泊し、生活衛生施設としては、近隣の飲食店と広間、浴室等を活用した。昨年度、養成し認定した市民アドバイザー及び研究1の講習会に参加し、認定したアドバイザーが指導の支援を行った。評価は、プログラム参加後に、学びの定着度とライフスタイルの変化についての波及効果を、アンケートにて評価した。
結果と考察
(研究1)「喫茶店」:手持ち無沙汰で時間をもてあましている際に、興味ある学習ができたと回答した者が多かった。「居酒屋」:素材の野菜のがん予防効果など、不安に直結する学習内容が好評であった。また、ビンゴによるゲーム形式の学習教材は、グループで飲み会を開いている際に、溶け込みやすい栄養教育方法であった。「飲食店(和風旅館内)」:1度に大勢の参加者(16名程度)に、講習会とともに食事をしながらのノウハウを伝達することができた。受講者のうち、食べ方が変わり、体重が減少したことや、ウォーキングも自発的に開始した者が半数以上現れた。
(研究2)参加者は、改善しようとしたライフスタイルに加え、特に意識しなかったライフスタイルにも改善の波及が見られた。事前に養成したアドバイザーは教えることを通してこれまでの学びを固め、自信を得た。
結論
 健康づくりは、食事、休養、移動と、実際の生活上で行われることと直結している。そのため、飲食店、喫茶店、居酒屋、また、それらを包括した旅館での知識教育ならびにノウハウの指導は、和やかなムードでの学びと実践的な指導ができるため、受講後のライフスタイルの変容と定着に大きく寄与する。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200825007B
報告書区分
総合
研究課題名
民間衛生施設を活用した健康増進のための効果的なシステムの開発及び評価に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)・一般-042
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大賀 英史((独)国立健康・栄養研究所 理事長付き)
研究分担者(所属機関)
  • 廣田晃一((独)国立健康・栄養研究所 情報センター)
  • 江指隆年(聖徳大学人文科学部)
  • 樋口満(早稲田大学スポーツ科学学術院)
  • 近藤高明(名古屋大学医学部保健学科・検査技術科学専攻・環境衛生学)
  • 山下公平(東京都足立保健所健康推進課)
  • 森本兼曩(大阪大学・医学系研究科・社会環境医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活衛生施設での短時間のコンタクトの時間に、健康・栄養情報の学習や簡易測定の結果を本人にフィードバックを通して、健康に関した情報提供や動機づけ支援を行えるシステムならびにアドバイザーの育成及びそのためのマニュアルの作成を目的とする。
研究方法
生活衛生施設として、銭湯、居酒屋、喫茶店、旅館等で、栄養、運動、休養ストレスの専門家が主催する講習会および健康づくりのイベントを定期的に開催し、健康度や行動面の改善を確認する。また、参加者のうち、学習を深め、行動改善に成功した者をアドバイザーとして認定し、後続する参加者の健康づくり支援を行う。
結果と考察
銭湯:利用者を対象に、営業時間外に脱衣場や休憩室を、食事や運動の講義や実技指導の場として活用するプログラムを定期的に開催することで、ライフスタイルが変化し、定着し、脂質異常、高血糖などの症状で服薬中の者で服薬不要となった者が多く現れた。
居酒屋:実際のメニューの素材の野菜、魚に含まれる栄養素の機能性について記載したリーフレットや、ビンゴ等のゲーム形式の学習教材は、集団での利用者の学習に効果的であった。
喫茶店:健康・栄養に関する最新情報を、テーブルに設置したリーフレットは、読まれやすいことがわかった。
旅館:宿泊に伴い、食事、身体活動、休養・ストレス(入浴、睡眠、起床ほか)のライフスタイルの全般について、健康づくりに関する講義と実技ノウハウ、、認定アドバイザーによる実体験報告により、行動習慣を変える基礎力が身に付き、健康的な行動変容を達成した者が多く現れた。
結論
従来、健康増進に関する講習は、自治体や保健医療機関の施設内の会議室、調理室といった、受講者の生活文脈と離れた場面で実施されていた。生活衛生施設での実践を含めた講習は、従来の施設での講習に参加しなかった者の参加を促し、また学んだことによる行動変容と定着において優れている。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200825007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
保健センターや大学、保健医療機関などの施設で、専門家が実施する指導と異なり、生活者の場面で、専門家が指導し、継続的な学習者には知識と試験と実技の試験を実施して認定したアドバイザーが仲間を増やしながら広めるシステムは、継続的な参加率が高く、主体性を高めることが確認できた。
臨床的観点からの成果
参加者のうち、長年、脂質異常や高血糖の症状の服薬をしていた者が、ライフスタイルを改善することに興味を持ち、短期間で服薬が不要となった者が現れる傾向を確認できた。
ガイドライン等の開発
静岡県小山町食育推進計画の策定委員長として、研究成果のうち、ソーシャルキャピタルとマインドフルネスの考え方を色濃く反映させた平成21年度からの食育推進計画を策定した。
その他行政的観点からの成果
神奈川県横浜市国民健康保険課が実施する国保加入者への特定保健指導において、アウトソーシング業務を受託する保険指導を行う機関を選定する委員会の委員長として、研究成果を反映させた。
その他のインパクト
読売新聞 全国版 特集「つながる」 「健康」を軸にまちづくり 銭湯でメタボ講座 専門家が企画  2007年12月22日
FM西東京 2007年8月12日「大人の放課後」 健康づくりで仲間づくり・まちづくり

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
臨床栄養  マインドフルネス認知療法の原理に基づく新しい食事と運動アドバイス 治療薬の服薬が不要となった境界型糖尿病患者の事例を中心に
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-