離島・農村地域における生活習慣病対策の環境整備とその評価に関する研究

文献情報

文献番号
200825001A
報告書区分
総括
研究課題名
離島・農村地域における生活習慣病対策の環境整備とその評価に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)・一般-035
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
磯 博康(国立大学法人大阪大学 大阪大学大学院)
研究分担者(所属機関)
  • 北村明彦(大阪府立健康科学センター 健康開発部)
  • 谷川武(愛媛大学大学院 公衆衛生・健康医学)
  • 小林美智子(長崎県立大学シーボルト校 看護栄養学部)
  • 岡田克俊(愛媛大学 総合健康センター)
  • 緒方剛(茨城県筑西保健所)
  • 上原真理子(沖縄県宮古福祉保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、離島・農村地域住民の環境要因・生活習慣の現状を把握し、生活習慣病の有病・発症・死亡状況との関連及び環境要因・生活習慣のうち、生活習慣病発症の促進要因を明らかにして、その要因を取り除くことによる疾病並びに医療費への影響を分析する。そして、これらの分析に基づいて、離島・農村地域における生活習慣病対策を行うために保健医療の人材・施設、地域ネットワークなどの環境整備を提言することを目的とした。
研究方法
最終年度である本年度は、対象地域における高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームの有病率及び人口動態統計に基づく死亡率の推移について検討するとともに、予防対策の費用効果について検討した。また、学術専門職と保健医療行政専門職との研修・意見交換会を各地で行った。
結果と考察
その結果、離島・農村地域において生活習慣病や肥満度には明らかな地域差が存在していた。また、予防対策の費用効果において、予防対策の開始から15-20年の段階における保健事業費及び脳血管疾患の発症者数に地域差が存在し、住民1人あたり約1,400円の保健事業費を追加することにより、脳血管疾患の発症が年間1人予防できると推計された。
結論
生活習慣病対策を進める上での環境整備に関して、1)離島は、過疎化・高齢化による家族力の低下があるが、住民の結束力が強いため、比較的豊富な保健医療の人材・施設、地域ネットワークで補完してゆく、2)農村は、核家族・高齢単身が少なく家族力が比較的保たれており、家族の健康を守るという観点から、保健医療の人材・施設の不足を住民リーダーの育成で補完してゆく、ことが重要である。
今後の課題として、1)長期的な高血圧対策を継続してきた農村では、脳卒中の発症、死亡のより大きな低下がみられたが、肥満、糖尿病の問題が出現しつつある、2)メタボリックシンドロームの有病率は、沖縄で高いが、脳卒中、虚血性心疾患の死亡率は高くない等の特徴があり、離島、農村を合わせて長期的なサーベイランスが必要である。3)離島、農村で、メタボリックシンドロームや非肥満者への対策を効果的に進める方法の検討と評価が重要である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200825001B
報告書区分
総合
研究課題名
離島・農村地域における生活習慣病対策の環境整備とその評価に関する研究
課題番号
H18-循環器等(生習)・一般-035
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
磯 博康(国立大学法人大阪大学 大阪大学大学院)
研究分担者(所属機関)
  • 北村明彦(大阪府立健康科学センター 健康開発部)
  • 谷川武(愛媛大学大学院 公衆衛生・健康医学)
  • 小林美智子(長崎県立大学シーボルト校 看護栄養学部)
  • 岡田克俊(愛媛大学 総合健康センター)
  • 緒方剛(茨城県筑西保健所)
  • 上原真理子(沖縄県宮古福祉保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、離島・農村地域住民の環境要因・生活習慣の現状を把握し、生活習慣病の有病・発症・死亡状況との関連及び環境要因・生活習慣のうち、生活習慣病発症の促進要因を明らかにして、その要因を取り除くことによる疾病並びに医療費への影響を分析し、離島・農村地域における生活習慣病対策を行うために必要な環境整備を提言することを目的とした。
研究方法
そのため、本研究では、(1)生活環境・生活習慣に関する調査、(2)生活習慣病(高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム)の有病率の比較、(3)脳血管疾患及び虚血性心疾患の発症率の比較、(4)脳血管疾患及び虚血性心疾患の死亡率の推移(1972-2007年)の比較、(5)国民健康保険医療費の分析、(6)予防対策の経済分析を行った。さらに、対象地域における学術専門職と保健・医療行政専門職との研修・意見交換会を実施した。
結果と考察
その結果、離島・農村地域において生活習慣病や肥満度には明らかな地域差が存在していた。特に、離島は農村に比べて高血圧者の服薬割合やコントロール割合が低かった。全地域で男女、中年、高齢ともに脳血管疾患死亡率の低下が、一部の農村、離島の40-64歳男女において虚血性心疾患死亡率の漸増傾向が認められた。予防対策の費用効果において、予防対策の開始から15-20年の段階における保健事業費及び脳血管疾患の発症者数に地域差が存在し、住民1人あたり約1,400円の保健事業費を追加することにより、脳血管疾患の発症が年間1人予防できると推計された。
結論
生活習慣病対策を進める上での環境整備に関して、1)離島は、過疎化・高齢化による家族力の低下があるが、住民の結束力が強いため、比較的豊富な保健医療の人材・施設、地域ネットワークで補完してゆく、2)農村は、核家族・高齢単身が少なく家族力が比較的保たれており、家族の健康を守るという観点から、保健医療の人材・施設の不足を住民リーダーの育成で補完してゆく、ことが重要である。
今後の課題として、1)長期的な高血圧対策を継続してきた農村では、脳卒中の発症、死亡のより大きな低下がみられたが、肥満、糖尿病の問題が出現しつつある、2)メタボリックシンドロームの有病率は、沖縄で高いが、脳卒中、虚血性心疾患の死亡率は高くない等の特徴があり、離島、農村を合わせて長期的なサーベイランスが必要である。3)離島、農村で、メタボリックシンドロームや非肥満者への対策を効果的に進める方法の検討と評価が重要である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200825001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究結果は、わが国の離島・農村での循環器疾患予防を効率的に進めていくための施策に応用でき、地域保健医療の向上に貢献できる。また、離島・農村と大学等における専門職の連携によって予防対策基盤の強化につながる。
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
6件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-10-07
更新日
-