緩和ケアにおけるIVRの確立についての研究

文献情報

文献番号
200824080A
報告書区分
総括
研究課題名
緩和ケアにおけるIVRの確立についての研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-021
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
荒井 保明(国立がんセンター中央病院 放射線診断部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 康雄(聖マリアンナ医科大学 放射線科)
  • 小林 健(石川県立中央病院 放射線科)
  • 曽根 美雪(岩手医科大学 放射線医学講座)
  • 稲葉 吉隆(愛知県がんセンター 放射線診断・IVR部)
  • 新槇 剛(静岡県立静岡がんセンター 画像診断科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
22,698,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、これまでにJIVROSG(Japan Interventional Radiology in Oncology Study Group:日本腫瘍IVR研究グループ)で行われた臨床試験で緩和ケアにおける標準的治療となる可能性が示されたIVRについて、既存の治療法とのランダム化比較試験を行い、緩和ケアにおける当該IVRの位置づけを明らかにすることにある。
研究方法
緩和段階の症例が呈す種々の症状に対する治療は必ずしも標準化されておらず、種々の治療法が適宜採用されているのが現状である。このため、低侵襲とはいえ侵襲的治療であるIVRを介入させるランダム化比較試験を緩和段階の症例を対象に行うためには、倫理的に許容され、かつ実行可能な試験デザインを構築することが最も重要である。よって、本年度は、対象とする緩和IVRをJIVROSGにおけるこれまでの臨床試験結果から抽出し、ランダム化比較試験に必要な要件について、倫理性、科学性、ならびに実行性の観点から検討し、個々の試験についてプロトコール作成を行った。
結果と考察
JIVROSGにおける臨床試験で結果の確定した緩和IVRから①腹腔―静脈シャント造設術、②経皮的椎体形成術、③がんによる消化管通過障害に対する経皮経食道胃管挿入術、④切除不能悪性大腸狭窄に対するステント治療、⑤悪性腫瘍による大静脈症候群に対するステント治療を対象とした。試験のデザインは、対照治療を当該IVR治療を除くすべての治療、主要評価項目を症状特異的QOL尺度、副次的評価項目を包括的QOL尺度、有害事象の種類と頻度、程度とし、プロトコール治療継続期間中のQOL曲線の曲線下面積を比較し、IVR治療の優越性を確認するランダム化比較試験とした。プロトコールの完成を待ち試験を開始するが、エビデンスの乏しい緩和領域において、本試験は大きな意義をもつと考えられる。
結論
IVR治療の緩和ケアにおける標準的治療としての可否を評価するためのランダム化比較試験について検討した。対象とするIVRとして、①腹腔―静脈シャント造設術、②経皮的椎体形成術、③がんによる消化管通過障害に対する経皮経食道胃管挿入術、④切除不能悪性大腸狭窄に対するステント治療、⑤悪性腫瘍による大静脈症候群に対するステント治療を抽出し、また、ランダム化比較試験に必須の条件を明らかにし、試験デザインの骨格を決定した。これに基づき各試験のプロトコール作成を行った。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-