高悪性度骨軟部腫瘍に対する標準治療確立のための研究

文献情報

文献番号
200824077A
報告書区分
総括
研究課題名
高悪性度骨軟部腫瘍に対する標準治療確立のための研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-018
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 幸英(九州大学 大学院医学研究院整形外科)
研究分担者(所属機関)
  • 荒木 信人(大阪府立成人病センター整形外科)
  • 高橋 満(静岡県立静岡がんセンター整形外科)
  • 中馬 広一(国立がんセンター中央病院 骨・軟部組織科)
  • 比留間 徹(神奈川県立がんセンター骨軟部腫瘍外科)
  • 尾崎 敏文(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科整形外科)
  • 土屋 弘行(金沢大学大学院医学系研究科機能再建学(整形外科))
  • 井須 和男(北海道がんセンター整形外科)
  • 守田 哲郎(新潟県立がんセンター新潟病院整形外科)
  • 松田 秀一(九州大学病院整形外科)
  • 吉田 行弘(日本大学医学部整形外科)
  • 森岡 秀夫(慶応義塾大学医学部整形外科)
  • 和田 卓郎(札幌医科大学医学部整形外科)
  • 戸口田 淳也(京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野)
  • 松峯 昭彦(三重大学医学部整形外科)
  • 横山 良平(九州がんセンター整形外科(骨軟科))
  • 羽鳥 正仁(東北大学病院整形外科)
  • 阿部 哲士(帝京大学医学部整形外科)
  • 舘崎 愼一郎(千葉県がんセンター整形外科)
  • 望月 一男(杏林大学医学部整形外科)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院医学系研究科整形外科)
  • 松本 誠一(癌研究会有明病院整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
26,190,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
転移の無い四肢発生の骨肉腫に対し、MTX、ADM、CDDPによる術前化学療法を行い、効果不充分例に対し、術後化学療法としてIFOを追加する上乗せ延命効果があるかどうかを、ランダム化比較により検証する。高悪性度軟部肉腫に対するIFO, ADMによる補助化学療法の第II相臨床試験(JCOG0304)に関しても、症例の解析を引き続き行う。
研究方法
研究形式:多施設共同第III相ランダム化比較試験。Primary endpointは無増悪生存期間。
対象:転移の無い四肢発生の高悪性度骨肉腫。患者登録とランダム割付:術前化学療法を行い、切除標本の腫瘍壊死割合を判定し、効果不充分例にはランダム割付を行う(B1群・B2群)。著効例は術前と同じレジメンで治療を行う(A群)。
術前化学療法:AP (ADM 60mg/m2+CDDP 120mg/m2) x 2、MTX (12g/m2) x 4
術後化学療法:効果不充分例は、以下の治療を実施。(B1群:AP x 2、MTX x 6、ADM (90mg/m2) x 2、B2群:AP x 2、MTX x 4、IFO (16g/m2) x 6)
予定症例数:登録期間5年、追跡3年、予定症例数240例。

結果と考察
平成20年度においては、JCOGにおけるプロトコールコンセプトの承認を受け、現在はフルプロトコールの作成および承認に向けて討議を重ねている。年2回の班会議をはじめ、現在まで5回のワーキンググループ会議を開催した。術前化学療法の効果不充分例に対しIFOを加えた術後化学療法による予後改善効果を検証する本研究は、世界的にも極めて重要な研究と考えられる。
高悪性度軟部肉腫に対するIFO, ADMによる補助化学療法の第II相臨床試験においては、登録症例数は平成20年9月で72例となり、登録終了とした。現在までの集計では3年生存割合は88.3%と、生命予後が改善される可能性が高いと予測され、今後も引き続き追跡調査を行っていく予定である。

結論
転移の無い四肢発生の骨肉腫に対し、MTX、ADM、CDDPによる術前化学療法を行い、効果不充分例に対し、術後化学療法としてIFOを追加する上乗せ延命効果を検証する多施設共同試験のプロトコールを作成した。高悪性度非円形細胞軟部肉腫に対する補助化学療法の臨床試験は、症例登録を終了し、今後は結果解析を行っていく。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
-