早期消化管がんに対する内視鏡的治療の安全性と有効性の評価に関する研究-粘膜下層浸潤臨床病期I(TINOMO)食道がんに対するEMR/化学放射線療法併用療法の有効性に関する第Ⅱ相試験:JCOG0508

文献情報

文献番号
200824074A
報告書区分
総括
研究課題名
早期消化管がんに対する内視鏡的治療の安全性と有効性の評価に関する研究-粘膜下層浸潤臨床病期I(TINOMO)食道がんに対するEMR/化学放射線療法併用療法の有効性に関する第Ⅱ相試験:JCOG0508
課題番号
H20-がん臨床・一般-015
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
武藤 学(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小野 裕之(静岡県立静岡がんセンター )
  • 三梨 桂子(国立がんセンター東病院)
  • 飯石 浩康(大阪府立成人病センター)
  • 二瓶 圭二(国立がんセンター東病院 臨床開発センター)
  • 伊藤 芳紀(国立がんセンター中央病院)
  • 澤木 明(愛知県がんセンター中央病院)
  • 土山 寿志(石川県立中央病院)
  • 森田 圭紀(神戸大学医学部附属病院)
  • 小林 望(栃木県立がんセンター)
  • 吉井 貴子(神奈川県立がんセンター)
  • 門馬 久美子(がん・感染症センター都立駒込病院)
  • 西崎 朗(兵庫県立がんセンター)
  • 小山 恒男(厚生連佐久総合病院)
  • 田中 正博(大阪市立総合医療センター)
  • 田辺 聡(北里大学医学部)
  • 土田 知宏(癌研究会有明病院)
  • 小西 一男(昭和大学医学部)
  • 天貝 賢二(茨城県立中央病院)
  • 加藤 誠之(岩手県立中央病院)
  • 梅垣 英次(大阪医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
29,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治がんのひとつとされる食道がんが内視鏡診断技術の進歩によって発見しやすくなり、より低侵襲で根治性の高い治療法の開発が求められている。本研究では、これまで外科手術が標準治療であった粘膜下層浸潤食道がんに対し、低侵襲治療として内視鏡的粘膜切除(EMR)で原発切除を行った後に組織学的所見に基づいて放射線の照射方法と総線量を工夫した化学放射線療法を加える新しい治療戦略の安全性と有効性を評価することを目的とする。
研究方法
「粘膜下層浸潤clinical stage I(T1N0M0)食道癌に対するEMR/化学放射線療法併用療法の有効性に関する第II相試験:JCOG0508」をJapan Clinical Oncology Group(JCOG)参加施設で実施する。Primary endpointは、EMR後の組織学的深達度診断により、pSM1-2かつ断端陰性と診断された患者における3年生存割合とした。Secondary endpointは、1)全適格患者の3年生存割合、2)全適格患者の無増悪生存期間、3)EMR後にpM3かつ断端陰性と診断された患者の全生存期間、4)EMRによる有害事象、5)化学放射線療法による有害事象とした。予定登録数は、pSM1-2かつ断端陰性の患者を82例(全適格患者で137例を予定)登録する。登録期間は3年を見込んでおり、登録終了後5年追跡期間する。
結果と考察
平成20年度末までの登録症例数は49 例である。わが国では、早期消化管癌に対する内視鏡治療が諸外国より普及しているが、その有用性と安全性を科学的に評価する多施設共同前向き臨床試験はこれまで実施されてこなかった。本研究は、わが国におけるはじめての内視鏡治療に関する臨床試験であるばかりでなく、内視鏡治療、化学療法、放射線療法と多岐にわたる治療モダリティーを組み合わせた低侵襲かつ根治性の高い治療を評価するものである。このまったく新しい挑戦を実施するにあたり、質の高い臨床試験を行う体制が整備され実際に症例が順調に登録されたことは、わが国における内視鏡治療のエビデンス構築に大きく貢献することが期待される。
結論
これまで外科手術が標準治療であった粘膜下層に浸潤する食道癌に対し、内視鏡的粘膜切除後に化学放射線療法を追加する新しい治療戦略に関する多施設共同臨床試験を開始し、順調に症例登録がなされている。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-