治癒切除不能進行胃癌に対する減量手術の意義に関する研究

文献情報

文献番号
200824070A
報告書区分
総括
研究課題名
治癒切除不能進行胃癌に対する減量手術の意義に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
辻仲 利政(国立病院機構大阪医療センター がんセンター、外科)
研究分担者(所属機関)
  • 塩崎 均(近畿大学医学部 上部消化管外科)
  • 山上 裕機(和歌山県立医科大学、第2外科)
  • 栗田 啓(国立病院機構四国がんセンター 上部消化管外科)
  • 寺島 雅典(静岡県立静岡がんセンター 胃外科)
  • 宮代 勲(大阪府立成人病センター 消化器外科)
  • 河内 保之(新潟県厚生連長岡中央綜合病院 外科)
  • 市倉 隆(防衛医科大学校 第一外科 上部消化器外科 )
  • 竹中 温(京都第2赤十字病院 外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
29,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
治癒切除不能な進行胃がんに対して、胃切除を行うかの治療選択に際しては大きなバイアスがある。減量手術の意義は、最も科学的に信頼できるランダム化比較第Ⅲ相試験により検証する必要がある。
研究方法
登録にあたって治療群は日韓それぞれのデータセンターでランダムに割りつける。ランダム割り付けに際しては、国(日本/韓国)を層別因子とし、施設、リンパ節転移(N0-1/N2-3)、非治癒因子(H1/P1/ M1)を調整因子とする最小化法を用いる。 治療計画として、化学療法単独群(A群)では登録後14日以内にS-1+CDDPによる化学療法、減量手術群(B群)では登録後21日以内にプロトコール治療を減量手術およびS-1+CDDPによる術後化学療法を開始する。両群における化学療法は、中止規準に該当しない限り継続する。B群で行う減量手術は、開腹による胃切除およびD1郭清を原則とし、完全なD2郭清や他臓器の合併切除は許容しない。
エンドポイントと必要症例数に関しては、本試験の主要評価項目は生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間および有害事象発生割合とした。本試験のA群における2年生存割合は20?25%程度と予想し、B群においてはA群に対して2年生存割合で10%の上乗せ効果を期待し、α=0.05(片側)、検出力80%、登録期間4年、追跡期間2年とし、必要症例数は両群合計330名とした。
結果と考察
本試験の結果、減量手術群の優越性が示された場合には、現在の標準治療である化学療法単独治療に延命効果で優る新しい標準治療が確立されることになる。減量手術群の優越性が示されなかったとしても、化学療法単独治療が標準治療であるという確固たるエビデンスを示すことの意義は大きい。
平成21年3月における日本での登録数は18症例であり、韓国からは4症例が登録された。日本および韓国での会議に際して、それぞれの担当者が実際の適格例の症例報告と治療経過を報告している。
初めての国際共同研究であるが、定期交流を重ねることにより、研究推進への共同意識や質の高い研究とするための認識が形成されてきている。対象患者数が限られているため、国際共同研究によって症例集積が促進するメリットは生かされてきている。
結論
平成20年度において、国際共同研究の基盤が固まり、症例集積が両国で開始された。研究は多少の遅れはあるが順調に進行しており、最終結果が得られる可能性が高い。

公開日・更新日

公開日
2009-05-25
更新日
-