がんの腹膜播種に対する標準的治療の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200824067A
報告書区分
総括
研究課題名
がんの腹膜播種に対する標準的治療の確立に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-008
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
白尾 国昭(大分大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 瀧内 比呂也(大阪医科大学 化学療法センター)
  • 那須 淳一郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター)
  • 天貝 賢二(茨城県立中央病院茨城県地域がんセンター)
  • 浜本 康夫(栃木県立がんセンター)
  • 朴 成和(静岡県立静岡がんセンター)
  • 加藤 俊介(東北大学病院)
  • 大川 伸一(神奈川県立がんセンター)
  • 中村 朗(総合病院国保旭中央病院)
  • 山口 研成(埼玉県立がんセンター)
  • 矢野 友規(国立がんセンター東病院)
  • 山田 康秀(国立がんセンター中央病院)
  • 奥野達哉(神戸大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
18,941,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は腹膜播種を伴う進行胃がん(腹膜播種を伴う術後再発胃がんを含む)を対象にMTX+5-FU時間差療法と5-FU単独持続静注療法の第Ⅲ相無作為化比較試験を行い、腹膜播種を伴う進行胃がんに対する標準的治療法を確立することである。
研究方法
腹膜播種を伴う進行胃癌を対象にMTX+5-FU時間差療法(B群) vs 5-FU単独持続静注療法(A群)のランダム化比較試験を行う。Primary endpointは全生存期間、Secondary endpointは登録時経口摂取可能例が経口摂取不能となるまでの期間(経口摂取可能生存期間)、登録時経口摂取不能例における経口摂取改善割合、有害事象発生割合および重篤な有害事象発生割合とした。
結果と考察
<結果>2群間の年齢、性別、PS、切除不能/再発の割合、登録直前の点滴の有無、手術例の有無、術後補助化学療法の有無、原発巣の肉眼型、組織型、転移巣の診断根拠、原病に伴う自他覚症状など背景に大きな差は見られなかった。
生存期間の中央値はA群で9.4ヶ月、B群で10.6ヶ月と両者に有意差は認めなかった(p=0.31)。経口摂取可能生存期間の中央値もA群(102例)で8.1ヶ月、B群(103例)で9.0ヶ月と両者に有意差は認めなかった(p=0.60)。登録時経口摂取不能例における経口摂取改善割合は、A群で41%(7/17)、B群で57%(8/14)と、これも有意差は認めなかった(p=0.48)。
治療開始6ヶ月以内に発生したGrade 4の好中球減少、Grade 3以上の発熱性好中球減少、好中球減少を伴う感染、貧血、食欲不振、下痢、腹痛、治療関連死は、A群、B群それぞれ、0%/9%、0%/3%、0%/5%、10%/16%、27%/34%、1%/10%、5%/10%、2%/1%であった。
<考察>腹膜播種を伴う進行胃がんに対する現時点の標準治療は5-FU単独持続静注療法と判断した。本研究結果および来年結果が判明する予定になっている腹膜転移を伴う胃がんの二次治療に関する比較第二相試験(JCOG0407:best available 5-FU vs weekly Taxol)の知見をもとに、さらなる治療成績の向上を目指した次期第三相試験を計画する予定である。
結論
腹膜播種を伴う進行胃がんに対する現時点の標準治療は5-FU単独持続静注療法であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-12
更新日
-