難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200824066A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性白血病に対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大西 一功(浜松医科大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 竜三(愛知淑徳大学 医療福祉学部)
  • 大竹 茂樹(金沢大学 保健学系)
  • 直江 知樹(名古屋大学 医学系研究科)
  • 宮崎 泰司(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
  • 小林 幸夫(国立がんセンター 中央病院)
  • 金丸 昭久(近畿大学 医学部)
  • 品川 克至(岡山大学 医学部・歯学部附属病院)
  • 宮脇 修一(群馬県済生会前橋病院)
  • 薄井 紀子(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 竹内 仁(日本大学 医学部)
  • 伊藤 良和(東京医科大学 医学部)
  • 熱田 由子(名古屋大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
23,833,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、成人白血病に対し遺伝子変異等のスクリーニングにより疾患の層別化を行ない、分子基盤に基づいた新たな標準的治療法の確立を目的とする。
研究方法
 本年度は、フィラデルフィア(Ph)染色体陽性急性リンパ性白血病(ALL)に対しては前試験で明らかとなった寛解後の再発を克服するため、より強化した Ph+ALL208試験を、慢性骨髄性白血病(CML)に対してはイマチニブ治療の最適化のためCML-DR1間歇投与試験を、高齢者白血病に対しては標準療法を求めてゲムツズマブ・オゾガマイシン(GO)併用GML208試験を新たなプロトコールとして策定し登録を開始した。急性骨髄性白血病(AML)の各病型に対しては継続的に臨床試験を実施した。本研究はJALSGとの共同研究である。
結果と考察
 急性骨髄性白血病(AML206試験)、急性前骨髄球性白血病(APL204、APL205R)、急性リンパ性白血病(ALL202)、高リスク骨髄異形成症候群(MDS206)、慢性骨髄性白血病(CML207)、またAML全体に対する前方向コホート研究(AML-CS07)はそれぞれ順調に症例が集積されている。長期成績の解析では、AML97試験においては、特定の染色体異常、WHO分類による病型、芽球のミエロペルオキシターゼ陽性率が生存率と有意に相関する事が確認された。またAML150例の解析では、染色体異常、形態異常に加え遺伝子異常解析の網羅的解析を行う事により、分子基盤に基づいた更なる層別化が可能である事が明らかになった。AML201試験の最終解析の結果では、増量したダウノルビシン療法の有用性が証明され、高用量シタラビン療法の有効性と安全性が示された。あわせて同種幹細胞移植の再発抑止効果が確認された。Ph陽性ALLに対するPh+ALL202試験においては、診断時の付加的染色体異常は無再発生存率に対する独立した予後予測因子である事、一方寛解導入療法終了直後の早期の分子寛解は必ずしも無再発生存率に相関しない事が明らかにされた。また網羅的遺伝子解析により分子遺伝学的効果予測が可能な6遺伝子が抽出され、RQ-PCR法を用いた予測システムが開発された。
結論
 高齢者を含む成人AMLにおいてはGO併用療法の安全性が確認されつつある。また遺伝子異常に基づく新たな層別化により個別化治療への道が開かれたが、その中で新規分子標的薬剤の位置づけが課題とされる。

公開日・更新日

公開日
2009-03-27
更新日
-