神経芽腫におけるリスク分類にもとづく標準的治療の確立と均てん化および新規診断・治療法の開発研究

文献情報

文献番号
200824058A
報告書区分
総括
研究課題名
神経芽腫におけるリスク分類にもとづく標準的治療の確立と均てん化および新規診断・治療法の開発研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-031
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
池田 均(獨協医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中川原 章(千葉県立がんセンター 研究所)
  • 金子 道夫(筑波大学 医学部)
  • 麦島 秀雄(日本大学 医学部)
  • 正木 英一(国立成育医療センター)
  • 藤本 純一郎(国立成育医療センター 研究所)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター)
  • 河野 嘉文(鹿児島大学 医学部)
  • 菊田 敦(福島県立医科大学 医学部)
  • 熊谷 昌明(国立成育医療センター)
  • 菊地 陽(埼玉県立小児医療センター)
  • 小川 淳(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 松本 公一(名古屋第一赤十字病院小児医療センター)
  • 田尻 達郎(九州大学 医学部)
  • 七野 浩之(日本大学 医学部)
  • 家原 知子(京都府立医科大学 医学部)
  • 高橋 秀人(筑波大学 間総合科学研究科)
  • 牧本 敦(国立がんセンター中央病院)
  • 菱木 知郎(千葉大学 医学部)
  • 大喜多 肇(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
37,830,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1. 神経芽腫におけるリスク別標準的治療法を確立
2. 新規リスク診断など革新的診断と治療法の開発研究とTRの推進
3. 神経芽腫および小児がん全般の医療と研究体制の整備と、小児がん医療の集約化、高度専門化ならびに均てん化
4. 稀少小児がんを対象とする臨床試験の方法論の確立
研究方法
1. 日本神経芽腫研究グループ(JNBSG)を基盤とする症例登録と臨床試験の実施
2. 高リスク群の臨床試験は継続実施し、低・中間リスク群では治療プロトコールを作成
3. JNBSG登録検体の病理診断および分子生物学的解析と、新規リスク診断の開発、特にALK遺伝子異常に関する検討
4. 小児がん医療の集約化、高度専門化および均てん化についてのアンケート調査や実地調査
5. 稀少小児がんを対象とするグループ研究や臨床試験に関する検討、および生存の質(QOL)評価法の開発
結果と考察
 「高リスク神経芽腫に対する標準的集学的治療の後期第II相臨床試験」は2009年1月現在、44例が登録された。「進行神経芽腫に対し原発巣切除術を含む局所療法を大量化学療法後に遅延させて行う治療計画(遅延局所療法delayed local treatment)の早期第II相臨床試験」は、2008年2月、PD、治療死亡を認め症例登録を停止した。2009年1月、最終登録例の観察期間を終え試験を終了した。現在、新たな遅延局所療法の臨床試験と、低・中間リスクの臨床試験(研究)の準備を行っている。
 基礎研究ではマイクロアレイCGH 法による網羅的ゲノムパターンに基づくリスク分類の有用性を検証し、ALK 遺伝子変異の解析を行った。
 小児がん医療体制についてはアンケート調査を実施し、すでに実態として症例の集中(医療集約化)が始まっていることを確認した。また稀少小児がんを対象とする臨床試験の疫学的方法論の検討を行った。
結論
 JNBSGを基盤に高リスク神経芽腫を対象とする臨床試験を進めた。低・中間リスク群に対しては安全かつ有効な治療法の確立を目的にimage defined risk factor (IDRF)の概念を導入し、臨床試験(研究)を準備している。また網羅的ゲノムパターンおよびALK遺伝子異常を含めたリスク診断の可能性を示すとともに、小児がん医療の集約化、高度専門化ならびに均てん化については提言としてまとめるべく検討を行っている。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
-