進行卵巣がんにおける化学療法先行治療の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200824055A
報告書区分
総括
研究課題名
進行卵巣がんにおける化学療法先行治療の確立に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-028
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 裕之(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 勝俣 範之(国立がんセンター 中央病院 薬物療法部・薬物療法室)
  • 恩田 貴志(国立がんセンター 中央病院 第二領域外来部)
  • 嘉村 敏治(久留米大学医学部 産婦人科)
  • 八重樫 伸生(東北大学医学部 産婦人科)
  • 高野 政志(防衛医科大学校 産婦人科)
  • 中西 透(愛知がんセンター 中央病院 産婦人科)
  • 小西 郁生(京都大学大学院医学研究科 産婦人科)
  • 中川 俊介(東京大学医学部附属簿油院 女性外科)
  • 星合 昊(近畿大学医学部 産婦人科学教室)
  • 齋藤 俊章(国立病院機構 九州がんセンター 婦人科)
  • 落合 和徳(東京慈恵医科大学 産婦人科)
  • 斉藤 豪(札幌医科大学医学部 産婦人科)
  • 横田 治重(埼玉県立がんセンター 婦人科)
  • 日浦 昌道(国立病院機構 四国がんセンター 婦人科)
  • 西村 貞子(大阪市立総合医療センター 婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
22,698,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 III、IV期の卵巣、卵管、腹膜がんに対して、手術前後に4コース計8コースの化学療法を行う「化学療法先行治療」が、現在の標準治療である、手術後に8コースの化学療法を行う「手術先行治療」よりも有用であるかをランダム化比較試験にて検証する。Primary endpoint:全生存期間。Secondary endpoints:無増悪生存期間、有害事象、手術侵襲指標など。
研究方法
 多施設共同の第III相ランダム化比較試験(非劣性試験)。対象は組織学的または細胞学的に診断され、CT/MRIで進行期分類された卵巣、卵管、腹膜がんIII/IV期の初回治療例で、20-75才、CA125>200 IU/ml, CEA<20 ng/ml、ECOG PS 0-3、各臓器機能が保持され、初回腫瘍減量手術の対象となりうる例。
 症例登録とランダム割付は中央登録方式。適格性確認後、治療群の割付を受ける。調整因子は施設、PS、病期、年齢。
 半数登録時点と症例集積終了後に生存期間を比較する。予定登録数:各群150例、両群計300例。実施施設は全国32施設。

結果と考察
 第III相試験に先立つfeasibility study(JCOG 0206)の最終解析結果を論文化した。完全腫瘍消失割合は41.5%、腹腔鏡前の正診率は53/56で診断的腹腔鏡を省略した第III相試験に進んだ。
 平成20年9月でのモニタリング(119例)では、調整因子である病期、年齢、PSは両群で差がなかった。手術先行群35例のうち、1例はIIC期であったが、それ以外では、病期、原発臓器、組織診断はすべて正診であった。平成21年2月末の登録は161名である。中間解析を行う。
 卵巣がんIII/IV期の3年生存率は25%、5年生存率は20%である。現在の標準治療は治療負担が大きく、難しい治療体系のため、均てん化も遅れている。本試験は新たな治療体系確立のため、化学療法先行治療の標準化を目指す。第II相試験での3年生存率は60.1%と予測を上回った。化学療法先行治療が現在の標準治療を上回ることが期待できる。

結論
 第III相試験の登録は概ね順調に進行している。第II相試験の成果により、化学療法先行治療の特性を最大限に生かした臨床試験となっている。第II相試験で予想以上の高い生存率が確認され、成果が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-07
更新日
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