大腸がん肝転移症例の術後補助化学療法に関する研究

文献情報

文献番号
200824051A
報告書区分
総括
研究課題名
大腸がん肝転移症例の術後補助化学療法に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-024
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 知行(愛知県がんセンター中央病院)
研究分担者(所属機関)
  • 濱口 哲弥(国立がんセンター中央病院消化器内科)
  • 森谷 宜皓(国立がんセンター中央病院大腸外科)
  • 佐藤 敏彦(山形県立中央病院消化器外科)
  • 澤田 俊夫(群馬県立がんセンター)
  • 高橋進一郎(国立がんセンター東病院上腹部外科)
  • 滝口 伸浩(千葉県がんセンター消化器外科)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学大学院消化器外科)
  • 赤池 信(神奈川県立がんセンター消化器外科)
  • 藤井 正一(横浜市立大学付属市民総合医療センター消化器病センター)
  • 瀧井 康公(新潟県立がんセンター新潟病院大腸がん外科)
  • 山田 哲司(石川県立中央病院)
  • 齊藤 修治(静岡県立静岡がんセンター大腸外科)
  • 山口 高史(京都医療センター大腸外科)
  • 大植 雅之(大阪府立成人病センター大腸外科)
  • 三嶋 秀行(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター消化器外科)
  • 加藤 健志(箕面市立病院外科)
  • 岡村 修(関西労災病院外科)
  • 棚田 稔(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター消化器外科)
  • 白水 和雄(久留米大学病院消化器外科)
  • 佐藤 武郎(北里大学東病院消化器外科)
  • 近藤 征文(札幌厚生病院消化器外科)
  • 工藤 進英(昭和大学横浜市北部病院・消化器センター)
  • 木村 秀幸(岡山済生会総合病院外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,264,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大腸がん肝転移切除後の再発抑制を目的として、肝切除+mFOLFOX6療法の安全性と術後5年生存率上での臨床的有用性を検証する。                                     
研究方法
・大腸癌肝転移完全切除例を手術単独群と手術+mFOLFOX6(12サイクル)群の2治療群に無作為割付を行う。・肝切除+化学療法による有害事象を知るために第Ⅱ相試験を行い、引き続いて第Ⅲ相試験に入るⅡ/Ⅲ相試験を実施する。・第Ⅱ相試験の評価項目:主評価項目は治療完遂割合。第Ⅲ相試験の評価項目:主評価項目は無再発生存期間、副評価項目は全生存期間、有害事象、再発形式。 予定登録症例数:Ⅱ相試験部分:Ⅰ群39例、計78例 Ⅲ相試験部分:Ⅱ相試験部分も合わせてⅠ群150例、計300例 ・症例集積期間:3年 観察期間:登録終了後5年

結果と考察
【結果】A)登録状況 平成20年12月31日現在の登録数は78例。B)治療経過 2008年度前期のJCOGモニタリングで平成20年4月30日までに報告された有害事象は、B群の7例中grade3-4の好中球減少が5例(内grade4は1例)、grade3のアレルギー反応、食欲不振、悪心が1例ずつ現れた。術後の晩期合併症は、B群でgrade3の下痢が1例みられた。C)予後 平成20年4月30日までの登録例39例の1年無病生存割合は74.6%、再発4例,死亡0である。【考察】肝切除の補助療法について最新の報告であるEORTC40983(肝切除前後のFOLFOX4)の1年無病生存割合は、登録例55.8%,適格例57.9%,切除例67%であり、本研究の生存割合は優れている。計画では平成22年3月までに300例の症例集積を予定したが、現在のペースでいくと集積完了は平成23年12月頃となり、1年9月の遅れになる。症例集積が遅れている理由を平成20年10月に行ったアンケート調査からみると、年間適格症例数は全肝切除例の30%(193例)で、これは試験計画の52%にすぎない点にある。不適格理由の7割は他臓器転移、高齢などやむを得ない理由であるが、前治療ありが30%を占め、その内肝切除前にFOLFOXを行っているために不適格となったものが3/4あった。
結論
今年度の結果をみると、肝切除後のmFOLFOX6療法に重篤な有害事象の出現はなく、無病生存割合は優れているので、本研究を推進する意義は大きい。可及的早期の症例集積完了に務める。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
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