再発高危険群の大腸がんに対する術後補助療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200824048A
報告書区分
総括
研究課題名
再発高危険群の大腸がんに対する術後補助療法の確立に関する研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-021
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
森谷 宜皓(独立行政法人 国立がん研究センター 中央病院 消化管腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 敏彦(山形県立中央病院 消化器外科)
  • 固武 健二郎(栃木県立がんセンター 外科)
  • 澤田 俊夫(群馬県立がんセンター 消化器外科)
  • 鮫島 伸一(群馬県立がんセンター 消化器外科)
  • 長谷 和生(防衛医科大学校 外科)
  • 八岡 利昌(埼玉県立がんセンター 消化器外科)
  • 小西 文雄(自治医科大学附属 さいたま医療センター 消化器外科)
  • 齋藤 典男(国立がんセンター東病院 大腸骨盤外科)
  • 滝口 伸浩(千葉県がんセンター 消化器外科)
  • 正木 忠彦(杏林大学医学部附属病院 大腸肛門外科学)
  • 青木 達哉(東京医科大学病院 消化器 小児外科)
  • 高橋 慶一(東京都立駒込病院 外科 大腸外科)
  • 長谷川 博俊(慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科)
  • 杉原 健一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 消化器外科)
  • 斉田 芳久(東邦大学医療センター大橋病院 第3外科)
  • 赤池 信(神奈川県立がんセンター 消化器外科)
  • 渡邊 昌彦(北里大学医学部 外科)
  • 工藤 進英(昭和大学横浜市北部病院消化器センター 大腸癌)
  • 藤井 正一(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター 下部消化管外科)
  • 瀧井 康公(新潟県立がんセンター新潟病院 大腸外科)
  • 山田 哲司(石川県立中央病院 消化器外科)
  • 石井 正之(静岡県立静岡がんセンター 大腸外科)
  • 齊藤 修治(静岡県立静岡がんセンター 大腸外科)
  • 平井 孝(愛知県がんセンター中央病院 消化器外科)
  • 山口 高史(独立行政法人国立病院機構京都医療センター 外科(大腸外科))
  • 大植 雅之(独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター 消化器外科)
  • 福永 睦(市立堺病院 外科)
  • 加藤 健志(箕面市立病院、下部消化管)
  • 村田 幸平(市立吹田市民病院 外科)
  • 木村 秀幸(岡山済生会総合病院 外科)
  • 岡島 正純(国立大学法人広島大学大学院医歯薬学総合研究科 内視鏡外科学講座)
  • 久保 義郎(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 消化器外科)
  • 北野 正剛(国立大学法人大分大学医学部 消化器外科学(第1外科))
  • 島田 安博(国立がんセンター中央病院 消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
48,306,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
手術成績の良好な国内医療環境において最適な術後補助療法を大規模比較試験により確立する。
研究方法
COG0205「Stage Ⅲの治癒切除大腸癌に対する術後補助化学療法としての5-FU+l-LV静注併用療法とUFT+LV錠経口併用療法とのランダム化第Ⅲ相比較臨床試験」を実施した。Disease-free survivalを主評価項目、Overall survivalと有害事象発生割合を副評価項目とした非劣性デザインで、静注群と経口群の2群比較を行った。症例登録は完了し、追跡中である。
次期試験計画は経口抗がん剤同士の比較試験でプロトコールを作成中である。
結果と考察
平成15年2月17日から平成18年11月9日に1,101例の症例登録が完了し、追跡調査中である。平成21年3月末の定期モニタリングレポートでは治療完遂率は78%と高く、有害事象中止および有害事象に伴う患者拒否は15%であった。Grade 3/4血液毒性は好中球減少4.6%、GOT 2.3%、GPT 4.1%であった。非血液毒性(Grade 3/4)では食欲不振3.9%、下痢9.0%、悪心3.0%、嘔吐1.3%であった。二次癌は3%の発見頻度であった。2008年12月1日現在、両群を合せた無病生存割合は3年78.2%、4年74.1%、全生存割合は3年94.0%、4年89.6%であり、海外試験と比較しても優れた成績である。2011年11月が追跡終了であり、その後に最終報告予定である。
 次期試験は、大腸がん患者急増を意識し医療経済的視点を踏まえた計画を行った。対照群をCapecitabine単独、試験群をS-1単独とし、術後6ヶ月内服のデザインが採択された。対照群は、X-ACT試験成績や海外での経口薬剤の使用状況を考慮して、Capecitabineを選択した。JCOG0205試験と継続的に実施し、経口剤の臨床的な位置づけを評価する予定である。本コンセプトは、2008年9月6日JCOG運営委員会にて承認された。現在プロトコール作成中であり、2009年4月には最終審査提出予定である。
結論
大腸癌術後補助療法の大規模比較試験の症例登録が完了し、中間報告において優れた成績が報告された。国内医療環境を基盤とした術後補助療法の評価が重要であることが示された。次期試験を経口剤同士の比較試験として計画中である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-19
更新日
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