治療関連合併症を減少させて同種造血幹細胞移植後の生存率の向上を目指す標準的治療法の開発研究

文献情報

文献番号
200824046A
報告書区分
総括
研究課題名
治療関連合併症を減少させて同種造血幹細胞移植後の生存率の向上を目指す標準的治療法の開発研究
課題番号
H19-がん臨床・一般-019
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
福田 隆浩(国立がんセンター中央病院 特殊病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 谷口 修一(国家公務員共済組合虎の門病院 血液科)
  • 松井 利充(神戸大学大学院医学研究科 血液内科学講座)
  • 高見 昭良(金沢大学附属病院 輸血部)
  • 神田 善伸(自治医科大学付属さいたま医療センター 血液科)
  • 鈴木 律朗(名古屋大学医学部 造血細胞移植情報管理学)
  • 豊嶋 崇徳(九州大学病院 遺伝子・細胞療法部)
  • 日野 雅之(大阪市立大学 血液腫瘍制御学)
  • 池亀 和博(兵庫医科大学 血液内科)
  • 萩原 將太郎(国立医療センター 血液内科)
  • 畑中 一生(りんくう総合医療センター市立泉佐野病院 内科)
  • 山口 拓洋(東京大学医学部附属病院 臨床試験データ管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
22,698,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
移植片対宿主病(GVHD)や感染症などの治療関連合併症を減少させて同種造血幹細胞移植後の生存率の向上を目指す標準的治療法を確立する。

研究方法
抗ヒトTリンパ球ウサギ免疫グロブリン(ATG)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、ホスカルネットナトリウム水和物(FCN)などの薬剤の日本における適応外使用の現状および実際の用法・用量や安全性・有効性に関する情報を明らかにする。また「低用量ATGを用いた非血縁骨髄ミニ移植試験」と「GVHD発症患者における深在性真菌症発症予防試験」の多施設共同臨床試験プロトコールを行う。
結果と考察
MMF、FCNの使用状況全国調査の結果、血縁者間移植のみで300例以上と予想以上に多くの症例で適応外使用されていた。両薬剤とも有害事象は極めて軽微で、高い有効性と安全性が明らかになった。高齢者における臍帯血ミニ移植でMMFを併用することにより早期非再発死亡が減少し生着率が高くなることを明らかにした。また薬物動態検査も含めた臨床試験によりMMF 1日分3経口投与やDay 30以降のMMF継続・漸減の有用性を明らかにした。ATGと真菌症発症予防の多施設共同臨床試験プロトコールは現在、症例登録中である。また同種造血細胞移植患者においても厳格血糖管理により感染症やGVHDが減少することを明らかにし、栄養・血糖管理に関する前向き試験を3つ行っている。
造血幹細胞移植後のGVHDは人種による差があることが知られており、海外で標準的に用いられているMMF、ATGなどの薬剤も、日本人における有効性、安全性のエビデンスを確立することは重要である。
結論
GVHDや感染症などの治療関連合併症は、同種造血幹細胞移植成績の向上には克服すべき重要な課題である。海外では、ATG, MMF, FCN などの薬剤がGVHDや感染症に対する標準治療として広く用いられているが、我が国では対象患者が年間数千人と少ないため造血幹細胞移植領域での適応拡大が行われる見込みはない。そこで本研究では、これらの薬剤の適応外使用が増加している現状を全国調査により明らかにし、効能追加に直結する臨床研究により我が国独自のエビデンスを確立することにより適応拡大を目指す。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
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