がん対策の実施基盤及び推進体制に関する国際比較研究

文献情報

文献番号
200824026A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策の実施基盤及び推進体制に関する国際比較研究
課題番号
H18-がん臨床・若手-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
武村 真治(国立保健医療科学院 公衆衛生政策部 地域保健システム室)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 雅子(聖路加看護大学看護実践開発研究センター)
  • 廣岡 佳代(聖路加看護大学成人看護学 )
  • 寶珠山 務(産業医科大学産業生態科学研究所環境疫学研究室)
  • 成川  衛(北里大学薬学部臨床医学(医薬開発学))
  • 望月 友美子(国立がんセンター研究所たばこ政策研究プロジェクト)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
22,698,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん対策の実施基盤及び推進体制に関して、諸外国の実態を把握し、国際比較研究を実施し、わが国への適用可能性を分析することによって、効果的かつ効率的ながん対策のあり方を検討する。
研究方法
文献調査、現地訪問調査等を実施し、諸外国のがん対策の関連法規や関連計画、予防、早期発見、治療、緩和ケア、人材育成、研究開発等の施策・事業の内容、国と地方自治体の連携と役割分担等を把握した。今年度はオーストラリアを中心に調査を実施した。
結果と考察
1996年に策定されたオーストラリアの保健計画では、がんに関する目標として各種がんの発生率・死亡率の減少、子宮頸がん・乳がん検診の受診率の向上と質の保証が設定された。2005年に、慢性疾患全体の予防とケアの戦略の方向性を定めた「National Chronic Disease Strategy」と、疾患別の「National Service Improvement Framework」が策定された。これらは、計画や戦略を策定する際の基本的な方向性を示すもので、具体的な対策やサービスを規定するものではない。国、州・準州、地方自治体はこの方向性にしたがって、地域の実状に応じた実施計画や実施戦略を策定することが求められる。がんに関しては、リスクの減少、早期発見、治療期、治療期以降及び次の治療期までの期間、終末期の一連のケアの流れにおける19の基準と、全体に共通する基盤となる8の優先活動が設定されている。州レベルでは、7州・準州のうち2州でがん計画が策定されている。がん対策の実施体制として、非政府組織である「Cancer Council」が連邦・州レベルに設立され、研究助成、情報提供、患者支援、予防活動など、積極的な活動を実施している。また2006年に、連邦政府のagencyとして「Cancer Australia」が設立され、上述の枠組みに基づいてがんに関連するサービスやプログラムを実施している。
結論
オーストラリアから学ぶべき点として、地方自治体の先進的な取り組みによる知見を国の基本指針に活用することが挙げられた。国は都道府県の計画の進捗状況を詳細にモニタリングし、高い成果を上げた先進的な都道府県の状況を分析し、その知見を基本計画の改定や進捗が十分でない都道府県への支援に活用することによって、わが国全体のがん対策のレベルが向上することが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2009-03-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200824026B
報告書区分
総合
研究課題名
がん対策の実施基盤及び推進体制に関する国際比較研究
課題番号
H18-がん臨床・若手-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
武村 真治(国立保健医療科学院 公衆衛生政策部 地域保健システム室)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 雅子(聖路加看護大学看護実践開発研究センター)
  • 廣岡 佳代(聖路加看護大学成人看護学)
  • 寶珠山 務(産業医科大学産業生態科学研究所環境疫学研究室)
  • 成川  衛(北里大学薬学部臨床医学(医薬開発学))
  • 望月 友美子(国立がんセンター研究所たばこ政策研究プロジェクト)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん対策の実施基盤及び推進体制に関して、諸外国の実態を把握し、国際比較研究を実施し、わが国への適用可能性を分析することによって、効果的かつ効率的ながん対策のあり方を検討する。
研究方法
アメリカ、イギリス、オーストラリア等を中心に、文献調査、現地訪問調査等を実施し、諸外国のがん対策の関連法規や関連計画、予防、早期発見、治療、緩和ケア、人材育成、研究開発等の施策・事業の内容、国と地方自治体の連携と役割分担等を把握した。
結果と考察
イギリスでは、2000年にNHS Cancer Planが策定された。2005年の中間評価を受けて2007年12月に発表されたCancer Reform Strategyでは、予防、早期診断、治療、がんとの共存・がんの克服、不平等の縮小、最適な環境でのケアなどの重点領域が設定され、サービス、マンパワー、施設・設備の量の拡充と質の保証に加えて、効率的なサービス提供が強調されている。
アメリカでは、国のがん計画は策定されていないが、Healthy People 2010において、各種がんの死亡率、がん検診(子宮、乳、大腸)の受診率などの目標値が設定されている。州のがん計画としてComprehensive Cancer Control Planが策定され、リスクの減少、早期発見、よりよい治療、生存の促進、健康格差の是正を目指した取り組みが行われている。CDCは計画策定ガイドラインの開発、ウェブサイトの開設、研修等の支援活動を行っている。
オーストラリアでは、国の保健計画で各種がんの発生率・死亡率の減少、がん検診(子宮、乳)の受診率の向上と質の保証の目標が設定されている。2005年に、がんの予防とケアの戦略の基本的な方向性を定めたNational Service Improvement Framework for Cancerが策定され、リスクの減少、早期発見、治療期、治療期以降及び次の治療期までの期間、終末期の一連のケアの流れにおける19の基準と、全体に共通する基盤となる8の優先活動が設定された。州レベルでは、7州・準州のうち2州で計画が策定されている。
結論
わが国において国・都道府県のがん対策推進計画を効果的に推進するためには、イギリスのように、他の計画との整合性だけでなく、関係や位置づけを明確にすること、アメリカのように、国の機関が都道府県の実情に応じたきめ細かい技術的支援(ガイドラインの策定、研修の実施、情報提供など)を実施すること、オーストラリアのように、都道府県の先進的な取り組みによる知見を国の基本指針に活用すること、などが有用であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2009-03-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200824026C

成果

専門的・学術的観点からの成果
アメリカ、イギリス、オーストラリア等の諸外国のがん対策の実施基盤及び推進体制の実態(計画・システム、法的基盤、緩和ケア、人材育成(専門医、専門スタッフ)、職域・労働衛生、医薬品等の開発、高度先進医療、たばこ対策等)を表す詳細なデータベースが構築され、今後より詳細な国際比較研究を実施する上での基礎的知見を得ることができた。
臨床的観点からの成果
都道府県のがん対策の推進に向けた研修を企画し、そのカリキュラムとして、諸外国のがん対策の実施状況に関する講義、諸外国のがん計画の策定プロセスを参考にした計画策定・評価の演習などを実施することによって、地域のがん対策の関係者の能力・技術を向上させることができる。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
第2回がん対策推進協議会の資料として活用された(資料3「海外におけるがんに係る計画等について」の別添2「NHS Cancer Planの概要」:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/04/dl/s0417-3c.pdf)。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-