遠隔診断の技術を用いたがんの病理診断支援のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200824023A
報告書区分
総括
研究課題名
遠隔診断の技術を用いたがんの病理診断支援のあり方に関する研究
課題番号
H18-がん臨床・一般-024
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
松野 吉宏(北海道大学病院 病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 澤井 高志(岩手医科大学 医学部)
  • 飯嶋 達生(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター)
  • 真鍋 俊明(京都大学医学部附属病院 病理診断部)
  • 有廣 光司(広島大学病院 病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
12,076,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全国のがん患者それぞれに最適で質の高いがん医療を提供するためには、各診療施設の病理医を効率よく迅速に支援することにより、高い水準の病理診断を均てん化する必要がある。がん医療水準の均てん化の推進に資する遠隔病理診断、なかでもバーチャルスライド(VS)技術を用いた遠隔診断支援は、有効性が大いに期待されるところである。本研究は、VSの特性を生かした病理診断支援のあり方を検討することを目的とする。
研究方法
本年度は、講習会の開催や研究会の共催、アンケート調査等を通じて、がん診療の質的向上と均てん化の観点からVSをどのように役立てていくことができるか、施設や地域における取り組みの実例を集積し、発展性や問題点を検討してきた。あわせて、各自治体や各医療圏、地域などの枠組みの中で行われている病理診断体制の実情を勘案し、どのような病理診断支援拠点網を、どのような手順で構築し運用していくべきか検討してきた。
結果と考察
診断講習会や、地域における補助診断の集約化や精度管理に有効であることを示した。院内外のカンファレンスなど教育的価値に対する高い評価に比べ、地域などでの病理診断支援機器としての評価は定まっていないことが明らかになった。地域においてハードとしてのVSの特性を生かした診断支援網整備を実現し、これをがん診療均てん化を実現するツールとして根付かせるには、設備投資・運用経費、画像データ保管の場所や技術支援、病理診断分野での地域連携の素地を熟成することなど環境やソフト面での課題を解決する必要があると考えられた。VSは今後も導入が進められると予想されるが、今後、モデル地域での事業化を目指した運用方法の検討や、有効利用の事例をさらに進めるとともに、診断支援網の拡大を前提としたVS機器やデータ規格の標準化なども検討していく必要がある。

結論
極めて有望な技術であるVSを用いた病理診断支援網を構築し、有効に運用するためには、技術面の進歩に加えて地域や各施設での需要や実情にあわせた活用方法をさらに提示していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200824023B
報告書区分
総合
研究課題名
遠隔診断の技術を用いたがんの病理診断支援のあり方に関する研究
課題番号
H18-がん臨床・一般-024
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
松野 吉宏(北海道大学病院 病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 澤井 高志(岩手医科大学 医学部)
  • 野口 雅之(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 飯嶋 達生(茨城県立中央病院・地域がんセンター)
  • 真鍋 俊明(京都大学医学部附属病院 病理診断部)
  • 有廣 光司(広島大学病院 病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全国のがん患者それぞれに最適で質の高いがん医療を提供するためには、各診療施設の病理医を効率よく迅速に支援することにより、高い水準の病理診断を均てん化する必要がある。バーチャルスライド(VS)技術を用いた遠隔診断支援は、がん医療水準の均てん化の推進への有効性が大いに期待されるところである。本研究は、VSの特性を生かした病理診断支援のあり方を多角的に検討することを目的とする。
研究方法
がん診療の質的向上と均てん化の観点からVSをどのように役立てていくことができるか、施設や地域における取り組みの実例を集積し、発展性や問題点を検討してきた。あわせて、各自治体や各医療圏、地域などの枠組みの中で行われている病理診断体制の実情を勘案し、どのような病理診断支援拠点網を、どのような手順で構築し運用していくべきか検討してきた。
結果と考察
有効なVS活用法として1)施設を越える術中迅速診断や診断コンサルテーションの推進、2)多施設共同臨床研究等における病理中央診断の効率化、3)病理診断精度の検証や研究の効率化、4)がん取扱い規約など標準的な病理診断基準の効果的な提示による普及、5)自施設内や地域勉強会等における病理画像共有による相互研修推進、6)患者・家族への説明資料として供覧、などが挙げられた。地域においてハードとしてのVSの特性を生かした診断支援網整備を実現し根付かせるには、設備投資・運用経費、画像データ保管の場所や技術支援、病理診断分野での地域連携の素地を熟成することなど環境やソフト面での課題を解決する必要があると考えられた。VSは今後も導入が進められると予想されるが、今後、モデル地域での事業化を目指した運用方法の検討や、有効利用の事例をさらに進めるとともに、診断支援網の拡大を前提としたVS機器やデータ規格の標準化なども検討していく必要がある。
結論
極めて有望な技術であるVSを用いた病理診断支援網を構築し、有効に運用するためには、技術面の進歩に加えて地域や各施設での需要や実情にあわせた活用方法をさらに提示していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200824023C

成果

専門的・学術的観点からの成果
バーチャルスライド装置を有効に活用するための方策、事例を集積し、問題点を洗い出すことができた。各医療機関における運用、記憶媒体や機器自体の操作性、回線環境などの問題点が明らかになった。
臨床的観点からの成果
本研究の性格上、臨床的アウトカムを評価することにはなじまない。ただし、バーチャルスライドを用いて病理診断業務の外部精度管理や、難解症例のコンサルテーション等が効率よく実施できるようになると、間接的にがん診療水準の向上が期待できる。
ガイドライン等の開発
現時点ではガイドライン等の開発は行っていない。
その他行政的観点からの成果
班研究を通じ、がん診療連携拠点病院の病理責任者への情報提供や議論を行ってきたことから、各地域や機関の実情にあわせたバーチャルスライドの導入や有効利用が促進され、やがてがんの病理診断水準の均てん化の核となるものと考えられる。厚労省ががん診療連携拠点病院に対して行うバーチャルスライド導入補助事業の理解と浸透に一定の役割を果たしている。
その他のインパクト
日本病理学会、日本臨床細胞学会においても注目度は高い。また日本テレパソロジー・バーチャルマイクロスコピー研究会等の関連学会と歩調を合わせて研究を遂行した。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
11件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
13件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
松野吉宏
バーチャルスライドの応用ー厚労省が目指すもの
Medical Technology , 36 (8) , 801-803  (2008)
原著論文2
松野吉宏
コンサルテーションと病理中央診断
病理と臨床 , 27 , 56-63  (2009)
原著論文3
澤井高志
バーチャルスライド特集にあたって
Medical Technology , 36 (8) , 792-795  (2008)
原著論文4
宇月美和、澤井高志
現状におけるバーチャルスライドの問題点と今後の開発
Medical Technology , 36 (8) , 835-838  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-