相談内容の分析等を踏まえた相談支援センターのあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200824021A
報告書区分
総括
研究課題名
相談内容の分析等を踏まえた相談支援センターのあり方に関する研究
課題番号
H18-がん臨床・一般-022
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
雨宮 隆太(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 睦弓(静岡県立静岡がんセンター研究所)
  • 谷水 正人(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター)
  • 若尾 文彦(国立がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,214,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
患者・家族からの相談に適切に対処するために、患者・家族がどの様な相談支援を欲しているのかを把握し、適切な対応法を構築すること、次にがん診療連携拠点病院に於ける相談支援業務の均てん化、がん診療連携拠点病院・相談支援センターの機能を充実させるための方策を考案すること。
研究方法
相談内容の検討、拠点病院の機能比較、データベース作成の取り組み、相談業務効率化に向けたツールの作成に関して検討した。
結果と考察
拠点病院の機能には施設間でかなりの差があること、相談内容の分析からは情報提供の占める割合が高いことが判明した。情報収集では自院、地域医療機関の医療情報を掲載したハンドブックをツールとして利用できるような体制を構築することが均てん化に寄与すると思われる。情報提供以外の相談では地域がん診療医療機関との連携と相談員の研修が対応の質を向上するために必要となる。相談に対する対応を均てん化し、相談支援センターの機能を向上させる上で相談内容のデータベース化は必須であり、全国的にある程度統一した内容にする必要がある。相談支援得センターは地域のかかりつけ医とがん専門医療機関、緩和ケアを提供する施設の間で調整する役割を担うべき組織となる必要がある。
結論
相談内容の分析から相談業務の大部分は情報提供であり、マニュアルの整備等で均てん化しやすいという側面があることも判明した。情報提供以外の面では病院内・地域医療機関との連携が重要であり、相談員の質の向上には研修が重要となる。相談支援センターの機能の均てん化には、情報収集すべき内容や相談に対する対応や相談員の研修方法・内容等を含めた相談支援に於けるマニュアルを作ることが今後の課題としてあげられる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200824021B
報告書区分
総合
研究課題名
相談内容の分析等を踏まえた相談支援センターのあり方に関する研究
課題番号
H18-がん臨床・一般-022
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
雨宮 隆太(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 睦弓(静岡県立静岡がんセンター研究所)
  • 水谷 正人(独立行政法人国立病院機構四国がんセンター)
  • 若尾 文彦(国立がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
相談内容の集積・分析を行い、次にその結果を相談業務向上に役立てるための方法を模索し、さらには相談業務の均てん化を達成するための方法を画策すること。
研究方法
全国のがん診療連携拠点病院353施設に於ける相談事例6372件を収集し、相談内容ならびにどの様な対応を行ったかを分析した。さらに相談支援センターの機能の一つである患者・家族・地域住民に対応する、患者の視点にたった情報提供のあり方、相談員が利用可能な情報提供ツールの開発を検討した。また、茨城県版相談支援センターQ&Aハンドブックに対する評価を拾い上げ、理想的なハンドブックにするための掲載内容を検討した。
結果と考察
相談内容の分析から相談に対する対応として情報提供の占める割合が高いこと、地域医療機関や自院各部署間の連携業務の重要性、さらに相談者の病期や治療に関する理解度を把握し、情緒的反応にも配慮した情報提供が必要であることが判明した。相談センターの機能面での現状把握ではがん専門病院、大学病院、一般総合病院に於ける人員や体制にかなりの相違があることが判明した。相談内容の把握を基に相談業務の全国的な均てん化を進める上で相談内容をデータベース化が有用であることが示され、市販データベースソフトの活用やウェブ上でのデータベース作成が行われ、運用が開始されている。また、相談支援センターの人員・体制の差を克服し、業務を均てん化するには比較的スタッフの充実している都道府県拠点病院を中心とした連携、がんセンターも含めた全国的な連携が重要である。茨城では地域の拠点病院さらにはがん診療を担っている地域の中核病院の情報を集めたハンドブックの作成利用されている。この様なハンドブックが相談業務の均てん化の一方策になると思われた。
結論
今後、全国的に相談業務の均てん化を図る上ではがん相談支援を行っていくための指針としてガイドラインの作成が必要になるのではないかと思われた。厚生労働省の示すがん診療に於ける医療連携をかかりつけ医が継続的な管理指導を行い、専門的ながん治療を行う医療機関と緩和ケアを行う医療機関を利用してがん患者の在宅での療養をサポートするイメージとして表現されている。患者の視点に立ち「調整する組織」があらゆる場面で必要となるが、この「調整する組織」はまさに相談支援センターの役割になるべきである。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200824021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
相談内容の分析から相談に対する対応として情報提供の占める割合が高いこと、地域医療機関や自院各部署間の連携業務の重要性、さらに相談者の病期や治療に関する理解度を把握し、情緒的反応にも配慮した情報提供が必要であることが判明した。
臨床的観点からの成果
相談支援センターの機能面に於いては、がん専門病院、大学病院、一般総合病院に於ける人員や体制にかなりの相違があることが判明した。相談内容の把握を基に相談業務の全国的な均てん化を進める上で相談内容をデータベース化が有用であることが示され、市販データベースソフトの活用やウェブ上でのデータベース作成が行われ、運用が開始されている。
ガイドライン等の開発
相談支援センターの機能面での相違を補い、全国的に均てん化した相談支援センターを運営していく上ではガイドラインの策定がひとつの解決手段となることが判明した。茨城では地域の拠点病院さらにはがん診療を担っている地域の中核病院の情報を集めたハンドブックの作成利用されている。この様なハンドブックが相談業務の均てん化の一方策になると思われた。
その他行政的観点からの成果
今後、相談支援センターの機能の均てん化や質の向上を図る上で、各都道府県に於ける地域がん診療連携拠点病院間の連携、さらには都道府県がん診療連携拠点病院による全国的な連携が必要であることが周知された。
その他のインパクト
各種がん診療体制をやさしく説明したパンフレットの作成は、患者さんやご家族のがんに対する理解を深める上で有用であった。

発表件数

原著論文(和文)
24件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
雨宮隆太、立花不二夫、富田順子、他
総合病院に指定された地域がん診療連携拠点病院の相談支援センターの現状
茨城県立病院医学雑誌 , 25 , 67-75  (2007)
原著論文2
Norihiro Teramoto, Masahito Tanimizu, and Rieko Nishimura
Present situation of pTNM classification in Japan: Questionnaire survey of the pathologists of Gan-shinryo-renkei-kyoten Byoin (local core cancer hospitals) on pTNM classification
Pathology International , 59 , 167-174  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-