緩和ケアのガイドライン作成に関するシステム構築に関する研究

文献情報

文献番号
200824020A
報告書区分
総括
研究課題名
緩和ケアのガイドライン作成に関するシステム構築に関する研究
課題番号
H18-がん臨床・一般-021
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
下山 直人(国立がんセンター中央病院 手術・緩和医療部)
研究分担者(所属機関)
  • 的場 元弘(国立がんセンター中央病院 手術・緩和医療部 緩和医療科)
  • 佐伯 俊成(広島大学病院 総合診療科)
  • 辻 哲也(慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和支持治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
17,712,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成19年度の緩和ケア(医療)のグランドデザイン班で策定した達成目標にそって、がん患者の症状緩和法の基準となるエビデンスに基づく疼痛ガイドライン作成を継続して行い、最終年度として小児がん性疼痛ガイドライン(小児がん専門家向け)、神経ブロックガイドライン(ペインクリニックの専門家向け)、がん患者の精神症状緩和ガイドライン(一般向け)、がん患者へのリハビリテーションガイドライン(専門家向け)のまとめを行い、完成させる。また、平成19年度に作成されたオピオイド関連のガイドラインの緩和ケア関連施設への普及に関する研究、がん患者への輸液の適応に関する研究を継続して行った。
研究方法
それぞれのガイドラインは、ガイドライン作成の手順を踏んで、臨床におけるクリニカルクエスチョンに基づき文献検索を行い、エビデンスレベルに基づく推奨レベルを作成した。ガイドラインの作成にあたっては、専門家向け、一般医師向け、一般人向けのガイドラインを意識して作成し、今後の展開として緩和ケア関連施設における医療者向け(一般病院緩和ケアチーム、ホスピス緩和ケア病棟、在宅医療)、卒前教育における教育コンテンツ作成などにつながることを意図して作成した。これまでにガイドラインが作成されているがん疼痛ガイドライン(オピオイド関連)など、すでに刊行されている物に関しては、ガイドライン作成システムを開発していくことを目標とし、新しい薬剤の出現、鎮痛法の開発などによって新しいエビデンスが発生する場合、レベルが向上する場合になどに応じて、それを早急に取り入れるシステム作りに関するつながるべく、ガイドラインの更新も行った。
結果と考察
以上に基づいてそれぞれのガイドラインを作成した。その結果、1.今回の研究がまだ普及していない領域でのガイドライン作成にあたって貢献できたこと、2.緩和ケア関連施設において提供できる緩和医療を視野に入れたガイドラインの作成が可能になったこと、3.利用対象によるガイドラインの表現法、ニーズの違いを考慮したガイドラインの作成、教育コンテンツとして使用し、その教育によって受講者の知識の向上、自身の向上につながるようになった点は非常に有益であったと考える。
結論
がん疼痛治療関連のガイドライン作成システムの構築、がん疼痛治療が未熟な領域でのガイドラインの作成を行うことは有用であった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200824020B
報告書区分
総合
研究課題名
緩和ケアのガイドライン作成に関するシステム構築に関する研究
課題番号
H18-がん臨床・一般-021
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
下山 直人(国立がんセンター中央病院 手術・緩和医療部)
研究分担者(所属機関)
  • 的場 元弘(国立がんセンター中央病院 手術・緩和医療部 緩和医療科)
  • 佐伯 俊成(広島大学病院 総合診療科)
  • 辻 哲也(慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和支持治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.日本の緩和ケア(医療)のグランドデザインを作成し、そのもとに今後の緩和ケア関連学会での活動指針、連携にむけての礎を築くこと
2.その中で示された正しい知識の普及のもととなるエビデンスの集積、評価を行い、エビデンスレベルを高めるための研究指針も含めたガイドラインの作成を行うことが目的である。
研究方法
平成18年度は、緩和ケアのグランドデザインを作成するために、日本における緩和ケアに関する知識、教育についての研究報告、欧米の緩和ケア関連施設の調査、比較を行った。それを元に緩和ケア関連の学会の代表を集め、日本の緩和ケアの将来あるべき姿についての活動目標を設定した。
平成19年度は、そのグランドデザインにもとに、がん患者の症状緩和法の基準となるエビデンスに基づく疼痛ガイドライン作成を開始した。オピオイドに関するガイドラインを作成、また一般向けの鎮痛補助薬療法ガイドライン、専門家向けのがん性疼痛に対する放射線療法ガイドラインを作成した。
平成20年度は、小児がん性疼痛治療ガイドライン、ペインクリニックガイドラインを主として作成した。
結果と考察
ガイドライン作成手順は、臨床におけるクリニカルクエスチョンに基づき文献検索を行い、エビデンスレベルに基づく推奨レベルを作成した。本研究ののガイドラインの作成にあたっては、専門家向け、一般医師向け、一般人向けを意識して作成しており、緩和ケア関連施設における医療者向け(一般病院緩和ケアチーム、ホスピス緩和ケア病棟、在宅医療)、卒前教育における教育コンテンツ作成などにつながることを意図して作成している。今回分担としてガイドライン作成を行った領域は、緩和ケアに関する意識が低く、エビデンスレベルの高い物が少ない領域である。1.今回の研究がまだ普及していない領域でのガイドライン作成にあたって貢献できたこと、2.緩和ケア関連施設において提供できる緩和医療を視野に入れたガイドラインの作成が可能になったこと、3.利用対象によるガイドラインの表現法、ニーズの違いを考慮したガイドラインの作成、教育コンテンツとして使用し、その教育によって受講者の知識の向上、自信の向上につながるようになった点は非常に有益であったと考えられる。
結論
がん疼痛治療関連のガイドライン作成システムの構築、がん疼痛治療が未熟な領域でのガイドラインの作成を行うことは有用であった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200824020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
緩和ケアにおけるがん疼痛治療ガイドラインシステム構築の研究を行ったことにより、
1.緩和ケアの普及が遅れている小児科領域などでのガイドライン作成に貢献できたこと、2.施設や緩和ケア施行形態(チーム、病棟、在宅)の違いに基づく、ニーズの違いを考慮したガイドライン作成を視野にいれたこと、3.痛み治療の専門家向け、非専門家むけを分けたこと、4.科学的な根拠が足りない領域に対して、臨床試験のみならず、基礎研究の推進によってエビデンスレベルを高めることに貢献できたことは成果と考えることができる。
臨床的観点からの成果
緩和ケア領域でのがん患者の症状緩和法は、エビデンスレベルの高いものがほとんどないが、
現状での指針は発信する必要がある。それによって全国のがん性疼痛患者の救済が可能となる。その中でガイドラインの作成によって、オピオイドなどの標準的治療法になりうるもの、鎮痛補助薬などエビデンスレベルが低い方法を明確にし、最低限の痛み治療法を普及させるだけでなく、足りない所に対して臨床試験、基礎研究を刺激することが可能となった点が有用である。
ガイドライン等の開発
がん疼痛治療を行う施設、職種、緩和ケア施行形態は種々であるが、そこで緩和ケアを必要としている患者のニーズは異なり、また提供する施設での緩和ケアの特色も異なることが多い。またそこで緩和ケアを担当する医療者の専門性も、提供する緩和ケアに影響を与える可能性が高い。今回、それらを考慮して、痛みの専門家でない医療者向け、専門家として関わる医療者向けのガイドラインを作成するシステムを作ったことは意義があると考える。
その他行政的観点からの成果
行政的に最も大きな貢献をした点は、平成18年度に緩和ケアのグランドデザインを作成するために、日本における緩和ケアに関する知識、教育についての研究報告、欧米の緩和ケア関連施設の調査、比較を行ったことであり、それを元に緩和ケア関連の学会の代表を集め、日本の緩和ケアの将来あるべき姿についての活動目標を設定したことである。厚労省が進めている
緩和ケア研修はこの指針に基づいて行われており、その行動目標は順調に達成されつつある。
その他のインパクト
厚労省委託で行われている日本緩和医療学会主催の講習会の開催、日本緩和医療学会の行動目標の設定のなかにも本研究の結果が反映されており、日本の緩和医療の指針を作った役割は大きいと考える。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
116件
その他論文(英文等)
65件
学会発表(国内学会)
193件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
厚生労働省委託の日本緩和医療学会主催PEACEプロジェクト等

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-