文献情報
文献番号
200824019A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者の医療機関受診に関する動態調査
課題番号
H18-がん臨床・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
津熊 秀明(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター 調査部)
研究分担者(所属機関)
- 西野 善一(宮城県立がんセンター研究所疫学部・がん疫学)
- 柴田 亜希子(山形県立がん・生活習慣病センター)
- 内藤 みち子(新潟県立がんセンター新潟県がん登録室)
- 藤田 学(福井社会保険病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,566,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
地域がん登録資料に基づき、地域におけるがん患者の受療動態を明らかにすること、また、患者受療動態と生存率との関連についても分析し、がん医療水準の均てん化推進の基礎資料とすることが本研究の課題である。本年度は、3年間の研究結果を統合することにより、がん医療水準の均てん化推進の方向性とそれを実現した場合の成果を提示する。
研究方法
1)7府県において13部位毎に施設別治療件数を数え、既指定のがん診療連携拠点病院や大学病院の位置づけを分析した。2)5府県資料に基づき、がん診療連携拠点病院で主治療を実施した患者の5年相対生存率と、地域全体の値とを比較した。また、拠点病院によるカバー率と拠点と地域との生存率格差との関連を分析した。3)施設別治療件数と5年相対生存率との関連を、5府県で調べ、府県間での異同を分析した。4)上記をもとに、生存率が低いカテゴリーの施設で治療を受けた患者が、全て生存率の高いカテゴリーの施設で治療を受けたと仮定し、がん患者の5年相対生存率の向上度と死亡数の減少度を、府県毎・部位毎に試算した。
結果と考察
1)人口が多く、がん治療医療機関の比較的多い府県では、拠点病院や大学病院以外にも、既指定の拠点病院と同等か、もしくはそれ以上の寄与度を有する施設が相当数あることが判明した。2)がん診療連携拠点病院で主治療を実施した患者の5年相対生存率が、地域全体の値より概して高かった。拠点病院によるカバー率と拠点と地域との生存率格差とには負の相関があり、胃、大腸、乳房では少なくとも40%程度、肝、肺では60%程度のカバー率を有していることが、拠点と地域の格差縮小の条件になっている可能性が示唆された。3)部位・地域により差があるが、概して治療件数の少ない施設で治療を実施した患者の生存率が低い傾向にあった。4)大阪では、卵巣がん、悪性リンパ腫、福井、山形では前立腺がん、長崎では肝がんの生存率がいずれも10ポイント以上向上すると推測された。全がんでの死亡数の減少度は、大阪が最も大きく、新潟が最も小さかった。
結論
1)既指定の拠点・大学以外にも、寄与度の大きい病院相当数存在する。2)拠点病院の寄与度が一定以上であることが府県全体の生存率向上(均てん化)の条件になっている可能性が示唆される。3)均てん化を達成する上で、がん医療の集中化と連携が重要であるが、これによる死亡減少度は、府県・がん種により異なる。
公開日・更新日
公開日
2009-04-16
更新日
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