HER2過剰発現を有する乳がんに対する術前Trastuzumab化学療法のランダム化第Ⅱ相比較試験

文献情報

文献番号
200824007A
報告書区分
総括
研究課題名
HER2過剰発現を有する乳がんに対する術前Trastuzumab化学療法のランダム化第Ⅱ相比較試験
課題番号
H18-がん臨床・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
安藤 正志(国立がんセンター中央病院 臨床試験・治療開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 正弘(北里大学大学院 薬学部)
  • 青儀 健二郎(独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター)
  • 井野 裕代(神奈川県立がんセンター)
  • 岩田 広治(愛知県がんセンター中央病院 乳腺科部)
  • 徳田 裕(東海大学医学部外科学系 乳腺・内分泌外科)
  • 中村 清吾(聖路加国際病院 乳腺外科)
  • 増田 慎三(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター)
  • 山本 尚人(千葉県がんセンター 乳腺外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
80,510,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
手術可能なHER2過剰発現乳癌の術前化学療法(臨床病期II-IIIA)においてより有効性の高いレジメンを検索することで乳房温存率の向上、および無増悪生存期間の延長をはかることを目的とした術前化学療法の臨床試験を実施した。
研究方法
試験デザインは、アンスラサイクリン(Anth)系薬剤に引き続いて、HER2蛋白に対するモノクロナール抗体であるトラスツズマブ(Tmab)併用下で、パクリタキセル(PTX)週1回投与、ドセタキセル(DTX)3週1回投与の病理学的完全寛解(pCR)率を比較する第II相ランダム化試験である。試験の目的は、HER2過剰発現乳癌に対するシクロフォスファミド/エピルビシン/5-フルオロウラシル併用療法(CEF)に引き続く、化学療法/Tmab併用の術前治療において、PTX週1回投与とDTX3週1回投与のpCR率を比較し、pCR率のより高い治療レジメンを検索することである。
術前に以下の2群のいずれかにランダム化割付。
(1) シクロフォスファミド500 mg/m2/エピルビシン100 mg/m2/5-フルオロウラシル500 mg/m2併用療法(3週1回) x 4→PTX80 mg/m2週1回 x 12+ Tmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 4
(2) CEF療法((1)と同じ) x 4→DTX 75 mg/m23週1回 x 4+ Tmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 4
いずれの治療群も術後にTmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 14施行。
術後に適応がある場合は、放射線治療あるいは内分泌療法を行う。
3) 予定登録症例数および試験期間予定症例
結果と考察
100例(各群50例)、症例集積期間2年、観察期間1年、総試験期間3年。
平成19年3月に登録を開始し、平成20年6月に102例の登録を行い、試験への登録を終了した。登録された102例中14例は治療を中止。術前化学療法を受けた88例は手術を受けた。うち87例が中央病理診断を施行し、pCR率は、それぞれ、PTX群(42例中原発巣pCR13例、およびDCIS 11例) 57.1%、およびDTX群(45例中原発巣pCR6例、およびDCIS 14例) 44.4%であった。両治療群のpCR率に有意な差は認められなかった。
結論
HER2過剰発現の乳癌縦術前化学療法において、Anth系薬剤に引き続いて、タキサン/Tmab併用療法を実施することにより、pCR率の高い良好な治療成績が得られた。

公開日・更新日

公開日
2009-03-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200824007B
報告書区分
総合
研究課題名
HER2過剰発現を有する乳がんに対する術前Trastuzumab化学療法のランダム化第Ⅱ相比較試験
課題番号
H18-がん臨床・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
安藤 正志(国立がんセンター中央病院 臨床試験・治療開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 正弘(北里大学大学院 薬学部)
  • 青儀 健二郎(独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター)
  • 井野 裕代 (神奈川県立がんセンター)
  • 岩田 広治(愛知県がんセンター中央病院)
  • 徳田 裕(東海大学医学部外科学系 乳腺・内分泌系外科)
  • 中村 清吾(聖路加国際病院 乳腺外科)
  • 増田 慎三(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター)
  • 山本 尚人(千葉県がんセンター 乳腺外科)
  • 稲葉 將陽(神奈川県立がんセンター)
  • 麻賀 太郎(神奈川県立がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
手術可能なHER2過剰発現乳癌の術前化学療法(臨床病期II-IIIA)においてより有効性の高いレジメンを検索することで乳房温存率の向上、および無増悪生存期間の延長をはかることを目的とした術前化学療法の臨床試験を実施した。
研究方法
試験デザインは、アンスラサイクリン(Anth)系薬剤に引き続いて、HER2蛋白に対するモノクロナール抗体であるトラスツズマブ(Tmab)併用下で、パクリタキセル(PTX)週1回投与、ドセタキセル(DTX)3週1回投与の病理学的完全寛解(pCR)率を比較する第II相ランダム化試験である。試験の目的は、HER2過剰発現乳癌に対するシクロフォスファミド/エピルビシン/5-フルオロウラシル併用療法(CEF)に引き続く、化学療法/Tmab併用の術前治療において、PTX週1回投与とDTX3週1回投与のpCR率を比較し、pCR率のより高い治療レジメンを検索することである。
術前に以下の2群のいずれかにランダム化割付。
(1) シクロフォスファミド500 mg/m2/エピルビシン100 mg/m2/5-フルオロウラシル500 mg/m2併用療法(3週1回) x 4→PTX80 mg/m2週1回 x 12+ Tmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 4
(2) CEF療法((1)と同じ) x 4→DTX 75 mg/m23週1回 x 4+ Tmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 4
いずれの治療群も術後にTmab 8→6 mg/kg/3週1回 x 14施行。
術後に適応がある場合は、放射線治療あるいは内分泌療法を行う。
3) 予定登録症例数および試験期間予定症例数:
100例(各群50例)、症例集積期間2年、観察期間1年、総試験期間3年。
結果と考察
平成19年3月に登録を開始し、平成20年6月に102例の登録を行い、試験への登録を終了した。登録された102例中14例は治療を中止。術前化学療法を受けた88例は手術を受けた。うち87例が中央病理診断を施行し、pCR率は、それぞれ、PTX群(42例中原発巣pCR13例、およびDCIS 11例) 57.1%、およびDTX群(45例中原発巣pCR6例、およびDCIS 14例) 44.4%であった。両治療群のpCR率に有意な差は認められなかった。
結論
HER2過剰発現の乳癌縦術前化学療法において、Anth系薬剤に引き続いて、タキサン/Tmab併用療法を実施することにより、pCR率の高い良好な治療成績が得られた。

公開日・更新日

公開日
2009-03-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200824007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
乳癌術前化学療法に関する医師主導型治験を8施設が参加する多施設共同試験として実施した。平成19年3月27日に登録を開始し、平成20年6月12日に102例の登録を行い、試験への登録を終了した。その後、経過観察を行い、平成21年3月に治験を終了した。試験の実施に伴い、治験調整に関わる業務が膨大となり、今後治験の質を保持しつつ、治験調整に関わる業務を簡素化する方策(セントラル・モニタリング方式の導入など)を検討して行く必要があると考えられた。
臨床的観点からの成果
予後不良なHER2過剰発現の乳癌術前化学療法(臨床病期II-IIIA)において治療効果の向上を目指し、アンスラサイクリン系薬剤併用化学療法に引き続いてトラスツズマブと併用下で、パクリタキセル週1回投与(PTX群)とドセタキセル3週1回投与(DTX群)をランダム化割付し、病理学的完全奏効(pCR)率を比較する第II相試験を実施した。pCR率は、それぞれ、PTX群42例中57.1%、およびDTX群45例中44.4%であり、pCR率の高い良好な治療成績が得られた。
ガイドライン等の開発
該当事項なし。
その他行政的観点からの成果
本研究による治験成績は、今後、治験薬提供者により、HER2過剰発現乳癌に対するトラスツズマブの効能・効果の追加申請が規制当局へ行われる予定である。
その他のインパクト
該当事項なし。

発表件数

原著論文(和文)
9件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
25件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-