患者・家族・国民の視点に立った適切ながん情報提供サービスのあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200823049A
報告書区分
総括
研究課題名
患者・家族・国民の視点に立った適切ながん情報提供サービスのあり方に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-035
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
高山 智子(国立がんセンター がん対策情報センター がん情報・統計部)
研究分担者(所属機関)
  • 石川睦弓(静岡県立静岡がんセンター研究所 患者・家族支援研究部)
  • 清水秀昭(栃木県立がんセンター・外科)
  • 高橋都(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻老年社会科学分野)
  • 松島英介(東京医科歯科大学大学院 心療・緩和医療学分野)
  • 中山和弘(聖路加看護大学看護部)
  • 福田敬(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学分野)
  • 緒方裕光(国立保健医療科学院 研究情報センター 情報評価室)
  • 関由起子(埼玉大学教育学部 学校保健学講座)
  • 渡邉眞理(神奈川県立がんセンター・医療相談室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
26,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、患者・家族・一般市民が求めるがん情報について把握し、情報格差の拡大が起きないよう留意した上で、個々人がアクセスしやすい情報提供方法について検討すること、またそのための体制基盤について検討することである。
研究方法
平成20年度は、がん情報の作成、提供、普及までの段階に沿って、1. がん情報提供における患者・家族・国民の視点に関する研究、2. がん情報についての患者、家族、国民のニーズ、3. がん治療を受ける親とその子どもが経験する困難と支援ニーズに関する研究、4. 日本版Fact Sheet作成のためのがん情報基礎データベースの構築方法に関する検討、5. Web2.0型Q&Aサイトの質問事例を活用したWeb上のがん情報の活用と治療法の意思決定の支援のための事例集作成の試み、6. がん医療情報の提供とその評価方法に関する検討、7. がん電話相談の有効性と情報ニーズに関する研究、8. がん患者のニーズに即した電話相談のあり方、9. がん診療情報と医療経済に関する研究、10. がん医療情報のがん診療連携拠点病院体制を踏まえた普及に関する検討、11. 一般国民を対象にした効果的ながんの情報提供方法に関する検討:4地区住民調査、12. 同:健康情報を探す際に混乱しやすい対象および健康情報が届きにくい対象の理解とアプローチ方法の検討、13. がんに対する怖さの実態に関する分析、の13テーマについて検討を行った。
結果と考察
がんの情報の受け手の正確な理解のためには、ある程度の医学的知識や科学や研究に関する認識が必要であり、わかりやすく伝える専門家でない医療専門家による説明が十分でないことが、受け手(利用者)の情報に関する混乱を引き起こしている可能性が示された。その架け橋としてがんの相談員が期待されており、そのための教育や財政基盤を含めた体制の構築が必要であることが示された。また一般市民に対して情報提供する際には、地域の特性に合わせて、個人や地域のネットワークをうまり利用することが、情報が届きにくい人たちへ効果的に伝えていくことにつながると考えられた。
結論
専門家から発信される情報の集約を進めるとともに、送り手(医療専門家)と受け手(利用者)の架け橋となるがんの相談員の教育や財政基盤を含めた体制構築のための検討、さらに、必要とされる資源や支援の開発につながるよう検討も併せて行っていくことが必要である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
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