QOLの向上をめざしたがん治療法の開発研究

文献情報

文献番号
200823044A
報告書区分
総括
研究課題名
QOLの向上をめざしたがん治療法の開発研究
課題番号
H19-3次がん・一般-030
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
江角 浩安(国立がんセンター東病院)
研究分担者(所属機関)
  • 林 隆一(国立がんセンター東病院)
  • 井本 滋(杏林大学医学部)
  • 名川 弘一(東京大学医学部付属病院)
  • 齋藤 典男(国立がんセンター東病院)
  • 内田 淳正(三重大学医学部)
  • 佐々木 寛(東京慈恵会医科大学付属柏病院)
  • 萩原 明郎(同志社大学生命医科学部)
  • 荒井 保明(国立がんセンター中央病院)
  • 土岐 祐一郎(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 古瀬 純司(杏林大学医学部)
  • 武藤 学(京都大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
97,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん患者のQOLの向上をめざした様々な治療法を開発しようとするものであるが、これらの治療法の開発・改良によって、がん患者のQOLの向上を実現すると共に、創造的な医療技術の開発を通じて、医学的、社会的貢献をも果たすことが目的である。
研究方法
研究の方向性は以下の三点に大別される。一つは、切除可能例に対して根治性を犠牲にせずに機能温存、臓器温存を可能とする新たな治療法の開発であり、二つ目は、がんの治療あるいは浸潤に伴って損なわれる患者のQOLの回復を可能とする治療法の開発である。さらに三つ目は、がんの診療に伴って損なわれるQOLの傷害を出来るだけ最小にする診療法の開発である。
結果と考察
咽頭部での初期頭頚部がんの概念を作り、機能温存手術の有効性と安全性を確認した。食道癌の術前化学放射線療法感受性を、発現解析で80%の確率で予測する方法を開発した。難治性食道狭窄の内視鏡的放射状切開剥離術を開発した。磁性体温熱療法を併用した低侵襲骨転移患者がん治療法を開発した。子宮頸癌手術に伴う下肢リンパ浮腫予防手術法を検証中である。羊膜の抗瘢痕性と再生促進効果を用いて腹膜欠損を補う方法を開発した。乳管内進展を伴わない乳癌のラジオ波焼灼治療の有効性と限界を検証中である。骨盤内臓器全摘術の対象となる症例に膀胱と肛門括約筋の温存江おめざ下手術法を開発した。がんの微小環境に特異性が生薬を見出し、ゲムシタビンとの併用の有効性を動物で確認し、前臨床試験をほぼ終えた。IVR治療評価のため、多施設共同研究組織を運営し、①経皮的椎体形成術についての第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験、を行い有効性を示し承認の道を開いた。消化管通過障害などの緩和医療の新技術の有効性と安全性を確認し、緩和医療技術の確立を行った。
結論
がん患者の改善すべきQOLの低下は個別的なものである。病変の部位、程度、特徴により病変そのものによるQOLの低下も、治療に伴う解剖学的喪失或いは機能的喪失は異なる。苦痛を伴わない方法で、何の機能も失うことなく治癒する病気であればこの研究分野は本来不必要である。QOL向上なるものの一般解を求める事は難しい。本研究班では、極めて広い意味での緩和医療の技術を色々と適用可能にすることが目的の一つであると考えている。別の言い方をすれば、治療法を緩和医療の観点から作り直す作業であると言える。

公開日・更新日

公開日
2009-04-01
更新日
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