早期胃がん内視鏡切除用磁気アンカー機器装置の臨床標準化装置の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200823041A
報告書区分
総括
研究課題名
早期胃がん内視鏡切除用磁気アンカー機器装置の臨床標準化装置の開発に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-027
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小林 寿光(国立がんセンター がん予防・検診研究センター 検診研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 石山 和志(東北大学 電気通信研究所)
  • 佐野 浩(HOYA株式会社 PENTAXライフケア事業部)
  • 玉川 克紀(株式会社玉川製作所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
18,744,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 早期胃がんの内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)において、病変を微細鉗子で把持し、体外から印加した磁気により固定、牽引して手術を補助する、磁気誘導微細鉗子機器装置(磁気アンカー機器装置)が、臨床の現場で標準的に使用できるよう開発を行う。
研究方法
 これまでに危険物の磁気による飛び込みを防止する遮蔽等の機構を種々考案し、磁界発生部周囲の磁場強度を測定すると共に実際に実験を行なうことで、遮蔽装置を製作して動作検証で効果を示した。
 新規の概念である本装置は薬事承認が難しいと考えられたが、高度医療評価制度が施行され、同制度下に本装置を早期臨床導入することが望ましいと考えられる。そこで同制度を前提とした機器装置の研究開発を鋭意促進する。
 本年度の主たる開発は、通常の内視鏡室に常設できる軽量化と、通常の電源で使用可能な低消費電力化である。また、関与する要素技術の開発も行う。
 開発の成果を取り入れた新たな機器装置を製作し、動物実験にて検証を行う。担当する医師に関しては、利益相反に配慮して開発に関与していない他施設に協力を求める。
結果と考察
 重量はこれまでの1110kgから、磁気アンカー駆動装置で260kg、磁気対応検査台で90kg減量し、合計重量を一般的な内視鏡室に常設できる760kgとした。消費電力は通常電源容量の倍の3000VAであったが、必要時に二次電池から電力を供給する電源装置を開発し、電力必要量を通常電源の1500VA以下とした(特許出願済)。
 その他の種々の開発成果をも含め、新たな磁気アンカー機器装置を製作した。協力者は外部の2施設に求めることができ、動物実験で機器装置を検証した。開発装置に大きな問題もなく切除が行われ、装置のハンディー化などの要望もあったが、切除が容易になり切除時間が短縮化できる可能性が示された。
 以上の結果、高度医療評価制度への早期移行に配慮して、磁気アンカー機器装置の臨床標準化装置は開発されたと考えられた。
 高度医療評価制度は薬事承認、つまり商業化を目的としており、それを公的研究費で行うことは現時点でコンセンサスを得ていない。そこで今後の研究は資金を含めて研究者の努力で行い、必要な開発や調査、検討を基に、臨床標準化を目指していく。
結論
 高度医療評価制度に配慮して磁気アンカー機器装置が開発され、今後は同制度を目標とした開発を行っていく。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200823041B
報告書区分
総合
研究課題名
早期胃がん内視鏡切除用磁気アンカー機器装置の臨床標準化装置の開発に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-027
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小林 寿光(国立がんセンター がん予防・検診研究センター 検診研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 石山 和志(東北大学 電気通信研究所)
  • 佐野 浩(HOYA株式会社 PENTAXライフケア事業部)
  • 玉川 克紀(株式会社玉川製作所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 早期胃がんの内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)において、病変を微細鉗子で把持し、体外から印加した磁気により固定、牽引して手術を補助する磁気アンカー機器装置が、臨床の現場で標準的に使用できるよう開発を行う。
研究方法
 磁気アンカー機器装置の臨床標準化における大きな問題は、強力な磁力による磁性体の飛び込み事故と、そのままでは常設できない重量、通常の電源容量を超える消費電力である。これらの解決をはかると共に、臨床の現場でより使用しやすい機器装置や、将来の発展のための要素技術の開発も行う。また、本装置が新規の機器であるために困難が想定される薬事承認に関しても、臨機応変に対策を行う。
結果と考察
 危険物の飛び込み事故防止に関しては、種々の機構案を構築した(特許出願)。磁気発生部周囲の磁界強度を測定して強磁性体の飛び込み実験などを行い、患者の出入りや重量、費用などにも配慮して遮蔽装置の仕様を決定した。実際に遮蔽装置を製作して、効果が適切であることを確認した。
 その後に制定された高度医療評価制度により、本機器装置も同制度の下に早期臨床導入することが望ましいと考えられ、これを前提に臨床導入できる機器装置の開発を鋭意促進した。
 導入の障害となる磁気アンカー駆動装置の重量は、磁気対応検査台とあわせて1110kgから760kgに減量した。必要時に二次電池から電力を補充する電源装置を開発し(特許出願)、消費電力を3000VAから通常電源の1500VA以下に低減させた。
 その他の種々の開発成果をも含め、新たな磁気アンカー機器装置を製作した。利益相反に配慮して協力者は外部の2施設に求め、動物実験で機器装置を検証した。開発した装置には大きな問題もなく切除が行われ、装置のハンディー化などの要望もあったが、切除が容易になり切除時間が短縮できる可能性が示された。
 以上の結果、高度医療評価制度への早期移行に配慮して、磁気アンカー機器装置の臨床標準化装置は開発されたと考えられた。
 高度医療評価制度は薬事承認、つまり商業化を目的としており、それを公的研究費で行うことは現時点でコンセンサスを得ていない。そこで今後の研究は資金を含めて研究者の努力で行い、必要な開発や調査、検討を基に、臨床標準化を目指していく。
結論
 高度医療評価制度に配慮して磁気アンカー機器装置が開発され、今後は同制度を目標とした開発を行っていく。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200823041C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 早期胃がんの内視鏡的切除において、手術の助手のように病変を固定、牽引して切除を補助する磁気アンカー機器装置を、臨床の現場で安全かつ適切、容易に使用するための開発であり、高度医療評価制度を念頭に置いて研究促進した結果、臨床標準化用機器装置を早期に開発することができた。
 本研究は磁気誘導医療という新たな概念の具現化であり、磁気の動力としての効果が明確に確認でき、医療における新たな動力源の獲得と、磁気の新たな活用領域の獲得として、重要な意義があると考えられる。
臨床的観点からの成果
 本研究の目的は、磁気アンカー機器装置が臨床の現場で安全かつ適切、容易に使用できるように開発を行うものである。研究開発という点では、臨床応用の可能性がある要素技術の開発の方が成果を出しやすいが、敢えて機器装置を磨き上げる地道な開発で実際の臨床技術化を図るものである。高度医療評価制度の施行もあり、臨床標準化が見えるところまで開発され、充分な成果のある研究と考えられる。この装置の標準化により、開腹手術を回避できる患者の増加が期待され、社会的にも高い意義があると考えられる。
ガイドライン等の開発
 次世代医療機器評価指標策定事業(厚生労働省)医療機器審査ガイドラインWGのナビゲーション医療(医療ロボット)における平成18年度の調査研究成果報告書のマトリクス概念を使用して、磁気誘導手術補助具に関する審査基準試案を作成し、平成19年度の次世代医療機器評価指標検討会(厚生労働省)のナビゲーション医療(手術ロボット)第二分野(軟組織対象)、審査ガイドライン策定ワーキンググループの会議に提出して協議された。同試案は、同ワーキンググループの平成19年度報告書で参考資料として確認できる。
その他行政的観点からの成果
 高度医療評価制度等の薬事承認制度の進捗を素早く取り入れ、研究全体をその進捗に合わせて臨機応変に促進する等、行政的な変化を常に念頭に置き、変化を前提に研究開発を進め、その結果、標準化という本来の目標が見える段階まで開発ができた例である。また利益相反の概念に配慮して評価者を敢えて開発者以外に求め、更に公的な研究費の適正使用を社会情勢にも配慮して充分考慮することで、研究を促進して短縮し、敢えて公的資金の援助から研究者の努力に変更するなど、行政的にも適切な研究遂行を例示したと考えられる。
その他のインパクト
 本邦の疾患として世界的に多い胃がん治療において、本邦の医療機器として世界的に強い内視鏡を使用して行う、本邦で開発された画期的手術代替手技である内視鏡的粘膜下層剥離術を支援する、全く新たな概念でその効果が明確な磁気誘導医療の臨床標準化用装置の開発であるなど、本邦の疾患の特異性や高度な医療技術、強い医療機器を組み合わせた、革新的な機器開発とその臨床化開発であり、本邦における研究開発として高い意義があると共に、米国における特許も取得しているなど、世界的にも意義のある研究開発であると考えられる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計9件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Gotoda T, Kobayashi T, et al.
Prospective clinical trial of magnetic-anchor-guided endoscopic submucosal dissection for large early gastric cancer (with videos).
Gastrointestinal Endoscopy , 69 , 10-15  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-